スポンサードリンク

ストレッチングの効果とリハビリでの適応


近年ではその効果に疑問符が付けられているストレッチですが、現時点における医学的な見解について解説していきます。

ストレッチの効果

リハビリ業界でも頻繁に使用されるストレッチですが、その目的は主に、①関節可動域の改善、②筋緊張の低下、③疲労回復、④傷害予防などが挙げられます。

ストレッチによって身体の柔軟性が向上することは明らかですが、その他の効果については疑問が残るところです。

緊張が高い筋肉に伸張を加えることは痛みなどを引き起こし、防御性収縮を強めることにもなりません。

疲労回復や傷害予防についても、エビデンスに関しては乏しいのが現状です。

ストレッチによって筋出力が低下する

従来は競技前にストレッチを実施することで、傷害予防やパフォーマンの向上に効果があるとされてきました。

しかし近年では、ストレッチは反対に即時的な筋出力の低下を引き起こすことがわかっています。

筋出力が発揮できていない状態では、激しい運動でパフォーマンスが向上するはずもなく、傷害を起こすリスクは増すといわざるを得ません。

ストレッチと筋出力の低下に関しては垂直跳びの高さに関する報告が多数で、短距離走やランニングに関しては変化なしとする報告が多いようです。

ストレッチは運動前ではなく普段から実施する

運動前のストレッチが傷害予防につながる可能性は低いのですが、柔軟性の低下が傷害につながることは周知の事実です。

足関節背屈制限と傷害発生率については有意差が認められており、背屈可動域が正常域の45度から10度落ちることで傷害発生率は2.5倍になるとしています。

とくに足関節捻挫の発生は5倍以上に跳ね上がることが報告されており、運動を習慣にしている方のアキレス腱伸ばしが重要であることは間違いありません。

これらのことを考慮すると、ストレッチによって関節可動域の制限を除去することは傷害予防に有用であり、運動前ではなく普段から取り入れる必要があるといえます。

ストレッチは筋肉痛に効果なし

静的ストレッチを運動の前か後に実施して筋肉痛との関係性を調べた実験では、運動後のほうが効果が高いことが報告されています。

しかしその軽減効果はわずかであり、臨床的には意味のあるほどの差とは呼べないと結論が付けられています。

この報告を考慮すると、運動前後のストレッチは短時間で終えるようにし、しっかりと身体を休ませることがより重要であるといえます。

柔軟性を向上させるメカニズム

身体の柔軟性を向上させるためには、筋肉の伸張性を増加させることが大切です。そのためには筋節を増やす必要があります。

筋節は筋肉が伸びるための滑走性を構成している部分であり、この筋節が増えることにより、筋肉の伸張性は増加することになります。

筋節を増やすためには、筋腱移行部を集中的に伸張させることが重要で、そのために最も用いられる方法がストレッチです。

筋腱移行部に何度も伸張刺激が加えられることにより、筋肉内の筋節は増加していき、結果的に大きな可動域を獲得することができるようになります。

近年ではストレッチ中に等尺性収縮を加えることでより効果的に筋腱移行部に刺激を加えることができ、筋節の増加を促通できることが報告されています。

等尺性収縮による筋のストレッチ効果

緊張が高い状態のストレッチは逆効果

筋肉が痛みなどによって過度な緊張状態にある場合、その状態で実施するストレッチは逆効果であるといえます。

柔軟性を向上するためには筋腱移行部に伸張刺激を与えることが重要であると説明しましたが、緊張状態にある筋肉には効果的に刺激を与えることはできません。

痛みや攣縮がある場合は防御性収縮などで緊張が増してしまい、むしろ状態を悪化させてしまうことになります。

寝たきりで筋肉の過緊張と重度拘縮が認められる高齢者などに対して、無理矢理なストレッチを実施しているセラピストがよくいますが、それは逆効果ということです。

お風呂上がりのストレッチが効果的というのは、筋肉がリラックスしている状態にあるため、効果的に筋腱移行部に伸張刺激を加えられるからだといえます。

ストレッチは普段から実施する

以上のことから考察していくと、運動前後に実施するストレッチの効果はほとんど期待できないといえます。

しかしながら、筋肉の柔軟性が増すがことで傷害を予防できるのは事実であり、柔軟性を向上するためにはストレッチが有用な手段といえます。

お風呂上がりなどで筋肉がリラックスした状態のときにストレッチを実施することで、より効果的に筋肉の柔軟性を向上することが可能となります。

そのため、ストレッチは運動の前後ではなく、普段から実施しておくことで最大限の効果が期待できるといえるのではないでしょうか。

筋肉別のストレッチ方法

別記事の「筋肉データ(205個)」のほうに各筋肉のストレッチから筋力トレーニングの方法までを掲載していますので、是非そちらも参照ください。

正しい適応と十分な効果を発揮するためにも、どこを狙ってストレッチしているのかを常に念頭に置きながらアプローチするようにお願いします。


お勧めの記事はコチラ

スキルアップするための情報はコチラ

スポンサードリンク

The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
rehatora.net © 2016 Frontier Theme