中殿筋の筋膜リリースで腰痛が軽減した理由の考察

久々にメールで質問がきましたので、その内容と回答について記事にしてみます。

間違ってる部分や足りない部分もあるかと思いますので、ご意見をいただけると非常に有り難いです。メールの内容は以下になります。(一部改編して掲載)

”中殿筋の筋膜リリースを実施した際に、骨盤後傾が改善し、腰痛(腰方形筋の痛み)が改善する事が最近よくあります。その過程について教えていただけないでしょうか。

実際にこの文面から推察した内容を記載していきます。

中殿筋の後方線維は股関節伸展作用がありますので、過緊張で骨盤を後傾させる作用が少なからずあります。

中殿筋|前方筋束と後方筋束

【解説】股関節の屈伸軸によって作用が分かれており、軸より後方を通る部分を後方筋束といい、股関節の伸展・外旋作用を有します。

骨盤が後傾すると腰方形筋は伸張ストレスを受けるので、持続的なストレスで痛みが誘発されている可能性があります。

また、中殿筋の片側のみの過緊張は骨盤の回旋を生むので、腰方形筋に捻れるようなストレスが加わっている可能性も考えられます。

腰方形筋|後面

【解説】腰方形筋の作用は、腰椎の側屈、伸展、第12肋骨の下制になります。

このあたりは実際に骨盤の触診をしてみて、回旋などの捻れがあるかを確認してみてください。

中殿筋のリリースで腰方形筋の痛みが改善したのは、骨盤後傾が改善されて、伸張ストレスが消失したためと推察できます。

歩行の視点からいくと、中殿筋の発火速度の遅延がトレンデレンブルグ徴候を起こしますが、痛みや過緊張は発火速度を遅延させる原因になりえます。

それによって反対側の骨盤が沈むと、問題のある中殿筋とは反対側の腰方形筋が伸張ストレスを受けるので、それで痛みが発生する可能性があります。

実際には、骨盤沈下は肉眼では確認できない程度かと思いますが、それは腰方形筋が収縮して代償している可能性もあります。

なので、歩行時に腰方形筋を触診をしながら左右の緊張差をみてみると違いが感じられるかもしれません。

中殿筋のリリースで腰方形筋の痛みが改善したのは、発火速度の遅延が改善し、伸張ストレスが消失したためと推察できます。

返信内容は以上で、文面から考え得る過程を考えてみました。少しこじつけ感もあるので、あとは実際に再評価をして確認していただくようにお伝えしました。

正直なところ、実際にその答えが正しいのか、その影響は微々たるものでもっと他の要素が強いのではないかといった不安は常にぬぐえません。

こればっかりは患者を数多く施術して、実際に結果を出し続けないことには自信もつかないですよね。あぁ日々勉強です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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