有痛性分裂膝蓋骨のリハビリ治療

有痛性分裂膝蓋骨のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。

有痛性分裂膝蓋骨の概要

有痛性分裂膝蓋骨

分裂膝蓋骨(二分膝蓋骨)とは、名前の通りに膝蓋骨が分裂している状態で、そのほとんどは先天性のものです。

そのため、単純X線写真などを撮影して分裂膝蓋骨が見つかっても、本当にそれが痛みの原因になっているかは鑑別が必要です。

後天的に膝蓋骨に衝撃が加わって分裂しているもの、または骨折線が入っているものは必ず痛みを伴うため、それらは治療を要します。

痛みを伴う分裂膝蓋骨を「有痛性分裂膝蓋骨」と呼び、主に成長期(10代前半)のスポーツ習慣者に発生しやすいです。

単純X線写真

有痛性分裂膝蓋骨

上の画像のケースでは、膝蓋骨の左上(外側)に欠けている部分がみられ、その部位に強い圧痛が認められました。

おそらく膝蓋骨にヒビが入っている状態であり、後天的に分裂しかけていると考えられ、安静と固定が必要な状態といえます。

患者の多くは外側上方に問題をきたしているため、リハビリにおいては膝蓋骨の外側上方にかかるストレスを取り除くことが必要です。

外側上方にストレスが加わる原因

外側広筋と外側膝蓋支帯

膝蓋骨の外側上方に加わるストレスが増大する原因としては、①外側広筋、②大腿筋膜張筋、③外側膝蓋支帯の柔軟性低下が挙げられます。

また、スポーツ動作時にニーインの姿勢になると、外側広筋の収縮と合わさっって過剰な伸張ストレスを高めることになります。

有痛性分裂膝蓋骨とニーイン

膝蓋骨が内側に入ると外側広筋が伸張されるので強い張力が加わり、反対に内側広筋は弛緩するので張力が弱まります。

この姿勢でジャンプの着地動作を繰り返すと、膝蓋骨の外側上方は外側広筋からの牽引ストレスを受け続け、分裂を起こすことになります。

リハビリテーション

  1. 安静指導
  2. 膝蓋骨外側組織の伸張
  3. 筋力トレーニング
  4. スポーツ動作の姿勢指導 etc.

①安静指導

有痛性分裂膝蓋骨の治療で最も重要なのは安静の指示であり、膝蓋骨が分裂している部分に加わる離開ストレスを軽減することです。

患者の多くはスポーツ習慣者であるため、痛みが消失するまでは部活を休むようにしてもらうことが必要です。

また、日常生活においても離開ストレスが加わる場面は多いため、膝蓋骨を固定するサポーターを着用することも有効です。

②膝蓋骨外側組織の伸張

有痛性分裂膝蓋骨は外側広筋の付着部で分裂することが大半ですが、分裂部に影響しているのは腸脛靭帯より起始する外側広筋です。

そのため、外側広筋の硬さ以外にも、腸脛靭帯の硬さ、大腿筋膜張筋の硬さ、外側膝蓋支帯の硬さなどが影響を与えています。

それらの組織の柔軟性を改善させることが再発予防には必要となるため、徒手的にマッサージを行います。

③筋力トレーニング

有痛性分裂膝蓋骨が10代前半のスポーツ習慣者に発生しやすいことは前述しましたが、ほとんどの場合は筋力低下は存在しません。

そのため、厳密には筋力トレーニングではなく、身体の適していない動き(ニーイン)を修正するための反復運動が必要となります。

方法としては、単純なスクワット動作でもよく、膝関節を曲げるときに膝が内側に入らないように注意して実施してもらいます。

他にも、膝を曲げた状態で片脚に体重をかけるようにしてもらい、その時に膝関節を真っ直ぐに保つような練習なども効果的です。

④スポーツ動作の姿勢指導

どのような動きで障害をきたしているかは患者によって異なるため、まずは何のスポーツをしているかを確認することが大切です。

バスケットボールならジャンプ動作が多いので、着地のときの姿勢が影響している可能性は非常に高いです。

前述したようにほとんどの場合はニーインなどの不良姿勢が関与してるため、そこだけでも修正するように指導してください。

スポーツ復帰の時期

復帰の時期は損傷の程度にもよりますが、保存療法で少なくとも1ヶ月以上の安静は必要と考えられます。

目安としては、日常生活で完全に痛みがなくなってからで、そこから徐々に軽いジョギングから開始します。

全力の80%ほどで走っても問題がないようなら徐々に復帰は可能ですが、必ず主治医と相談してから決定するようにしてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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