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坐骨神経痛/梨状筋症候群のリハビリ治療

坐骨神経痛のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

坐骨神経痛の概要

坐骨神経は脊髄(L4-S3)から枝分かれして出てきた神経がまた集合して作られた神経束であり、人体で最大の直径と長さを持つ末梢神経です。

そこからは多くの神経が枝分かれして出ていくため、坐骨神経が圧迫を受けることで、それより末梢部分はすべて障害を受けることになります。

具体的には、大腿後面から下腿にかけて痛みやしびれ、筋力低下をきたします。その状態を坐骨神経痛と呼びます。

坐骨神経痛の約90%は腰椎椎間板ヘルニアに起因しており、他には脊柱管狭窄症、脊椎すべり症、梨状筋症候群などで起こります。

厳密には、椎間板ヘルニアが圧迫しているのは脊髄や神経根であり、坐骨神経になる前の部分になります。

そのため、あくまで坐骨神経領域が障害されている場合を指す言葉で、どこが障害されているかは精査していく必要があります。

坐骨神経

坐骨神経の走行

坐骨神経の走行は、腰仙骨神経叢➡梨状筋前面➡大坐骨孔(下殿神経と共に)と下行していって骨盤外に出ます。

そこから、大腿後面を通過しながらハムストリングと大内転筋に筋枝を出して支配し、膝窩部分で総腓骨神経と脛骨神経に分岐して終了します。

そのため、坐骨神経領域以下で総腓骨神経や脛骨神経も障害を受けることになり、結果的に大腿後面から下腿にかけての放散痛といった症状として現れます。

神経の役割は主に、脳からの運動指示を筋肉に送ることと、皮膚などの感覚器から受けた刺激を脳に伝えることのふたつがあります。

位置する場所から中枢神経(脳や脊髄)と末梢神経(坐骨神経など)に分類され、中枢神経が障害されると伝達が滞り、それ以下の神経がすべて障害されます。

末梢神経が障害された場合は、障害された部分が支配する領域(末梢神経の末梢部分)が障害され、それより中枢部は障害を受けることはありません。

これらの特徴を考慮しながら、どこまでが障害されているのかを正しく検査し、障害部位を特定していくことが重要になります。

坐骨神経を触診する

坐骨神経は人体最大の神経で太さは小指ほどあり、大転子と坐骨結節を結ぶ線上、坐骨結節から三分の一のところを走行します。

触診方法として、患者に仰臥位となってもらい、浅層にある大殿筋の緊張を緩めます。そして、大腿二頭筋長頭と大内転筋の間に指を入れて触知できます。

神経は圧迫されるとしびれを感じますので、もしも坐骨神経が問題となっているのなら、圧迫にて症状の再現が認められるはずです。

坐骨神経|触診

坐骨神経痛の原因を見極める

原因の約90%は腰椎椎間板ヘルニアに由来しますが、その圧迫される部位によっても症状は大きく異なります。

正中型ヘルニア 外側型ヘルニア
脊椎|椎間板ヘルニア|正中型 脊椎|椎間板ヘルニア|外側型

正中型ヘルニアでは、脊髄(馬尾神経)が圧迫されるので、それ以下のすべての領域に両側性で障害が出現する可能性があります。

しかし、外側型ヘルニアの場合は脊髄より分岐した神経根が圧迫されるため、その領域のみの片側にしか障害が起こりません。

例えばですが、外側ヘルニアでL4の神経が圧迫されていると、坐骨神経(L4-S3)の中のL4のみしか障害を受けないので、坐骨神経痛の症状も限定的といえます。

正中型ヘルニアや脊柱管狭窄症、脊椎すべり症では脊髄を圧迫しているので、それ以下の領域がすべて障害を受けることになります。

例えば、骨盤神経(S2-4)や陰部神経(S2-4)が障害を受けるため、脊髄の圧迫では排尿障害を併発する可能性が高くなります。

それに対して梨状筋症候群は坐骨神経のみの影響であるため、排尿障害などが起こることはないというのが鑑別のポイントになりえます。

リハビリで治せない坐骨神経痛

原因が椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎すべり症の場合は、基本的にリハビリで治すことはできません。

坐骨神経痛を改善させるためには神経の圧迫を取り除くしかありませんが、これらの障害に対する圧迫除去は、運動では通常困難とされています。

脊椎の姿勢矯正によって圧迫の度合いに変化を与えることも可能ですが、根本的な解決には至らない場合が多いです。

ヘルニアに関しては、牽引療法にて圧迫が軽減できる可能性もあるため、実施中や後のしびれの変化を聴取し、原因が本当にそこにあるかを確認していきます。

ヘルニアは放っておいたら治る

椎間板ヘルニアは運動で治ることはありませんが、実際には坐骨神経痛が改善する例もいます。しかしそれは、運動の効果ではなく自然吸収による結果です。

詳細は「椎間板ヘルニアの治療」に記載していますので、ここでは割愛しますが、神経を圧迫している髄核が自然吸収されて治癒します。

そして、これまで脊髄(坐骨神経が出ている中枢部)に機械的刺激を与えていた原因が消失し、しびれが弱まることによって治癒します。

下手に運動をすると神経を痛めてしまい、かえって悪化する場合もあるため、安静にしている方が治る可能性も高いといえます。

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リハビリで治せる坐骨神経痛

坐骨神経痛の中でも唯一リハビリで改善できるのが梨状筋症候群です。

梨状筋は殿部筋群に属する筋肉で、後面から見ると坐骨神経の上部手前を覆うように走行しています。

この筋肉がなにかしらの原因で障害を受け、過緊張や浮腫などをきたし、坐骨神経を圧迫してしびれを引き起こしているものを梨状筋症候群と呼びます。

梨状筋と坐骨神経

梨状筋や坐骨神経の表層には大殿筋が覆っているため、坐骨神経を触診にて圧迫していく際は、大殿筋の上から押さえていく必要があります。

大殿筋と坐骨神経

梨状筋と坐骨神経の関係

坐骨神経の走行はヒトによって違いがあることが報告されており、ほとんどの方はAタイプの梨状筋の下を通過しています。

残りの10%は坐骨神経を貫通していたり、梨状筋の上を通過することになります。

梨状筋症候群においては、タイプBの二股に分かれて一部が梨状筋を貫通しているものに発生しやすいことが報告されています。

坐骨神経は梨状筋の下を通過する 坐骨神経が梨状筋の一部を貫通する
坐骨神経が梨状筋を挟んで通過する 坐骨神経が梨状筋を貫く

梨状筋症候群の治し方

原因は梨状筋の過緊張や浮腫なので、梨状筋をリラックスさせて伸張することにより、坐骨神経への圧迫を軽減することが期待できます。

方法としては、梨状筋に対して圧迫刺激を加えたり、軽い筋収縮を起こすことで緊張を和らげて、血流を改善していきます。

お尻にテニスボールを置いて梨状筋を圧迫する方法もありますが、素人がやるとかえって坐骨神経を痛めてしまう場合もあるため注意が必要です。

緊張がほぐれたら、次は梨状筋の柔軟性を高めるためにストレッチしていきます。

梨状筋が過度に緊張していたり、あまりに強く伸ばすと神経を圧迫するため、梨状筋を緩めたあとに無理のない範囲で実施することが大切です。

方法として、あぐらをかいて座り、そのまま上体を前方に倒していきます。その際にお尻の筋肉が伸ばされるのを感じたら梨状筋が伸張できています。

お風呂上りなどで筋肉がリラックスしている状態のときに実践するとより効果的です。

梨状筋ストレッチ

床に座れない場合は、テーブルの横に立ち、片方の膝を曲げ、もう片方の脚の前から交差させて足首を反対の脚の膝の上に置き、上体を前傾させていきます。

その際も、お尻の筋肉が伸ばされるのを感じながら実践してください。

梨状筋ストレッチ2

閉塞性動脈硬化症との鑑別

その他の下肢のしびれを起こす障害として、下肢の閉塞性動脈硬化症(ASO)があり、日本では70歳以上の約2%に発生しているといわれています。

動脈硬化が起きやすい血管として、腹部大動脈や四肢への主幹動脈があり、中でも大腿動脈の閉塞は下肢のしびれを起こす原因となります。

ASOの場合は冷感や間欠性跛行が認められ、足背動脈や後脛骨動脈の拍動の触知しにくい状態となっています。

下肢のしびれが動脈硬化症に起因する場合は、積極的な歩行練習によって内皮機能や骨格筋での代謝順応性が改善し、しびれ感の軽減が認められます。

まずは病院を受診する

坐骨神経痛とひと口に言っても、その原因は様々です。前述したように、中にはリハビリで治る痛みも存在しています。

坐骨神経痛は治らないものと考えて放置していると、どんどん神経を痛めてしまい、原因が消えても神経が損傷しているために治らないといった危険もあります。

ですので、まずはお近くの医療機関を受診していただき、正しく原因について診察することをお勧めします。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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