キング・オブ・エクササイズとも呼ばれるスクワットですが、その正しい方法について理学療法士の立場から説明していきたいと思います。
スクワットは足の位置が少し違うだけで、鍛えられる筋肉がまったく違ってきます。リハビリのメニューでも実施されることが多いので、セラピストは是非ともチェックしてください。
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スクワットはどこの筋肉を鍛えているのか
一般的なスクワットでは、大腿四頭筋や大殿筋を中心に鍛えることができます。また、補助的にハムストリグンスや脊柱起立筋、内転筋、下腿三頭筋なども同時に鍛えることができ、足腰を総合的に強化できることからキング・オブ・エクササイズと呼ばれています。
その運動強度はとても高く、素人からプロアスリートまで実践できることもキングの所以となっています。
スクワットの基本姿勢
基本姿勢は足を肩幅に広げて、つま先を真っ直ぐに向けて立った姿勢です。ワイドスタンスでは、足幅を広げることによって股関節の内転筋群を鍛える効果が付与します。
広げるほどに負荷が強くなっていくので、適度なところで調整してください。足幅が狭すぎる姿勢では、腰を落とした際にバランスをとりにくく、効果的に筋肉へ負荷をかけることができないので不良姿勢となります。
正しい姿勢 | ワイドスタンス | 不良姿勢 |
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スクワットの正しい方法(側面)
スクワットを行う上で最も注意が必要なのは、つま先よりも膝が前に出ないようにすることです。膝関節が前に出すぎると、筋肉よりも関節に過剰な負荷がいくため、膝を痛める原因になってしまいます。
なので、感覚としては後ろの椅子に腰掛けるような気持ちで腰を落としていくとよいでしょう。また、腰が猫背にならないようにすることもポイントです。
正しい姿勢 | 不良姿勢 |
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スクワットの正しい方法(前面)
腰を落としていく際の注意点として、膝と足の向きを揃えることが大切です。がに股や内股になってしまうと、半月板や靱帯に過剰な負荷がかかってしまいます。
膝関節にO脚などの変形がある方では、どうしてもがに股のような姿勢になってしまうため、効果的に筋肉に負荷が与えられません。なので、変形が強い場合はあまり実施することをお勧めできません。
正しい姿勢 | がに股 | 内股 |
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足の位置をかえて強化する筋肉をかえる
ここからが少し専門的な話になりますが、片脚を前に出した姿勢でスクワットをすると重心が後方にいくため、大腿四頭筋に対してより強い負荷をかけることできます。
反対に片脚を後ろに出すことで重心が前方に移動し、それを支えるために脊柱起立筋がより働きます。腰を深く落とす姿勢では、大殿筋が遠心性収縮していくことで強力な負荷を与えられます。
片脚を前に出す | 片脚を後ろに出す | 腰を深く落とす |
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主に 大腿四頭筋を鍛えられる | 主に 脊柱起立筋を鍛えられる | 主に大殿筋を鍛えられる |
より大きな負荷をかけられるダンベル・スクワット
私もやっている方法ですが、ダンベルを持ってスクワットすることにより、筋肉に対してより大きな負荷をかけることができるようになります。
下図のように大腿部にダンベルを乗せることで、重さを腕ではなく脚にしっかりと伝えることができます。短時間で効果を出すために有効なので、自宅で筋トレをしている方にはお勧めです。
正面 | 側面 |
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スクワットの方法をおさらい
- 両足を肩幅に開き、つま先と膝は真っ直ぐに向ける
- 椅子に腰掛けるような気持ちで体を落としていく。その際に膝がつま先より前に出ないように注意する
- 目的としている筋肉に力が入っているかを確認し、ややきつい程度の負荷で行う
- 負荷は連続して10回ほど続けられる程度とし、負荷量は腰を落とす位置を上下させて決定する
上半身を簡単に鍛える方法(おまけ)
スクワットが下半身を鍛えるためには最も簡単で効果的な方法であることを説明してきましたが、上半身にもスクワットと同じように簡単に鍛えられる方法があります。
それが腕押しエクササイズです。その方法は、左右の手のひらを胸の前で合わせて、思いっきり押し合いながら5秒間とめます。
たったこれだけです。3セットやったとしても30秒もかかりません。見た目に大きく影響する大胸筋や僧帽筋を鍛えることができるので、時間はないけどマッチョになりたい人たちにはお勧めです。是非ともやってみてください。
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