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変形性膝関節症のリハビリ治療


変形性膝関節症(knee osteoarthritis:膝OA)のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

変形性膝関節症の概要

膝OAは加齢的変化に伴って関節周囲組織が変性し、大腿骨と脛骨の間(関節腔)が狭くなった状態を指します。

膝OAを起こしやすい危険因子(リスクファクター)として、①年齢、②女性、③肥満、④外傷の既往が挙げられます。

一次性(退行性変化)と二次性(外傷など)に大別され、日本人のほとんどは一次性の変形性膝関節症に分類されます。

半月板損傷や靭帯損傷といった外傷は、退行性変化を加速させる原因となりますので、障害の既往歴については把握しておく必要があります。

単純にOAは「加齢によるもの」と片付けてしまうと、どこが問題となって変形が進行したのかが不明確になってしまいます。

具体的に今後の予防策を考えていくうえでも、原因を考えながらアプローチしていくことが大切です。

壮年老年期の膝診断チャート

O脚とX脚について

変形性膝関節症はその変形方向から内反膝(O脚)と外反膝(X脚)に大別され、分類には大腿脛骨角(Femoro Tibial Angle:FTA)を参考にします。

大腿脛骨角は、その名の通りに大腿骨と脛骨が交わる線の角度で、正常値は170-176度とやや外反位にあるのが特徴です。

そのため、180度以上でO脚、165度以下でX脚と判定されます。日本人の変形性膝関節症のほとんどはO脚であり、全体の約90%を占めています。

靭帯骨格|X脚② 靭帯骨格|O脚②
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外傷後の発生(二次性)

変形性膝関節症は、半月板損傷や前十字靭帯(ACL)損傷の既往があることにより発生率が有意に高くなることが知られています。

報告によると、半月板切除術を施行して10-15年後の膝OAの発生率は、部分切除後で33%、全切除後で72%だったことが報告されています。

また、ACL再建術を施行して10-15年後の発生率は、ACL単独損傷で62%、半月板を複合損傷した場合で80%の症例に発生します。

膝関節の構造と変形の機序

詳細については、「膝関節の構造について」の記事で解説していますので、ここでは簡単に記載していきます。

まずは、下図に正常な膝関節を前面から見た画像を掲載します。

膝関節の構造①

次に、変形をきたした膝関節を前面から見た画像を掲載します。

変形性膝関節症のリハビリテーション

変形性膝関節症では関節内の半月板や十字靭帯、関節軟骨が摩耗し、関節腔が狭小化します。また、骨同士が衝突して骨棘が形成されたり、骨が溶けて骨嚢胞が発生します。

関節軟骨が摩耗して剥がれてしまうと、その一部が関節内を遊離して関節包の内膜である滑膜を刺激して炎症を起こします。

滑膜は関節内に滑液を分泌する役割を担っていますが、炎症が起きると滑液を過剰に分泌して関節内に水が溜まり、関節水腫(いわゆる水が溜まった状態)を引き起こします。

また、炎症が長期間にわたって持続すると次第に滑膜は肥厚します。

関節内組織である関節軟骨や半月板の一部は滑液から栄養を補給していますので、滑膜の炎症や肥厚は変性を加速させる原因になります。

周辺組織が変性すると膝関節にかかる荷重圧を均等に分散できず、部分的な負担が高まって関節変形を助長します。

変形した関節は正常とは違う場所で荷重を受け止めるようになり、荷重部分の面積を増やすために骨棘が形成されたり、骨を硬化させて対応しようと働きます。

このような流れで膝関節は徐々に退行性変化を辿るのですが、傷害が起きると荷重圧の変化が外傷時や術後に発生してしまい、外傷後10年以内といった短いスパンで変形をきたします。

膝関節が変形する生理学的機序

疼痛発生のメカニズム

痛みが発生する理由について、関節軟骨がすり減って、骨同士がぶつかっているから痛いのだと説明している場合がありますが、これは正しくありません。

まず、関節軟骨には神経が存在せず、関節軟骨の下にある骨(緻密質)にも神経はありません。神経がないということは痛みを感じないということです。

骨折したら激痛が起こりますが、それは骨幹部(骨の中央)の外層には骨膜が付着しているからであり、骨膜には神経が通過しているからです。

骨膜は関節面の手前で関節包(外側の線維膜と内側の滑膜)に移行するので関節面に骨膜はありません。しかし、関節を包んでいる関節包に関しては、骨膜の延長であるために神経を含んでいます。

このことから、実際に痛みを感じているのは関節包や関節周囲の神経を含んだ組織であり、それらが炎症や刺激を受けて痛みは誘発されています。

厳密に書くと、関節部の骨には神経がないので痛みは基本的に感じないのですが、軟骨下にある骨の中には血管(骨髄内小脈)があり、その血流が阻害されることで鈍い痛みを感じる場合もあります。

なぜ立ち上がるときに痛いのか

膝OAの患者では、しばらく休んだ後に立ち上がろうとした際に、一瞬ズキッとした痛みが生じることがあります。これをスターティング・ペインと呼びます。

これは関節内を満たしている滑液が循環せずに下方に溜まっており、関節のクッション作用が消失しているために起こるといわれています。

原因としては、滑膜の肥厚による機能低下や関節腔の狭小化(アライメントの崩れ)が関与しており、初期症状として現れる場合が多いです。

対策としては、動き出す前に膝関節を少し動かしておくことで痛みが軽減します。

スターティングペイン

半月板亜脱臼による痛み

内反膝の場合は膝関節内側が圧迫されるため、内側半月板が荷重圧を受けることで外側に押し出される場合があります。その状態を半月板亜脱臼といいます。

そうすると、押し出された半月板が外側を覆っている関節包を刺激するため、結果的に痛みが生じる場合があります。

 半月板亜脱臼

画像診断でのチェック項目

X線像

  1. FTAの角度
  2. 関節裂隙(関節腔)の広さ
  3. 骨棘の有無
  4. 軟骨下骨の骨硬化の有無 etc.
膝関節のレントゲン|チェックポイント

MRI画像

  1. 関節軟骨の摩耗
  2. 半月板断裂
  3. 靱帯損傷
  4. 骨壊死または滑膜の炎症(肥厚) etc.
膝関節のMRI画像|チェックポイント

健康関連QOLの評価法

膝関節及び股関節のOAに対する評価として、世界的に有用とされている方法が「WOMAC」と「SF-36」です。

疾患特異的尺度ではWOMACが、包括的尺度ではSF-36が優れています。下記はWOMACの簡略版です。

WOMAC簡略版

診療ガイドラインによる推奨度

<推奨度A>(行うよう強く勧められる)

  • 非薬物療法と薬物療法の併用が有用
  • 有酸素運動、筋力強化、関節可動域訓練の実施かつ継続を奨励する
  • 体重過多には体重をより低く維持することを奨励する
  • 歩行補助具により免荷をはかる
  • 非ステロイド性抗炎症薬を最小有効用量で使用する
  • 重篤な症例には関節置換術が有効かつ費用対効果の高い

<推奨度B>(行うよう勧められる)

  • 中等度までのOAは膝関節装具で疼痛緩和、転倒リスクを低下させる
  • 外側楔状足底板が症状緩和に有効
  • 外用NSAIDsは経口鎮痛薬等への追加または代替薬として有効
  • ヒアルロン酸注射は有用な場合がある

<推奨度C>(行うことを考慮してもよいが十分な根拠がない)

  • 定期的な電話指導は患者の臨床症状の改善に有効
  • 温熟療法は症状緩和に有効
  • TENSは短期的な疼痛コントロールの一助となる
  • 副腎皮質コルチコステロイドIA注射は治療に使用してもよい
  • 関節洗浄および関節鏡視下デプリドマンの効果は意見が分かれる

手術療法の適応

日常生活に支障をきたすような重度の膝OAに対しては、アライメントを整えて痛みを取り除くことを目的に手術が適応されます。

主に実施されている手術法として、骨切り術(高位脛骨骨切除術)と全人工膝関節全置換術(TKA)があります。

骨切り術では脛骨の骨幹端部あたりを骨切りし、中に人工骨などを挿入して関節のアライメントを調整していきます。

 脛骨高位骨切り術|変形性膝関節症に対する手術

TKAでは関節面である脛骨と大腿骨の骨端部を切除し、人工物に取り替えてしまう手術です。詳細については「TKAのリハビリ治療」に記載しています。

全人工膝関節置換術|TKA

膝痛に対する関節鏡視下手術の効果

Thorlund氏らは中高年の膝OAに対する関節鏡視下手術(骨切り術)について、システマティックレビューとメタ解析の結果を報告しています。

手術による痛みの改善効果は僅かであり、機能性に対する効果は認められないとの見解を示しています。(BMJ誌オンライン版2015年6月16日号)

3-24カ月の経過観察を実施した研究では、術後6ヵ月時点でVASは3-5㎜の改善と僅かで、術後24ヵ月時点では有意な改善は認めませんでした。

効果に対して、手術の合併症である深部静脈血栓症、肺塞栓症、感染症などのリスクを考慮すると骨切り術は支持できないと結論づけています。

膝OAのリハビリテーション

リハビリの目的は、主に疼痛の消失と生活レベルの向上です。それらを実現するためには、以下の方法を実施していく必要があります。

  1. 炎症症状の軽減
  2. 関節可動域の維持改善
  3. 膝関節周囲筋の筋力強化
  4. 筋緊張の緩和
  5. 食事指導による減量
  6. 歩行補助具を使用した免荷歩行
  7. 装具や足底板を使用したアライメント矯正

炎症症状の軽減

膝関節に炎症が認められる場合は、まずは炎症が落ち着くまで歩行補助具を利用して免荷を図ったり、適度な安静をとるように指示します。

ただし、炎症の早期沈静化には痛みのない範囲で動かしたほうがよいため、あまり活動を制限しすぎないことも大切です。

ひとりでも簡単にできる関節運動として、貧乏ゆすりのように関節を細かく動かす方法も有効です。

炎症が消失し、ある程度に関節の安定化が完了した関節では、重度の変形があっても痛みなく歩くことができる場合があります。

私は以前に膝関節痛のために歩行困難となった80代の女性を担当しましたが、その方は両膝にOAがあり、左に関してはFTAで200度もありました。

膝の変形や痛みがあるために、自宅では這って移動するような生活を3年以上も続けている状態にありました。

しかし、長年の安静によって膝関節の炎症は完全に落ち着いており、リハビリを担当してから1年で四点杖を使用した屋内歩行自立、押し車で自宅周辺を散歩できるまでに改善しました。

関節可動域の維持改善

膝関節に炎症があると関節周囲の組織変性が容易に進行し、拘縮が形成されて関節可動域が制限されることになります。

そのため、炎症期のROM-exは痛みのない範囲で実施するようにし、炎症が悪化しないようにコントロールすることが大切です。

とくに膝関節の伸展制限に関しては、歩行時のロッキングを不十分にし、内側広筋の出力を低下させて膝を不安定にします。

できる限りに可動域を維持・向上するため、最終伸展位で関節をやや引き離しながら、膝蓋骨(大腿骨)を下方に押し込むようにします。

そのポジションを5秒ほど保持し、一度緩めてからまた押し込むといった動作を繰り返して関節包を伸張していきます。

膝関節の屈曲制限に関しては、正座ができないといった訴えで問題視されることが多くあります。

正座は膝関節に負担がかかりすぎるのであまりよくないのですが、患者にとっての必要性が高いならアプローチしていきます。

具体的な方法としては、深屈曲位での伸展筋強化、下腿内旋の拡大、実際に正座の姿勢をとる持続伸張法などを実施します。

膝関節周囲筋の筋力強化

疼痛がある時期は非荷重下での運動が推奨されるため、徒手抵抗による筋力トレーニングやエアロバイクなどが有用です。

筋力を強化するためには高出力で少ない回数を実施することが理想ですが、高齢者ではそういったわけにはいきません。

そのため、高齢者は運動回数を増やして実施することが望ましいです。具体的には20回の3〜4セットで行います。

座位での膝関節伸展やSLR運動などは負荷量が低すぎる場合が多いので、私は徒手抵抗による運動を中心に実施することが多いです。

鍛えるべき筋肉はO脚とX脚と真逆になりますので、それぞれに必要な筋肉を把握しておくことが大切です。

O脚の場合は膝関節を外反させる筋肉(大腿骨を内転・内旋・伸展させる筋肉、膝関節を伸展させる筋肉、下腿を外転・外旋させる筋肉)です。

具体的には、股関節内転筋群や大殿筋、大腿四頭筋(とくに内側広筋)、大腿筋膜張筋などが挙げられます。

X脚の場合は膝関節を内反させる筋肉(大腿骨を外転・外旋させる筋肉、下腿を内転・内旋させる筋肉)です。

具体的には、中殿筋や小殿筋、股関節外旋六筋、外側広筋、鵞足筋(縫工筋・薄筋・半腱様筋)、半膜様筋などが挙げられます。

ちなみにストレッチしておくべき筋肉は、上記で挙げた筋肉とは反対に作用する筋肉(O脚なら膝関節を内反させる筋肉)になります。

体力を向上するには有酸素運動が必要ですが、とくにエアロバイクは膝に負担をかけることなく、体力から筋力まで鍛えられるので一石二鳥です。

周囲筋を強化することの目的はもうひとつあり、血流を良くすることで炎症の回復を早めるといった狙いもあります。

実際に立位レベルの運動を開始するのは炎症(痛み)が落ち着いてからとし、それまでは無理をしないほうが治りは早いです。

筋緊張の緩和

膝関節の痛みを即時的に改善できる場合というのは、周囲の筋肉に攣縮(過緊張)をきたしている時だといえます。

とくに大腿四頭筋や鵞足(縫工筋・薄筋・半腱様筋)は緊張が高い場合が多いので、しっかりと緩めておく必要があります。

大腿四頭筋に過緊張があると膝蓋骨の動きが乏しくなり、歩く際に痛みが出る原因となります。

具体的に緩める方法としては、膝蓋腱に圧迫を加えてからリラクゼーションを図り、その後に筋線維へマッサージを加えていくとよいです。

緊張が落ちたら膝蓋骨のモビライゼーションを実施し、最後に大腿四頭筋セッティングを行うことで柔軟性を確保します。

食事指導による減量

エクササイズによるカロリー消費は軽微であり、また、痛みがある患者には積極的な運動が困難です。そのため、減量には食事制限が重要です。

しかし、多くの場合は食事制限ができず、反対にストレスを溜め込んでしまう結果にもなりかねません。

そのような理由から、臨床では運動指導のほうが効果的と推奨されています。

また、個人的には食事制限はせずに、糖質だけ注意して減らす方法が継続しやすいかと思います。

実際に減量で痛みを改善するにはどれだけ減らす必要があるかという研究では、実感には最低でも体重の5%以上の減量が必要としています。

歩行補助具を使用した免荷歩行

炎症を緩和するためには患部の安静が必要と書きましたが、膝に負担をかけないために寝たきり状態となるわけにもいきません。

そこで効果的な方法が歩行補助具の使用です。減量のように時間もかかりませんし、即時的に痛みを緩和する効果も発揮できます。

以下に、代表的な歩行補助具と免荷の割合について記載します。なお、歩行器はつま先のみを接地した場合になります。

方法 免荷
歩行器 80%
松葉杖 67%
ロフストランド杖 33%
Q杖(四点杖) 30%
T杖(一本杖) 25%

パターンとしては、①平行棒➡②歩行器➡③Q杖➡④押し車➡⑤T杖という順序で進めていくことが多いです。

杖を使用する場合は、まずは3動作歩行を習得してから2動作歩行に移行するようにして、徐々に負荷を上げていくようにします。

また、歩行補助具とともに大切なのが一日の歩行量です。どれだけ免荷していても、歩く量が多すぎると膝関節の負担は増してしまいます。

はじめは1000歩程度から開始して、徐々に1500歩、2000歩と増やしていきます。量を増やせるかの目安として、次の日に痛みが増悪していないかを確認します。

装具を使用したアライメント矯正

患者に内反膝がある場合は、膝関節を外反方向に引き付ける作用のあるサポーターの装着を検討します。

サポーターには固有感覚を向上させたり、保温効果によって痛みを軽減するといった働きがありますので、アライメントの矯正以外にも効果が期待されます。

しかし、重度の変形や関節拘縮が強い場合は、矯正効果や安定化作用がないため、必ず使用前後の変化を確認してから装着の有無は決定してください。

よく装具をつけると筋力が低下するといいますが、使わなくなった分の筋力は他の運動で鍛えたらいいだけの話です。なので、あまり気にする必要はありません。

また、中敷きの外側が上がったものを使用することで、足関節を矯正的に外反させて連鎖的に膝関節を矯正させる方法もあります。

アライメントを変化させると足関節の荷重点が変化し、患者によっては足首に痛みを訴える場合もあるので、足関節サポーターなどを併用することも検討します。

O脚とX脚の矯正方法|インソール|中敷き

異常歩行の種類と特徴

変形性膝関節症に合併する異常歩行の多くは、外部膝関節内転モーメント(KAM)を減少させるための疼痛回避歩行になります。

どういうことかと言いますと、内反膝(O脚)の患者は膝内側に痛みがあるため、無意識のうちに膝内側に負担をかけないような歩き方となっています。

そのため、むやみやたらに正常歩行に近づけることが正しい選択とは限りません。修正する際は、そのあたりを十分に検討する必要があります。

具体的には、膝関節の炎症(痛み)が消失してから徐々に膝内側への負荷を高めていき、正常歩行に近づけるように調整していきます。

Toe-0ut歩行

Toe-Outとは、つま先を外側に向けた状態を指します。骨格には運動連鎖という機序が存在しており、足部の向きを変えるだけで大腿骨や体幹にまで影響を与えます。

下の図を見ていただくとわかりやすいですが、つま先を外側に向けると、大腿骨が内旋、脛骨が外旋し、膝関節には内側に偏位する力が働きます。

O脚のヒトでは、つま先を外側に向けることでKAMを減少させている場合があります。

靭帯骨格|つま先の位置

体幹の側屈動作

体幹の側屈による代償動作では、身体をO脚に傾けることにより、膝関節の負担を外側に逃がそうとしています。

また、中殿筋が弱化している場合も代償運動として出現するため、なぜ側屈動作が起きているのかを考えてみることが大切です。

変形性膝関節症|代償歩行|体幹側屈

歩行速度・歩幅の減少

膝に痛みがある方では、無意識に歩行速度を落としたり、歩幅を狭めることで膝関節へのストレスを減少させるようにしています。

力学的ストレスを考える場合、①荷重量、②荷重時間、③荷重面積の三つを考慮する必要があるのですが、速度や歩幅の調整もこの中に含まれます。

歩行速度を落とすことで衝撃(荷重量)を軽減し、歩幅を狭めることで荷重時間を短くしています。

ラテラルスラスト現象

膝内反で歩行することにより、足底接地から立脚中期にかけて急激に膝が外側へ動揺する現象を指します。

膝関節のロッキングが不十分なために動揺が起こりますが、外側へ偏位することでさらに膝内側部への負荷を高めてしまうので要注意な歩行です。

変形性膝関節症|代償歩行|ラテラルスラスト現象

膝関節屈曲位歩行

変形性膝関節症においては伸展制限が起こりやすく、踵接地時の膝伸展が不十分となり、立脚中期では身体重心が後方に残ってしまいます。

歩行を安定させるためには、重心を支持基底面の真上に位置させる必要があるため、足関節の過度な背屈動作で代償しようとします。

また、連鎖は他関節にまで波及していき、身体のあらゆる不調の原因となる可能性があります。

歩行時の筋活動|膝関節屈曲位歩行

膝関節以外へのアプローチ方法

膝関節に伸展制限が起こることで、股関節や足関節、脊椎などのアライメントまで変化し、他関節に対しても障害が発生します。また、これは逆もしかりです。

そのため、股関節や脊椎にアプローチすることで、結果的に膝痛が軽減する場合もあります。その一例の方法について解説していきます。

股関節に対するアプローチ

股関節に伸展制限がある場合、代償的に膝関節が屈曲してしまいます。また、拘縮がなくても、殿筋群の弱化によって歩行時の伸展が消失している場合も多いです。

大殿筋が弱ってしまうと、片脚立位時に股関節を伸展位に保つがことが困難となってしまい、結果的に膝関節が屈曲してしまいます。

 大殿筋が正常 大殿筋が弱化 
膝関節|大殿筋 膝関節|大殿筋②

殿筋群の筋力強化

殿筋群のトレーニングとして、幅広く用いられている方法にブリッジ運動がありますが、これはハムストリングスや脊柱起立筋群の代償が入りやすい運動です。

そのため、殿筋群が弱化しているケースでは代償にて実施している場合も多く、その際は思うような効果が得られません。

効果的に鍛えるためには、側臥位で膝関節伸展位、股関節を内旋位保持で外転及び伸展方向に持ち上げる方法が有用です。

体幹に対するアプローチ

脊椎(とくに胸椎)に円背変形がある場合、骨盤は後傾し、股関節が屈曲し、連鎖的に膝関節は屈曲方向に動きます。

胸椎は頸椎や腰椎に比べて可動範囲が狭く、最も制限をきたしやすい部位です。そのため、胸椎はとくに膝関節に影響を与えやすい(受けやすい)といえます。

胸椎のリラクゼーション

胸椎周囲筋のマッサージに関しては特別な手技はないので、緊張を感じられる筋を中心にマイルドにほぐしていってください。

リラクゼーションでは、呼吸介助法を用いて実施していきます。相手の呼吸に合わせて、最大呼気時に肋骨を呼気方向に圧迫します。

胸郭の上部では斜め下(30-45度)、下部では下肢方向へ圧迫を加えます。イメージとしては、皮膚を圧迫して引っ張り下ろす感覚で実施します。

そのようにして、膝関節から離れた部位から操作を加えることにより、アライメントを調整するアプローチを加えていくことも可能です。

お勧めの一冊

実際の現場において、ベテラン理学療法士たちがどのようにして変形性膝関節症にアプローチしているかをまとめた一冊です。臨床上の創意工夫がまとめられている実践的な技術書となっています。

参考資料/引用画像

  • 変形性膝関節症の病態・診断・治療の最前線(順天堂醫事雑誌.2013)
  • 理学療法士協会発行の診療ガイドライン

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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