ぎっくり腰のリハビリ治療

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ぎっくり腰(急性腰痛症)のリハビリ治療に関して、わかりやすく解説していきます。

ぎっくり腰の概要

くしゃみをした時や床の物をとろうとして手を伸ばした時などに、急激な痛みとともに身体を伸ばせなくなった状態をギックリ腰といいます。

専門的には仙骨後屈ロックと呼ばれており、仙腸関節がカウンターニューテーションの動きでズレることに起因しています。

カウンターニューテーションとは、骨盤の後傾(厳密には仙骨の後傾と腸骨の前傾)であり、仙腸関節を緩める動きになります。

ニューテーション

カウンターニューテーションの反対の動きをニューテーションといい、骨盤を前傾(厳密には仙骨の前傾と腸骨の後傾)させる動きであり、仙腸関節を締める動きになります。

仙腸関節の特徴

仙腸関節は、仙骨の耳状面と寛骨の耳状面が連結することで構成される平面関節(多軸関節)になります。

しかし、関節面は凸凹で不規則な形状をしており、それらがはまり込んでいるために可動性はほとんどありません。

仙骨が腸骨に対して前屈する可動域は約1.3度、後屈する可動域は約1.7度ほどといわれています。

距離にすると1〜2㎜と非常にわずかではありますが、仙腸関節が動くことで歩行などを微調整し、滑らかな運動を実現しています。

仙腸関節は安定性関節なので少し動く程度でよいのですが、不安定で動きが大きくなると、仙腸関節障害を引き起こす可能性があります。

高齢者では仙腸関節が変形して骨癒合してしまっている場合も多いため、高齢になるほどぎっくり腰が起きにくくなるともいえます。

反対に産後などの女性は骨盤周囲の靱帯が緩んでいるため、仙腸関節障害を起こしやすくなっています。

リハビリテーションの効果

介入 急性腰痛
エビデンス 効果 グレード
安静臥床の指示 強い 効果なし/悪化 D
通常活動継続の助言 強い 小さい B
書籍・ハンドアウト 強い 小さい B
表在低温熱ラップ療法 強い 中等度 B
腰部サポーター 弱い 実証されていない I
脊柱マニピュレーション やや強い 弱い/中等度 B/C
運動療法 強い 効果なし D
鍼治療 弱い 実証されていない I
牽引療法 弱い 実証されていない I
TENS 弱い 実証されていない I
温熱・寒冷療法 弱い 実証されていない I

米国疼痛学会のガイドラインにおいて、急性腰痛症に対して効果が認められる治療は、①通常活動の継続、②表在低温熱ラップ療法、③脊椎マニピュレーションだけです。

①通常活動の継続

安静臥床は回復を遅延させるだけで治療効果はないとされていますので、安静はなるべく最小限に止め、早期に通常活動へと戻すことが大切です。

痛みの原因が椎間板や靱帯の損傷にあるのであれば、絶対に臥床のほうが治癒は早くなるはずです。

しかし、そうではないということはやはり組織の器質的な損傷ではない可能性が高いと考えられます。

そのため、早期に通常活動に戻してもらったほうが仙腸関節の動きも改善しやすくなるのだと考えられます。

②表在低温熱ラップ療法

化学反応の放熱による低温度の温熱を、少なくとも8時間以上にわたって連続で局所にあてる方法です。

家庭でも簡単に行える方法として、腰にカイロを貼っておくことで長時間にわたって患部を温めることができます。

③脊椎マニピュレーション

仙骨の後屈を制限しているのは後仙腸靱帯ですが、後仙腸靱帯より起始しているのが多裂筋になります。

脊椎マニピュレーションでは、椎間関節を離開させることで多裂筋が伸張と弛緩を繰り返し、リラクゼーションを図ることができます。

具体的な方法として、患者にベッド上で側臥位をとってもらい、施術者は上下の棘突起に指を置いてから椎間関節を拡げていきます。

④腸骨を前傾させる筋肉を緩める

腸骨を前傾させる腸骨筋や大腿筋膜張筋の過度な緊張は、骨盤が後傾するときにカウンターニュー手ションを強めることにつながります。

そのため、腸骨筋と大腿筋膜張筋のリラクゼーションは必須です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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