ジャンパー膝(伸展機構障害)のリハビリ治療

膝関節の伸展機構障害の代表であるジャンパー膝のリハビリ治療について解説していきます。

ジャンパー膝の概要

ジャンパー膝のリハビリ治療
ジャンパー膝の好発部位

ジャンパー膝とは膝蓋腱に炎症を起こした状態であり、ジャンプ動作の多いスポーツ習慣保持者に好発することから名付けられました。

バレーボールやバスケットボールなどの選手では、その30〜40%に発生すると報告されており、そのうちの1/3は両側性です。

予後は比較的に良好ですが、腱は血流が乏しいために1度炎症が発生すると慢性化しやすく、治癒までに長期間を要することもあります。

膝蓋腱のストレスをなくす

炎症を沈静化させるためには安静が第一であり、そのためには大腿四頭筋の収縮をなるべく控えることが大切です。

痛みのある動作は膝蓋腱にストレスが加わっているという合図ですので、運動は痛みのない範囲で行うか、またはしばらく休むようにしてください。

ジャンプ動作はもちろんですが、歩行時に膝関節屈曲位で荷重したり、骨盤が後傾することでもストレスは増大します。

大腿直筋のストレッチング

膝蓋腱炎の運動療法で重要なのが大腿直筋のストレッチングです。

大腿直筋は硬くなりやすい筋肉であり、短縮している場合は牽引ストレスが増大するため、できる限りにタイトネスは取り除くようにします。

ただし、膝蓋腱に炎症がある状態で伸張させると腱のストレスが増大するため、痛みが落ち着いてから予防的な意味合いで実施してください。

大腿四頭筋の短縮を調べるテストとして、腹臥位で膝関節を屈曲させるエリーテストがあります。

通常なら踵が殿部まで付きますが、短縮している場合は大腿前面に突っ張り感が出現し、疼痛回避動作として尻上がり現象が起こります。

具体的なストレッチ方法としては、両膝を曲げて足をお尻の下に置くように座り、その状態から上半身をゆっくり後方に倒していきます。

その際に大腿前面(大腿四頭筋)が張っていくのを感じながら、無理のない角度で徐々に実施していくようにします。

ジャンパー膝/オスグッド病のストレッチ

別法として、立位の状態から反対側の手で伸ばしたい側の足部を把持し、踵をお尻までゆっくりと近づけていきます。

ジャンパー膝/オスグッド病のストレッチ2

大腿四頭筋の筋力強化

筋肉が弱っている状態では姿勢をコントロールすることができず、末端に位置する腱に過剰な負担が加わります。

それの繰り返しが腱炎を起こすことにつながるため、痛みが落ち着いてからは再発の予防として筋力トレーニングが有効です。

具体的な方法としては、スクワットや重りを負荷した膝関節伸展エクササイズなど、大腿四頭筋を鍛えられるものなら問題ありません。

膝蓋腱の圧迫

膝蓋腱の痛みが強くて生活に支障が出る場合や、どうしても試合に練習や試合を休めない場合に有効なのが膝蓋腱の圧迫です。

方法としては、テーピングやサポーターなどがありますが、ここでは簡単に痛みを軽減できるテーピングを紹介します。

膝蓋腱炎のテーピング

上の写真を見ていただくとわかりやすいですが、単純に膝蓋腱を圧迫するようにテープを巻くだけでいいです。

どうしてこれだけで痛みが軽減するかというと、腱を引っ張っているのは筋肉であり、腱はその力を伝達するための硬い組織です。

損傷している腱がある手前で筋腱を圧迫してしまうと、それより遠位にある腱には引っ張られる力が加わらなくなります。

損傷した組織へのストレスがなくなるのですから、必然的に膝蓋骨下方(膝蓋腱)の痛みもなくなるというわけです。

テーピングで十分に効果が認められるなら、その後の生活を考慮して、簡易的なサポーターの購入をおすすめします。

膝蓋腱の圧迫はあくまで対症療法であり、その状態で運動を続けると炎症が長引いてしまうことになります。

また、強く締めすぎると血流を阻害してしまい、損傷の治癒を遅らせてしまうことになるので注意してから実施してください。

下肢のアライメント修正

ジャンパー膝を起こしやすい身体的特徴として、膝関節の外反、足関節の背屈制限、足部の外転・回内などが挙げられます。

正常なヒトでも膝関節はやや外反しているのですが、それが増大してしまうと、膝蓋腱は外方に伸ばされてしまいます。

それは結果的に伸張ストレスを高めることにつながり、膝蓋靱帯炎を起こしやすくなります。

次に足関節の背屈制限ですが、背屈が制限されると、スポーツ動作時に膝が前に出なくなって後方重心となります。

そうすると重心を前方に保つために、前方に位置する筋肉(大腿四頭筋など)に過剰な収縮が求められます。

最後に足部の外転・回内ですが、これはいわゆる足関節の外反を引き起こし、運動連鎖にて膝関節の外反を強めることになります。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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