この記事では、小菱形筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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小菱形筋の概要
菱形筋は大菱形筋と小菱形筋に分類されますが、明確な境界はなく、約11%はふたつが結合して菱形筋となっています。
頚椎から起始するほうを小菱形筋、胸椎から起始するほうを大菱形筋といい、小菱形筋は大菱形筋の上方を走行しています。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 肩甲背神経 |
髄節 | C4-5 |
起始 | 第6-7頸椎の棘突起または第7頸椎から第1胸椎の棘突起 |
停止 | 肩甲骨の内側縁上部 |
栄養血管 | 肩甲背動脈 |
動作 | 肩甲骨の内転,挙上,下方回旋 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
肩甲骨内転 |
肩甲骨下方回旋 |
肩甲骨挙上 |
1位 | 僧帽筋(中部) | 大菱形筋 | 僧帽筋(上部) |
2位 | 大菱形筋 | 小菱形筋 | 肩甲挙筋 |
3位 | 小菱形筋 | 小胸筋 | 大菱形筋 |
4位 | - | - | 小菱形筋 |
小菱形筋の触診方法
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腹臥位をとってもらい上肢を背中に回して肩甲骨を浮き上がらせ、肩甲骨内側縁を目印にして触診しています。
大菱形筋との境目を触知することは困難のため、第6・7頸椎棘突起を確認してから、上縁を確認するようにしながら小菱形筋は触診してください。
ストレッチ方法
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手で反対側の肩峰を前下方に引き寄せながら、肩甲骨を外転および下制していきます。
筋力トレーニング
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重りをできるだけ後方に高く引き上げます。
肩甲骨が内転するように意識して実施することにより、選択的に強化することが可能となります。
トリガーポイントと関連痛領域
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小菱形筋の圧痛点(トリガーポイント)は停止付近の肩甲骨内側縁に出現し、関連痛は肩甲骨内側縁に沿って放散します。
アナトミートレイン
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菱形筋はアナトミートレインにおけるDBAL(ディープ・バックアーム・ライン)の筋膜経線につながる筋肉です。
DBALは菱形筋を介して小指に終着しますので、硬結が存在すると指先まで牽引力が伝わり、手や小指にしびれが生じます。
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菱形筋はSPL(スパイラル・ライン)にも属しており、前鋸筋と対側の頭板状筋および頸板状筋と連結しています。
SPLは身体を二重ラセンで取り巻いており、主に回旋方向への力の伝達とバランスの維持に寄与します。
肩甲骨の深層で菱形筋と前鋸筋は強く接続しており、両筋は肩甲骨自体への付着よりも強力に深筋膜を介して連結します。
関連する疾患
- 胸郭出口症候群
- 肩関節不安定症
- 肩関節周囲炎 etc.