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新型腰痛「殿皮神経障害」の原因と治療法について

2017年11月14日放送「名医とつながる!たけしの家庭の医学」で紹介された新型腰痛こと殿皮神経障害について解説します。

殿皮神経とは

殿皮神経は「殿部の皮膚を支配する神経」であり、簡単に書くとお尻の感覚を伝えている神経になります。

殿皮神経は上殿皮神経と下殿皮神経の総称であり、実際はお尻の上部と下部で支配神経が異なるので注意してください。

殿皮神経は大殿筋の表層を走行しながら殿部の皮膚に神経を与えていますが、その時に筋肉の過度な緊張があると神経が圧迫を受けます。

厳密に書くと、筋肉の表層を覆っている筋膜が硬い状態が殿皮神経に障害を及ぼすので、治療では筋膜を緩めることが重要となります。

以下に、番組でも紹介された殿皮神経障害の特徴を、なぜそうなるかの理由も付け加えながら解説していきます。

1.鋭利痛が起こる

一般的な腰痛は、腰全体に重苦しい痛み(鈍痛)が出現しますが、殿皮神経障害は針で刺されるような鋭い痛み(鋭利痛)が起こります。

これはタイトになった筋膜が引き伸ばされる度に、その部分を通過している皮神経が強い圧迫刺激を受けることに起因します。

たとえ強い刺激でなくても、繰り返される刺激で神経が炎症を起こしていると過敏に反応するので、しばしば強烈な疼痛を訴えます。

重苦しい痛みは椅子に長く座っているときなどに出やすく、これは腰の筋肉が伸ばされて血流障害を起こしていることが原因だったりします。

2.寝返りで強い痛みが出る

一般的な腰痛は、座っているときなどに痛みが起こりやすいですが、殿皮神経障害は寝ているときや寝返り時に強い痛みが出ることが特徴です。

理由としては、殿皮神経はお尻の表層を走行しているため、仰向けで寝るとお尻が床と接地し、神経が押し潰されることに起因します。

寝返り時に強い痛みが出るのは、大殿筋という筋肉は股関節が内旋すると引き伸ばされるため、そこで皮神経が圧迫されて痛みが出ます。

そのことから、寝返りする方向とは反対側のお尻が痛くなるため、どちらの方向に寝返ってどこが痛むかは重要な所見となります。

3.歩くと腰に強い痛み出る

人間と猿の違いは二足歩行ですが、それを実現させたのは「大殿筋の発達」と言ってもいいほどに重要なのがお尻の筋肉です。

歩行時は大殿筋が強く働くために、その表層を覆っている筋膜が影響を受け、それがさらに皮神経を圧迫することで痛みが起こります。

大殿筋は立脚期(脚を地面に付いている時期)に作用するため、痛みが強い人ではほとんど脚に体重をかけられなくなります。

そのため、障害がある側の立脚期は短くなり、重症の場合はびっこを引くような歩き方をしてしまうことになります。

4.脚全体がしびれる

殿皮神経は「お尻の感覚だけを伝える神経」であるため、脚全体の感覚を支配しているのは別の神経です。

それでは、なぜ殿皮神経障害で脚全体がしびれることがあるのかですが、そこに関与しているのが筋膜になります。

筋膜は全身をボディースーツのように覆っているため、どこか1箇所に歪みが生じると、その先にある筋膜を引っ張ることで関連痛が生じます。

関連痛とは、障害がある部位とは離れた場所に痛みが起こる現象であり、これは多くの痛みで日常的に発生するので珍しいことではありません。

大殿筋は非常に大きな筋肉であるため、しばしば筋膜障害の原因となりやすく、脚にまでしびれが波及していきます。

殿皮神経障害の治し方

たけしの家庭の医学では、お風呂上がりに仰向けとなり、片方の脚を反対側にひねってお尻を伸ばすストレッチが紹介されていました。

もちろんそれだけでもやったほうがいいのですが、硬結している部分をほぐすためには、やはり直接的にアプローチしたほうがいいです。

ここからは専門家向けに治療法を書きますが、大殿筋はラテラルラインに属しており、このラインは腸骨稜を通過しています。

腸骨稜の上方には上殿皮神経が通過しているため、このラインが硬くなると上殿皮神経障害を起こします。

アナトミートレイン|LL|ラテラル・ライン

治療するポイントは筋膜がねじれている部分であり、そこには一定のパターンが存在するので覚えておくと治療が効率化します。

一つ目は腸骨稜の上部であり、そこから上殿皮神経が表層に出てきますので、上殿部に痛みが強い場合は圧痛を確認してみてください。

ラテラルラインの筋膜が硬くなっている場合は、大腿外側から下腿外側、足部外側にまで痛みやしびれが波及することになります。

腰痛の治療点1

二つ目は大殿筋中央の深層で、ここは股関節の深層外旋六筋との結合を持っており、ここが滑らなくなると股関節の外旋障害を起こします。

深層外旋六筋のひとつである梨状筋が過度に緊張すると、その深層を通過する坐骨神経に障害を及ぼします。

そうすると、大腿後面から下腿前面後面、足部にまで痛みやしびれが波及することになります。

腰痛の治療点2

上記の2つのポイントは非常に重要であり、腰痛の治療でも効果を発揮できる部分なので是非とも覚えておいてください。

治療方法はとても簡単で、しばらく圧迫しながらマッサージを加えていき、硬さがとれるまで実施するとよいです。

ちなみにですが、下殿皮神経障害はほとんど存在しないので、あくまで新型腰痛は筋膜由来の上殿皮神経障害であるといえそうです。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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