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斜角筋(群)のほぐし方からストレッチ方法まで解説


このページでは、斜角筋群(①前斜角筋、②中斜角筋、③後斜角筋)に関する充実したデータを閲覧することができます。

以下の目次で読みたい項目をクリックしていただくことにより、すぐに必要な情報にたどり着けるのでご活用ください。

斜角筋の解説

斜角筋(scalenus)は、前・中・後の3つの筋肉から構成される筋群で、頸椎の前側方に位置する深層筋になります。

第1肋骨と第2肋骨を引き上げることにより胸郭を拡大させ、息を吸い込む作用を持っており、横隔膜の補助筋として働きます。

平常時の呼吸は横隔膜の収縮と弛緩でほとんどが事足りるため、斜角筋が関与することはありません。

しかし、運動後などで酸素が足りなくなっている場合は、より多くの酸素を取り込むために斜角筋などの呼吸補助筋が活動します。

そのため、普段から活動している筋肉ではないことから、斜角筋は速筋線維の割合がとても多くなっています。

基本的には肋骨を引き上げる筋肉ですが、停止部の肋骨が固定されている場合は、頚椎を屈曲させる方向に働きます。

片側のみが収縮する場合は頚椎の側屈(同側)に働き、胸鎖乳突筋の補助筋として貢献します。

①前斜角筋の解説

前斜角筋P

①支配神経

頚神経叢および腕神経叢

②髄節

C5-7(又はC4-7

③起始

3-7頸椎(又は4-6)の横突起の前結節

④停止

1肋骨の前斜角筋結節(リスフラン結節)

⑤栄養血管

上行頸動脈(下甲状動脈の枝)

⑥動作

1肋骨の挙上、頸椎の屈曲と側屈(同側)

⑦筋体積

3.8

⑧筋線維長

4.6

⑨速筋:遅筋(%)

70.030.0 斜角筋群のデータ

前斜角筋(scalenus anterior)は、斜角筋群の中で筋体積が最も小さい筋肉であり、名前の通りに3つの中で前方に位置しています。

中斜角筋と後斜角筋が横突起の後結節から起始しているのに対して、前斜角筋は前結節から起始しているのが特徴です。

前斜角筋の触診方法

前斜角筋の触診方法

上の写真では、胸鎖乳突筋鎖骨部と僧帽筋上部線維の間に指腹を当て、頸部を屈曲または側屈させることで筋の収縮を確認しています。

頸部を反対側に回旋させることで胸鎖乳突筋が膨隆するので、その外方から鎖骨上に指をあてることで触れやすいです。

指を少し左右に動かすと前斜角筋と中斜角筋の隙間(斜角筋隙)が確認できるので、その前方が前斜角筋になります。

斜角筋隙と斜角筋症候群

斜角筋隙(別名:斜角筋三角)は、①前方を前斜角筋、②後方を中斜角筋、③下方を第一肋骨にて構成する三角形の空間です。

斜角筋隙には鎖骨下動脈と腕神経叢が通過しているため、強く圧迫すると不快感を訴えることになります。

上肢の挙上を繰り返す作業などで斜角筋群に負担がかかりすぎると、筋肉が肥厚してしまい、斜角筋隙が狭小化する場合があります。

狭小化すると、鎖骨下動脈と腕神経叢を圧迫し、上肢に痛みや痺れを起こします。その状態を斜角筋症候群と呼びます。

斜角筋群が補助的に吸気に作用することは前述しましたが、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患が存在すると緊張が高くなりやすく、斜角筋症候群が発生しやすいです。

②中斜角筋の解説

中斜角筋P

支配神経

頚神経叢および腕神経叢

②髄節

C3-8(又はC2-8,C4-8

③起始

2-7頸椎(又は1-7)の横突起の後結節

④停止

1肋骨周辺に広く停止

⑤栄養血管

上行頸動脈(下甲状動脈の枝)

⑥動作

1肋骨の挙上、頸椎の屈曲,側屈(同側)

⑦筋体積

11.0

⑧筋線維長

6.0

⑨速筋:遅筋(%)

70.030.0 ※斜角筋群のデータ

中斜角筋(scalenus medius)は、斜角筋群の中で筋体積が最も大きい筋肉であり、名前の通りに3つの中で真ん中に位置しています。

前斜角筋と共に斜角筋隙を構成しているため、しばしば上肢のしびれを引き起こす原因の筋肉となっています。

中斜角筋の触診方法

中斜角筋の触診方法

上の写真では、頸部を反対側に回旋させて胸鎖乳突筋を膨隆させ、その外方から鎖骨上に指をあてて中斜角筋を触診しています。

指を少し左右に動かすと前斜角筋と中斜角筋の隙間(斜角筋隙)が確認できるので、その後方が中斜角筋になります。

斜角筋隙には鎖骨下動脈が通過しており、指が触れることで拍動を触知できるため、慣れると間違わずに簡単に触診できます。

③後斜角筋の解説

後斜角筋P

①支配神経

頚神経叢および腕神経叢

②髄節

C7-8

③起始

5-7頸椎の横突起の後結節

④停止

2(又は3)肋骨

⑤栄養血管

上行頸動脈(下甲状動脈の枝)

⑥動作

2肋骨の挙上、頸椎の屈曲と側屈(同側)

⑦筋体積

5.2

⑧筋線維長

5.8

⑨速筋:遅筋(%)

70.030.0 ※斜角筋群のデータ

後斜角筋(scalenus posterior)は、斜角筋群を構成する3つの中で後方に位置しており、ヒトによっては欠如している場合もあります。

前斜角筋と中斜角筋の停止部が第1肋骨に対して、後斜角筋は第2(又は第3)肋骨に停止しているのが特徴です。

斜角筋隙の構成には関与していないため、臨床上はあまり問題とはならない場合が多い筋肉になります。

後斜角筋の触診方法

後斜角筋の触診方法

上の写真では、中斜角筋後方および肩甲挙筋前方に指腹を押し込んで、後斜角筋を触診しています。

肩甲挙筋は頸部の側屈運動には関与しませんので、側屈運動を実施させて抵抗をかけることにより、筋の位置がより把握しやすくなります。

ヒトによっては欠如している場合もあり、他の2つよりも触診しにくいので、注意深く観察してみてください。

斜角筋群の運動貢献度(順位)

【頸部屈曲に作用する筋肉】

  1. 斜角筋群
  2. 舌骨下筋群
  3. 椎前筋群

【頸部側屈に作用する筋肉】

  1. 胸鎖乳突筋
  2. 斜角筋群
  3. 脊柱起立筋
  4. 板状筋群

斜角筋のストレッチ

斜角筋群のストレッチ方法①

中斜角筋の後方で鎖骨下に指を入れて第1肋骨を引き下げ、反対側に頸椎を伸展側屈させていきます。

斜角筋群のストレッチ方法②

枕のない状態で仰向けになり、頸部を回旋側屈させた状態に保持し、そこから手で側頭部を軽く押しながら筋肉をストレッチします。

斜角筋の筋トレ

筋トレ|スパイン・ネック・フレクション|斜角筋

ベッドにて仰向けになり、頭部をベッドの端から落とします。その状態から頸部を屈曲させて頭部を持ち上げていきます。

筋トレ|ネック・フレクション・ブリッジ|頸部屈筋群

椅子にタオルを敷いて前頭部を乗せた状態からブリッジングを実施して身体を支えます。負荷が高いので痛みに注意しながら実施してください。

筋トレ|タオル・ネック・サイドフレクション|斜角筋

頭にタオルを引っかけて両端を手で握り、頸部側屈方向に引っ張ります。頸部はそれに逆らって反対方向への側屈に力を入れます。

斜角筋の関連痛領域

斜角筋群の関連痛領域

斜角筋は正常なヒトでも圧痛が起こりやすい筋肉であるため、圧痛点も全域にわたって触知できる場合が多いです。

関連痛は、頸部から肩関節、肩甲骨、上肢の外側を下行しながら第1〜2指までに波及します。

前斜角筋と中斜角筋の過度な緊張は、斜角筋隙を狭めて腕神経叢を圧迫するため、肘あたりから指先にかけての不快感を起こします。

斜角筋のマッサージ(ほぐし方)

斜角筋は痛みを誘発しやすく、さらに斜角筋隙には鎖骨下動脈や腕神経叢が通過しているため、むやみにマッサージをするのは危険です。

そのため、私が実際に治療する際は、十分に筋肉をリラクゼーションさせて、圧痛が軽減してから指を触れるようにしています。

具体的には、頭部をベッドの端から落とした状態に保持し、そこから頸部の屈伸動作を補助的に反復させながら筋収縮を誘発します。

過度に緊張している筋肉は、軽い筋収縮を繰り返すことでリラックスしていくので、圧痛が軽減するまでこの動作を繰り返します。

圧痛が軽減したら、治療する筋肉側に頸部を屈曲側屈させ、斜角筋が弛緩するポジションに頭部を保持します。

そこから前斜角筋と中斜角筋を中心に四指を用いてほぐしていくことで、不快感も少なくマッサージすることが可能となります。

お勧めの一冊

斜角筋群の触れ方やマッサージ方法を学ぶうえで、動画でわかりやすく解説しているので、明日からすぐに治療で役立てる内容となっています。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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