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初期の変形性膝関節症に対して理学療法士はどう対応するべきか

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外来で対応することも多い初期の変形性膝関節症(膝OA)について、理学療法士はどう考え、どうアプローチしていくべきかについて考察していきます。

症例と評価項目

具体的な症例を交えて考えていくとわかりやすいので、ここでは一般的なケースと、最低限に必要な評価項目について記載します。

障害 右変形性膝関節症
炎症所見 腫脹(+)、疼痛(+)、熱感(+)、発赤(-)
関節変形 内外反変形(-) ※視診にて変形を認めないため初期(軽度)の膝OAと判断
半月板 McMurray(-)
十字靭帯 前方引き出しテスト(-)、後方引き出しテスト(-)
側方靱帯 内外反動揺(-)
筋力 膝関節伸展:右8N/左14N
ROM 膝関節伸展:右-5度/左-5度、屈曲:右120度/145度

膝関節が腫れる理由

関節に腫脹が認められる場合は、関節包内の組織に損傷があることが推察されます。膝関節では、半月板や前・後十字靭帯、滑膜がそれにあたります。

内・外側側副靭帯や周囲筋は関節外組織であるため、膝関節の腫脹原因からは除外されます。また、関節内靱帯である前・後十字靭帯や血管を有する半月板辺縁部の損傷である場合は血腫となり、発赤が出現します。

今回のケースでは膝関節に赤み(または黒み)を帯びていないため、血腫は存在していないと考えられ、滑液の貯留過多による腫脹と考えられます。

滑液が貯留過多となる機序として、加齢に伴う退行性変化によって弾力性を失った関節軟骨に強い刺激(または繰り返しの刺激)が加わると、関節軟骨が徐々に削られていきます。

そして、その削れた軟骨の破片が関節内を浮遊して関節包の内側にある滑膜を刺激し、滑液を大量に作り出してしまうことによって腫れていきます。

昔から「水を抜く」と表現することが多いですが、これは関節内に増えすぎた滑液を抜くという意味です。増えすぎた滑液は関節内組織を圧迫しているため、滑液を抜いた後は痛みが楽になることが多いです。

ただし、滑液を抜いても浮遊物(削れた軟骨の破片)を除去したわけではないため、時間が経つとまた滑膜を刺激して滑液が過剰に分泌され、腫れるといったことを繰り返すことになります。

関節軟骨が削れる原因

関節軟骨が削れる原因として、①関節の適合性の問題、②安定性の問題、③過度な負荷が挙げられます。

正常な膝関節は屈曲や伸展の動きに合わせて荷重が加わる部位が変化しますが、適合性の乏しい関節では一部に荷重が集中することになります。

膝関節内に存在する半月板は荷重を分散する役割を担っていますが、怪我などで損傷してしまうと荷重が集中し、その後の膝OAの発生リスクが非常に高くなることがわかっています。

そのため、内外反変形の有無や半月板損傷のテスト(McMurray)、関節可動域の軌跡(スクリューホームムーブメント)などを確認していくことが必要です。

膝関節伸展時に下腿外旋が出現しない場合は、周囲筋の緊張なども確認していき、どこに問題があるかを探っていきます。

関節の適合性に関しては厳密な評価が難しいですが、内反や外反のように圧が集中している部位と痛みがある部位が一致するなら、足底板などを使用して荷重部位を変化させることで除痛が期待できます。

次に関節の安定性を担う組織についてですが、主に靱帯と筋肉が対象となります。女性では先天的に靱帯が緩い人も多いため、前・後方引き出しテストや内・外反ストレステストを実施します。

また、女性は男性と比較して筋肉量が乏しいため、動的な安定性が低下しやすく、変形性膝関節症の発生も圧倒的に女性に多い傾向にあります。

安定性が乏しい関節には、膝サポーターを使用することで負荷を軽減することが可能です。また、周囲筋(とくに大腿四頭筋)を鍛えることで高い除痛効果を発揮します。

最後に過度な負荷ですが、適合性や安定性の乏しい関節に強い負荷や繰り返しの負荷が加わると、関節軟骨はより削られやすい状態となります。

そのため、減量や歩行補助具の使用にて膝関節に加わる荷重を減らしたり、運動をしばらく控えるなどして対応することが求められます。

腫脹や痛みなどの炎症所見が認められる膝OAでは、免荷は非常に重要かつ有用なアプローチ手段です。

ここで正しい対処がなされなかった場合、関節周囲の組織は摩耗していき、関節の変形を進行させてしまうことになります。

ただし、やみくもに杖の使用や安静を指示すると嫌がる患者は非常に多いので、あくまで炎症がおさまるまでの一時的な手段であることを伝えることが大切です。

筋力トレーニングを実施する際は、座位での膝関節伸展運動やエアロバイクなど、荷重位にない状態での運動にて対応します。

スクワットなどの荷重位での運動は炎症所見が消失してから開始するようにし、それまでは患部の治癒促進に努めます。

まとめ

初期の変形性膝関節症に対しては、炎症の有無を確認し、どこが原因となって痛みを起こしているかの推察が重要になります。

ガイドラインにおいて免荷や筋力強化の推奨度が「A」と示されているように、多くの患者において炎症を鎮めることが最優先課題のひとつです。

治癒を阻害させる生活要因を排除しながら、併行して膝関節周囲の筋肉を鍛えていき、痛みの再発を予防していくことが多くの症例で有用な治療手段といえます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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