ぎっくり腰のリハビリ治療

ぎっくり腰(急性腰痛症)のリハビリ治療に関して、わかりやすく解説していきます。

ぎっくり腰の概要

ぎっくり腰

物を持ち上げる時、腰をひねった時、くしゃみをした時など、日常生活の様々な場面で急激に起こる腰痛の総称をぎっくり腰といいます。

腰痛の原因には、椎間関節性腰痛、仙腸関節性疼痛、筋・筋膜性腰痛、椎間板線維輪の急性外傷などがあります。

その中でも椎間関節由来のものは頻度が高く、全腰痛の70~80%を占めるともいわれています。

ぎっくり腰の原因は筋・筋膜

椎間関節の構造

急性腰痛症は筋・筋膜の損傷によるものが多く、多裂筋の痙攣(こむら返りのようなもの)が起きている可能性が高いと考えています。

多裂筋は椎間関節包に付着しており、収縮することで関節包を牽引し、滑膜や脂肪組織の挟み込みを防ぐ役割を持ちます。

それが痙攣を起こして収縮が困難となると、腰部を動かすときに周囲組織を挟み込んでしまい、急激な腰痛が生じることになります。

侵害刺激が腰椎椎間関節周囲に加わると,殿部から大腿筋膜張筋(腸脛靭帯を含む)にかけて筋スパズムを伴う関連痛が高頻度に発生します。

多裂筋の起始停止

リハビリテーションの効果

介入 急性腰痛
エビデンス 効果 グレード
安静臥床の指示 強い 効果なし/悪化 D
通常活動継続の助言 強い 小さい B
書籍・ハンドアウト 強い 小さい B
表在低温熱ラップ療法 強い 中等度 B
腰部サポーター 弱い 実証されていない I
脊柱マニピュレーション やや強い 弱い/中等度 B/C
運動療法 強い 効果なし D
鍼治療 弱い 実証されていない I
牽引療法 弱い 実証されていない I
TENS 弱い 実証されていない I
温熱・寒冷療法 弱い 実証されていない I

米国疼痛学会のガイドラインにおいて、急性腰痛症に対して効果が認められる治療は、①通常活動の継続、②表在低温熱ラップ療法、③脊椎マニピュレーションだけです。

①通常活動の継続

安静臥床は回復を遅延させるだけで治療効果はないとされていますので、安静はなるべく最小限に止め、早期に通常活動へと戻すことが大切です。

ぎっくり腰の原因は多裂筋の痙攣にあると書きましたが、原因が椎間板や靱帯にあるのであれば、絶対に臥床のほうが治癒は早くなるはずです。

しかし、そうではないということは、やはり組織の器質的な損傷ではない可能性が高いと考えられます。

筋痙攣はこむら返りと同じで、一度発生してしまうと再発を繰り返しやすいため、状態が安定するまでは日常の生活動作に注意を払う必要があります。

②表在低温熱ラップ療法

化学反応の放熱による低温度の温熱を、少なくとも8時間以上にわたって連続で局所にあてる方法です。

家庭でも簡単に行える方法として、腰にカイロを貼っておくことで長時間にわたって患部を温めることができます。

③脊椎マニピュレーション

椎間関節性疼痛(多裂筋の攣縮)に由来する腰痛に対しては、脊椎マニピュレーションが即効すると報告されています。

理由としては、椎間関節を離開させることで多裂筋が伸張と弛緩を繰り返し、リラクゼーションを図れることが挙げられます。

具体的な方法として、患者にベッド上で側臥位をとってもらい、施術者は上下の棘突起に指を置いてから椎間関節を拡げていきます。

④大殿筋のマッサージ

多裂筋に攣縮が起きると、多裂筋と連結する大殿筋にも強い筋スパズムが生じるため、殿部には強い圧痛を認めることになります。

多裂筋は深層筋のために直接的なマッサージは行いにくいため、連結する大殿筋を緩めることで間接的に多裂筋を緩めることが可能です。

大殿筋は腸脛靭帯を介して大腿筋膜張筋とも連結するため、大腿筋膜張筋からアプローチしていくことでも効果を発揮します。

⑤生活動作の指導

荷物を持つ|腰を痛める姿勢 荷物を持つ|腰を痛めにくい姿勢

ぎっくり腰の再発を予防するためには、物を持ち上げる際には膝を曲げて、なるべく腰椎が後彎しないように行うことが大切です。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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