両膝に左右差のない伸展制限が認められるケースでは、足部が内反しており、甲高(ハイアーチ)や小趾の皮膚が硬くなっていることが多いです。
![]() |
足部の内反・外反に影響を与える因子は後脛骨筋(足関節内反の主力筋)の緊張度合いであり、過緊張なら内反し、低緊張なら外反します。
後脛骨筋はアナトミー・トレインにおけるDFLに属しており、後脛骨筋が過緊張にある場合は、その筋膜上に存在する腸腰筋も硬くなっています。
![]() |
股関節屈曲の主力筋である腸腰筋が硬いというとことは、股関節の伸展制限を引き起こすことにつながります。
![]() |
骨盤前傾で股関節が屈曲位にある姿勢は、骨盤が後方変位しており、膝関節は過伸展位、足関節は底屈位となりやすいです。
これはいわゆるロードシス姿勢であり、別名で緊張姿勢ともいいます。
加齢によって徐々に姿勢保持筋が弱化していくと、お腹を突き出して(骨盤を前方変位)、筋肉を使わない姿勢をとりやすくなります。
そのときに股関節は過伸展位をとりますが、もしも伸展制限がある場合は、膝関節を屈曲させることで代償します。
それが結果的に両膝の伸展制限を引き起こすことになります。
ここまでを考慮したなら、単純に膝を伸ばすだけのリハビリを繰り返しても改善には至らないことが理解できるはずです。
股関節の伸展制限にアプローチすることや、姿勢保持筋の弱化に伴う骨盤の後方変位を修正することがより重要となってきます。