変形性指関節症(ヘバーデン結節/ブシャール結節)のリハビリ治療について解説していきます。
変形性指関節症の概要
指先が腫れて曲げると痛い。リウマチを疑われて検査するも陰性。
そんな症状のときに疑われる原因がヘバーデン結節、またはブシャール結節です。
上記の写真をみていただくと、薬指(第4指)の遠位指節間関節(DIP関節)と近位指節間関節(PIP関節)に関節腔の狭小化が認められます。
関節腔の狭小化が起きる代表的な疾患は変形性膝関節症ですが、それが指関節に起きる場合を変形性指関節症といいます。
最初に症例報告をした人の名前をとって、DIP関節の変形をヘバーデン結節、PIP関節の変形をブシャール結節と呼びます。
結節とは、指の節(ふし)が結び合わさることであり、関節の隙間がなくなって引っ付く様子を意味しています。
症状は他の変形性関節症と類似しており、発生したからといって必ずしも痛みや腫れを伴うことはなく、無自覚に進行しているケースも多いです。
ただし、病院に来院してくる患者は必ず痛みや腫れを伴っていますので(痛くないと病院に来ない)、正しく状態を把握することが求められます。
ヘバーデン結節は親指には発生しない
ヘバーデン結節とブシャール結節は第2指(人差し指)から第5指(小指)にしか発生せず、第1指(親指)には発生しません。
その理由は単純で、親指には指節間関節が1箇所しか存在せず、DIP関節とPIP関節がないからです。(母指はIP関節のみ)
ただし、これはあくまで診断名の話であり、もちろん母指にも変形は起こりますし、他の4指よりもその発生頻度は多いです。
変形性関節症は膝関節や股関節など、荷重を担う部位に多く発生しますが、手指のようにあまり負担のかからない部位にも発生します。
変形性指関節症のリハビリ治療
変形性指関節症は40歳代以降の女性に発生しやすく、手作業の多い仕事や遺伝的な要因が関与していると考えられています。
初期症状として痛みや腫れといった炎症が前触れなく出現し、進行に伴って関節の変形や骨棘の形成が認められます。
変形性指関節症を起こす原因のひとつとして、手の背側骨間筋にトリガーポイントが発生しており、タイトとなっていることが挙げられます。
手の背側骨間筋はアナトミートレインにおけるSBAL(スーパーフィシャル・バックアーム・ライン)の筋膜経線上に位置する筋肉になります。
このことから、肩こりが酷い(僧帽筋上部が硬い)患者では手指に変形が認められやすく、SBALのタイトを改善させることが重要となります。
テーピング療法
指先の使いすぎが要因になっていると考えられるなら、仕事量を制限するか、テーピングで関節の動きを制限することが有用です。
テーピングの利点は、圧を調整したり、運動を制限したい方向が決められるといった点が挙げられます。
下の写真では、第2指の近位指節間関節に1枚グルッと巻いており、軽く圧迫することで痛みを和らげています。
また、親指側にもう1枚貼ることで指関節が中指側に変形するのを防いでいます。
他にも背面に貼ることで指を曲げる方向を制限したりできますし、痛みのある方向への動きを止めることができます。
テーピングの注意点としては、強く圧迫すると指先の血流を止めてしまうことがあるため、指先に血がしっかりと通う程度で実施してください。
あくまでテーピングは補助的な手段であり、痛みが軽くなったからといって使い続けると炎症が悪化する可能性もあります。
炎症が認められる間は、無理して動かし続けると変形を助長させることになるため、早期の沈静化を図ることが大切です。