この記事では、外腹斜筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
外腹斜筋の概要
外腹斜筋は側腹部の最外層表層に位置する筋肉で、語名はexternal(外側の)とoblique(傾いた)で構成されます。
外腹斜筋は内腹斜筋を覆っており、その走行から収縮すると体幹は反対側に回旋します。
また第5-12肋骨に起始を持つため、胸郭を引き下げて呼気を補助します。
※腹部の断面図 |
外腹斜筋は側腹部の最外層に位置し、腹直筋の表層まで覆っています。
日常生活では腹圧を高める排便や咳などのときに働き、スポーツではゴルフや野球のスイングなどの体幹を捻る動作で活躍します。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 肋間神経(胸腹神経および肋下神経) |
髄節 | Th5-12 |
起始 | 第5-12肋骨の外面 |
停止 | ①鼡径靭帯、腹直筋鞘前葉(第5-9肋骨から起始する線維)
②腸骨稜の外唇(第10-12肋骨から起始する線維) |
動作 | 体幹の側屈(同側)、回旋(反対側)、屈曲(胸郭の引き下げ) |
筋体積 | 70㎤ |
筋線維長 | 4.4㎝ |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
体幹屈曲 |
体幹側屈 |
体幹回旋 |
1位 | 腹直筋 | 外腹斜筋 | 内腹斜筋(同側) |
2位 | 外腹斜筋 | 内腹斜筋 | 外腹斜筋(反対側) |
3位 | 内腹斜筋 | 腰方形筋 | 脊柱起立筋 |
4位 | - | 脊柱起立筋 | 回旋筋 |
外腹斜筋の触診方法
写真では、触診側とは反対方向への体幹回旋と屈曲運動を行い、外腹斜筋を起始部(下位肋骨)にて触知しています。
下部線維は腸骨稜に指を当て、収縮を反復することで筋収縮が触知できます。
ストレッチ方法
うつ伏せで骨盤を床につけたまま、両手をついて上体を起こし、伸張したい外腹斜筋がある方に体幹を回旋していきます。
筋力トレーニング
膝立て位の仰向けとなり、両手は頭部のうしろで組み、そこから上体を起こしていきます。
外腹斜筋は反対側への体幹回旋に働きますので、鍛えたい外腹斜筋がある方とは反対側に体幹を回旋していきます。
腹筋群を鍛えるトレーニングで起き上がり運動を実施する場合は多いですが、屈曲初期では腹直筋が、後期では大腰筋が活躍します。
また、足部を固定すると大腿直筋が主に活動します。
腹斜筋を選択的に鍛えるためには、足部は固定せずに屈曲中期にて体幹を止めて、回旋動作を加えることで強力に負荷を与えることができます。
アナトミートレイン
外腹斜筋はLL(ラテラル・ライン)の筋膜経線上にあり、体幹の側屈や股関節の外転、足の外反といった運動機能に関与します。
姿勢保持では前後左右のバランスをとっており、他の浅層ライン(SFL・SBL・SPL)を仲介する役割を担います。
関連する疾患
- 脊髄損傷
- 頚髄症性不全四肢麻痺
- 慢性腰痛 etc.