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指床間距離でアナトミー・トレイン(筋筋膜経線)を理解する


指床間距離(FFD)を計測する体幹前屈検査は、実はハムストリングの硬さを検査するものではないのです。その理由について解説していきます。

指床間距離について

立位にて膝関節伸展位のまま体幹を前屈していき、指先から床までの距離を測るのがFFDですが、これは必ずしもハムストリングの短縮のみを測っているわけではありません。

その証拠として、以下に足関節が中間位(背屈0度)である場合と足関節が底屈位である場合との体幹前屈検査の柔軟性を比較した画像を掲載します。

足関節は中間位 足関節は底屈位
体幹前屈検査|ハムストリングの短縮|スーパーフィシャルバックライン FFD|ハムストリングの短縮|スーパーフィシャルバックライン

私は身体が硬いほうなのですが、足関節を底屈位にしたら指先が足首まで到達することができます。簡単に試せるので、皆さんもぜひ試してみてください。

もしもハムストリングの短縮のみでFFDの距離が説明できるのなら、足関節の位置が影響するというのはおかしな話ですよね。

これを説明するための方法が、筋筋膜経線(アナトミー・トレイン)になります。

アナトミー・トレインの概要

アナトミー・トレインとは、筋筋膜(筋外膜)のつながりをひとつのレールとして表現したものです。

レールは人体に11本あり、レール上に存在する筋や靭帯などの組織は連結しているため、その中のひとつが緊張するとその他のすべてに影響を与えることになります。

ハムストリングの筋筋膜経線

体幹前屈の硬さは、もちろんハムストリングの短縮も影響しているのですが、単一筋の短縮だけで考えるのはすでに時代遅れとなっています。

もっと人体を連結させて考えていくためには、ハムストリングがどのレール上に存在しているかを確認し、そのレールに沿って考えることが重要です。

ハムストリングはスーパーフィシャル・バック・ライン(Superficial Back LIne:SBL)というレールに存在しており、この経線(ライン)は最も有名なアナトミー・トレインのひとつです。

スーパーフィシャル・バック・ライン

SBLは、足底から頭頂まで身体後面全体につながっており、このラインは足から膝までと、膝から眉までの2つの部分からなっています。

SBL

引用画像(1)

この代表的なSBLの絵を見ていただくとわかりますが、ハムストリングは下方に向かって腓腹筋(アキレス腱)、踵骨、足底筋膜(短趾屈筋)、趾骨の底面にまでつながります。

そのため、指床間距離は単純にハムストリングだけの影響ではなく、これらのすべての影響を受けることになるのです。

SBLの筋筋膜経路
1 趾骨の底面
2 足底筋膜および短趾屈筋
3 踵骨
4 腓腹筋・アキレス腱
5 大腿骨頭
6 ハムストリング
7 坐骨結節
8 仙結節靭帯
9 仙骨
10 腰仙椎筋膜・脊柱起立筋
11 後頭骨稜
12 帽状腱膜
13 前頭骨・眼窩上隆起

筋筋膜経線に準じたアプローチ方法

アナトミー・トレインを利用したFFDの簡単な改善方法として、末端に位置する足趾を屈曲させてみてください。たったこれだけで床までの距離が変わるはずです。

これは足趾を屈曲させることでSBLを緩めることができた証拠であり、FFDの制限がSBLであった根拠となります。

その他の方法として、足底腱膜をテニスボールで緩める方法もあります。足裏にボールを置いて、足底腱膜に沿いながらゆっくりと2-3分ほど転がします。

DSC01062

あまり強くやりすぎると短趾屈筋が緊張して逆効果となりますので、リラックスした状態でやわらかく動かしていくのがポイントです。

ボールの動きとしては、以下の緑色の線に沿うように実施し、5趾すべてに行き渡るように実施してください。

足底腱膜

神経系の影響について

FFDを伸ばすための別の方法として、神経系を利用する方法があります。具体的には奥歯を噛み締めるだけで前屈距離が伸びるようになります。

これは咬合によって神経系の意識を顎関節に集め、反対にハムストリングの緊張を調整する神経系を低下させることで起こります。

また、頸部を屈曲させることで脊髄が伸張されてしまうため、頸部を曲げすぎないようにすることで距離が伸びる場合もあります。

どこが最大の原因となっているかはそれぞれの方法で確かめることができるので、チェックしてみてください。

筋筋膜経線の種類と経路

SBL(スーパーフィシャル・バック・ライン)

アナトミートレイン|SBL|スーパーフィシャル・バック・ライン

SFL(スーパーフィシャル・フロント・ライン)

アナトミートレイン|SFL|スーパーフィシャル・フロント・ライン

LL(ラテラル・ライン)

アナトミートレイン|LL|ラテラル・ライン

SPL(スパイラル・ライン)

アナトミートレイン|SPL|スパイラル・ライン

SFAL(スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン)

 アナトミートレイン|SFAL|スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン

DFAL(ディープ・フロントアーム・ライン)

アナトミートレイン|DFAL|ディープ・フロントアーム・ライン

SBAL(スーパーフィシャル・バックアーム・ライン)

アナトミートレイン|SBAL|スーパーフィシャル・バックアーム・ライン

DBAL(ディープ・バックアーム・ライン)

アナトミートレイン|DBAL|ディープ・バックアーム・ライン

FFL(フロント・ファンクショナル・ライン)

アナトミートレイン|FFL|フロント・ファンクショナル・ライン

BFL(バック・ファンクショナル・ライン)

アナトミートレイン|BFL|バック・ファンクショナル・ライン

同側FL(同側ファンクショナル・ライン)

 アナトミートレイン|同側FL|同側ファンクショナル・ライン

DFL(ディープ・フロント・ライン)

アナトミートレイン|DFL|ディープ・フロント・ライン

まとめ

アナトミートレインのレールを覚えることで、アプローチの幅や考え方は変わるはずです。また、こういった仕掛けを利用することで、患者から驚きと信頼を得ることもできます。

ひとつ上の施術家を目指すのであれば、アナトミー・トレインの参考書はお勧めですよ!

引用画像/参考文献


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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