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がんの脊椎転移や内臓由来に伴う腰痛症について 


診察で絶対に見逃してはいけない腰痛症に、①脊椎圧迫骨折、②化膿性脊椎炎、③がんの脊椎転移の三つがあります。

これらの腰痛症に関しては、安静時痛や夜間痛が特徴的で、じっとしていても痛みが治まらない場合は疑ってみる必要があります。

がんの脊椎転移(脊椎腫瘍)と腰痛症

腰痛を引き起こしている原因において、がんの脊椎転移は全体の約0.7%に相当すると報告されています。

また、がんの既往がある患者においては、その可能性が10倍以上(0.7%→9%)に跳ね上がります。

脊椎腫瘍は原発性と転位性に分類されますが、転移性がほとんどで全脊椎腫瘍の97%を占めます。

とくに乳がんや肺がん、前立腺がん、腎臓がんは脊椎への転移を起こしやすいので、これらの病歴は重要な手がかりとなります。

脊髄腫瘍の場合、しびれや疼痛が典型的な初発症状であり、進行すると四肢筋力低下、歩行障害、知覚障害、膀胱直腸障害、巧緻障害、温痛覚障害を呈します。

脊椎に腫瘍が派生すると骨が脆くなるため、病的骨折を生じやすくなり、耐え難いほどの安静時痛を訴えます。

脊椎脊髄腫瘍の画像検査

X線写真では異常を認めることはありませんが、正面の椎弓が消失するような画像では、転移性腫瘍の存在が疑われます。

確定診断にはMRIが有用で、腫瘍の存在ならびに部位が確認できます。腎機能に問題がないようなら、造影で検査することが望ましいです。

化膿性脊椎炎と腰痛症

脊椎に炎症をきたしている状態で、痛みは激痛で、安静時や夜間にも持続することが特徴です。硬膜外腫瘍を合併していると神経症状を伴うため、場合によっては緊急手術を要します。

脊椎炎の場合は、発熱や炎症所見の上昇などが鑑別材料のひとつになりますが、熱のない感染も存在することを考慮しておく必要があります。

また、脊椎脊髄腫瘍でも安静時痛が起こり、炎症所見が認められる場合もあるため、身体所見だけでは鑑別が困難です。

脊椎カリエス(結核性脊椎炎)の場合は、化膿性脊椎炎よりも骨破壊が強く、胸椎や腰椎を壊死させることもあるため、早期診断が必要となります。

確定診断にはMRIが有用なので、安静にしていても症状が進行する場合や痛みが長期間にわたって長引いている場合は、早期のMRI検査が必要です。

脊椎炎の治療

脊椎炎の治療では、骨組織の破壊を最小限に抑えることが重要なため、基本的にはコルセット着用での安静が必要となります。

炎症が完全に治まらなければ再燃することも多いため、徹底した安静管理を4-6週間ほど継続することになります。

また、感染の鎮静化のため、血液培養摂取後に抗菌薬の投与を6週間以上にわたって行います。

危険な腰痛のレッドフラッグサイン

危険な腰痛を見分けるためのトリアージ方法として、レッドフラッグサインという指標があります。項目は以下の7つが挙げられます。

  1. 20歳以下または55歳以上
  2. 時間や活動性に関係のない腰痛
  3. 広範囲に及ぶ神経症状
  4. 体重減少
  5. 癌、ステロイド治療、HIV感染の既往
  6. 1ヵ月以上改善のない腰痛
  7. 発熱

これらに該当するようであれば、精密な検査を実施する必要があるため、MRIが設置している医療機関を受診することが推奨されます。

内臓疾患由来の腰痛症

見逃されやすい腰痛症の原因として、内臓由来のものがあります。

内臓による関連痛の場合は、食事に伴って痛くなったり、月経時に痛みが強くなる、排尿時に痛くなるといった症状が現れます。

月経時に痛くなるのは子宮内膜症である可能性が、排尿時に痛くなるのは腎盂腎炎や膀胱結石の可能性があります。

腎臓疾患と腰痛の関係性

内臓の関連痛の中でも、腎臓は他の臓器よりも背部に位置しているため、とくに腰痛の原因となりやすい臓器になります。

腎臓に異常がある場合は、脇腹や腰に鈍い痛みや違和感、不快感を感じます。関連痛領域は以下の黄色で示す範囲になります。

腎臓の関連痛領域

症状としては、安静時痛、顔や足の浮腫、高血圧、腰を動かしても痛みが変化しない、軽くジャンプして着地した時に痛みを感じるといった所見があります。

腎臓は一度悪化してしまうと非常に治りにくい臓器であるため、機能低下の早期発見は臨床的にも極めて重要です。

腎機能の低下を検査する

腰痛を引き起こす腎臓の病気として、まず考えるべきは水腎症です。腎臓で作られた尿は、尿管→膀胱→尿道といった尿路を流れて体外に排出されます。

しかし、尿路が狭くなることで流れが悪くなり、尿が腎臓の内部に溜まって、腎盂と腎杯がパンパンに膨らんでしまい、水腎症を発症します。

水腎症になると溜まった尿が腎臓を内部から圧迫し、腎臓は細胞数を減らしてしまい、機能低下が起こります。

水腎が発症しているかどうかは、腹部の超音波検査で診断できます。また、血液検査や尿検査では、腎機能の低下の度合いや感染症の有無が分かります。

そのため、腎臓の障害に伴う関連痛が疑われる場合は、泌尿器科で検査を受けていただくようにてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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