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スクラップ・アンド・ビルドは医療や介護従事者が読むべき本


芥川賞を受賞した又吉先生と「もう一人の作家」として一躍有名になった羽田圭介氏のスクラップ・アンド・ビルドを皆さんはもう読まれたでしょうか。

この本は家族介護をテーマとしており、医療従事者なら是非とも読んでほしい一冊です。どうやって調査したかはわかりませんが、介護の本質をついていると思います。

本文にはネタバレも含んでいるので、しっかり読んでみたい方は閲覧しないようにお願いします。個人的には、火花よりも面白かったですよ。

過剰介護で死ぬのを早める

簡単に物語をまとめると、祖父の介護をしている孫の健斗は、早く死にたいと口癖のように言っている祖父の願いを叶えるために、ある方法を実行します。

その方法とは、とにかく祖父から言われたことは全てやるようにし、過剰なまでの介護をして身体を弱体化させることです。

その行動は徹底しており、祖父がなるべく頭を使わないように、なにかをお願いされる前にそのしてほしいことを健斗は実行するようにします。それらの行動が実を結んで、祖父の状態は日に日に衰えていきます。

病院に祖父が入院したときにあることに気付く

そんなある日、弱った祖父は入院してしまうことになるのですが、その病院の看護師たちはとても優しく、むしろ優しすぎることに気付いた健斗は、ある一つの疑念を抱きます。

この人たちが本当に持っているのは祖父に対する優しさではなく、自分たちが効率的に処置や介護をするためのものではないか。それは、これまで自分がやってきた「早く死なせるための介護」と同じなのではないかと。

最終的に、祖父は生きているのではなく、ただ生かされているのではないかと健斗は考えるようになり、物語は締めくくります。

現代社会の問題をエンターテイメントに切り取る

おおむねは上述したような内容ですが、実際には他の問題などにもフォーカスしており、とても読みやすくて面白かったです。切り取るのが上手いなーって感じです。

実際に老人保健施設で働いている私からしたら、本人にやってもらうよりもこちらがやるほうが絶対に楽なんですよね。そういった意味では、著者の書いていることは的を射ているといえます。

表面的なものと本質はつねに同じとは限りませんからね。そこにどのような理念を抱いているかでも、物事の考え方は180度かわってしまいます。ただ、羽田氏が書いている側面があるというだけで、それが全てではないことも理解していただきたいです。

介護しやすい老人は落ちる

徘徊してまわるような高齢者はいいのですが、大人しく椅子に座っているだけの高齢者はすぐに足腰が弱っていきます。大人しいということは、それだけ介護者から放っておかれる機会が多いのです。

生きているというのは、本人の意思で行動することだと思います。本人の意思を引き出すことは、介護者からしたら面倒なことかもしれませんが、それをしないということは、その人はただ生かされているだけなのかもしれません。

羽田氏が提起した問題をもう一度考え直しながら、高齢者が「生きていく」ためになにが必要なのか、その都度に考えながらリハビリにあたっていきたいと思います。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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