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ストレッチングの効果とリハビリでの適応

近年ではその効果に疑問符が付けられているストレッチングですが、現時点における医学的な見解について解説していきます。

ストレッチングの種類

ストレッチングを大きく分けると、①ダイナミックストレッチング、②スタティックストレッチングの2つがあります。

①はラジオ体操などが該当し、身体を動かしながら反動を用いて筋肉を伸ばしていく方法になります。

それに対して②は、反動を用いることなく筋肉を伸張させた位置でしばらく静止し、ゆっくりと伸ばしていく方法です。

それぞれに短所と長所が存在しているため、上手く使い分けることがセラピストやトレーナーには求められます。

ストレッチングの効果

効果や目的としては、①可動域拡大、②筋由来の疼痛軽減、③筋長増大、④筋緊張低下、⑤運動パフォーマンスの向上が挙げられます。

とくにスタティックストレッチングに関しては、①②③④の効果が高いために、リハビリ治療においても多用されます。

ただし、疼痛のある筋肉を無理に伸張させるとかえって痛みが強くなり、防御性収縮を強めることにもなりかねません。

そのため、治療で用いる場合は筋肉の状態に十分な配慮をしながら実施していくことが求められます。

ダイナミックストレッチングに関しては、①と⑤の効果が高く、④の筋緊張低下が起こらないために筋出力を下げることはありません。

そのため、パフォーマンスが求められる運動をする前の準備体操として用いることで傷害予防の効果が期待できます。

筋出力が低下する?

従来は競技前にストレッチングを実施することで、傷害予防や運動パフォーマンスの向上に効果があるとされてきました。

しかし近年では、ストレッチング後は筋出力の低下を引き起こすことが報告されて話題となっています。

筋出力が発揮できない状態では、激しい運動でパフォーマンスが低下してしまい、傷害を起こすリスクは増します。

ただし、ここで述べているのはスタティックストレッチングであり、ダイナミックストレッチングに関しては該当しません。

また、あくまで実施直後に筋出力が低下するという報告であり、普段から実施することに対してはなんら問題はありません。

ストレッチングは普段から実施する

運動前のストレッチングが傷害予防につながる可能性は低いのですが、柔軟性の低下が傷害につながることは周知の事実です。

例えば、足関節背屈制限と傷害発生率について調査したものでは、背屈可動域が正常の45度から10度落ちると傷害は2.5倍増加すると報告しています。

とくに足関節捻挫の発生率は5倍に跳ね上がるため、運動を習慣にしている方のアキレス腱伸ばしは非常に重要であることが伺えます。

結論を書くと、運動前にはダイナミックストレッチングを、普段はスタティックストレッチングを実施することが傷害予防につながります。

筋肉痛に効果なし

スタティックストレッチングを運動の前後に実施して筋肉痛との関係性を調べた実験では、運動後のほうが効果が高いことが報告されています。

ただし、その軽減効果はごくわずかであり、臨床的には意味のあるほどの差とは呼べないとの結論が付けられています。

この報告を考慮すると、運動後のストレッチングは短時間で終えるようにし、しっかりと身体を休ませることがより重要といえそうです。

柔軟性を向上させるメカニズム

スタティックストレッチングが筋長増大に効果があることは前述しましたが、筋長を伸ばすためには筋節を増やす必要があります。

筋節とは、筋肉が伸びるための滑走性を構成している部分であり、この筋節が増えることによって伸張性は増加します。

筋節を増やすためには筋腱移行部を集中的に伸張させることが重要で、そのために最も用いられる方法がスタティックストレッチングです。

さらにストレッチング中に等尺性収縮を行わせることにより、効果的に筋腱移行部に伸張刺激が加わって、筋節の増加を促通できます。

等尺性収縮による筋のストレッチ効果

損傷している筋肉は安静にする

筋肉が損傷しており、強い痛みや過度な防御性収縮を示す場合、その状態でストレッチングを実施することは禁物です。

そこで無理に筋肉を伸張すると損傷が拡大してしまい、さらに防御性収縮が強まり、結果的に症状を悪化させることにつながります。

損傷がある程度に治癒してからは瘢痕拘縮が残るため、そこからは適度な範囲で伸張を行うことが有用です。

治癒の程度に関しては受傷からの期間と炎症所見を参考とし、実施後に痛みが強くならないように注意を払います。

寝たきり患者のストレッチング

寝たきりの患者で、筋肉の過度な緊張と重度の関節拘縮が認められる際も、無理矢理なストレッチングは逆効果となりやすいです。

実施する前は筋肉がリラックスできるポジショニングを行い、効果的に筋腱移行部に伸張刺激を加えていくことが必要です。

短縮しやすい筋肉はある程度に決まっているため、普段からやや伸長位に保持できるような環境設定も重要となります。

疼痛治療における重要性

リハビリテーションにおいてスタティックストレッチングは非常に重要なのですが、それはとくに筋性由来の疼痛で効果を発揮します。

痛みの多くは筋肉が関与しており、原因筋のリラクゼーションを図ることで即時的に痛みは軽くなります。

ただし、そこで治療を終了してしまうと数時間もしたら元に戻るため、緩めたあとはしっかりと伸ばしておくことが重要です。

そうすることで効果が持続し、治癒につなげていくことができます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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