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棘上筋

棘上筋に関する充実したデータ(ストレッチ、筋力トレーニング、マッサージ方法など)をここでは閲覧できます。目次は以下になります。

棘上筋の概要

棘上筋(supraspinatus)は肩甲骨後面の上方(棘上窩)から起始し、上腕骨大結節の上部に停止しています。

主な作用は肩関節の外転ですが、骨頭中心からの距離が短いために外転力はそれほど強くなく、それよりも外転時に骨頭を関節窩に引きつける作用のほうが臨床上は重要です。

また、棘上筋は回線軸を前後にまたぐ筋肉であるため、前部線維には内旋作用が、後部線維には外旋作用があります。

棘上筋のように関節を動かすよりも関節を固定させる役割が大きいのは深層に位置する筋肉の特徴であり、棘上筋も表層は僧帽筋に覆われているため、深層筋(インナーマッスル)に分類されます。

棘上筋は外転時に肩峰と上腕骨頭の隙間で挟み込まれやすいため、滑りを良くするために棘上筋上面には肩峰下滑液包が存在しており、腱が擦れることを防いでいます。

しかし、加齢による組織の退行性変化により滑りが悪くなり、そこに繰り返される機械刺激や大きな負荷が加わることで棘上筋腱は断裂する場合が多く、高齢者では約4割に大小なりの断裂像が確認できます。

棘上筋が断裂すると肩関節の固定力が乏しくなるため、重いものを持った際に力が入りにくく感じたり、肩関節の挙上(とくに外転)の運動制限が認められるようなになります。

 1.前方から見た棘上筋
棘上筋|正面
 2.側方から見た棘上筋
棘上筋|側面
 3.後方から見た棘上筋
棘上筋|後面
支配神経 肩甲上神経
髄節 C5-6
起始 肩甲骨の棘上窩
停止 上腕骨の大結節上部、肩関節包
栄養血管 肩甲上動脈
動作 肩関節の外転、外旋(後部線維)、内旋(前部線維)
筋体積 89㎤
筋線維長 4.3㎝
速筋:遅筋(%) 40.7:59.3

回旋筋腱板を構成する4つの筋肉

回旋筋腱板(単に腱板とも呼ぶ)を構成する筋肉は、①棘上筋、②棘下筋、③小円筋、④肩甲下筋の四つになります。

下図を見ていただくとわかりやすいですが、これらの筋肉は上腕骨頭を囲むように付着しており、肩関節を安定させるために貢献しています。

棘上筋腱と肩甲下筋腱の間だけは隙間が存在しており、その部分を腱板疎部と呼んでいます。

その中でも棘上筋は肩関節挙上時に上腕骨頭を関節窩に固定させる作用があるため、ここが障害されると骨頭を正しい位置に保持できなくなります。

具体的には、肩関節を三角筋のみで挙上しようとして上腕骨頭が関節上方に浮きあがってしまい、正しい運動方向に骨頭が回転せず、肩峰と上腕骨頭が衝突(インピンジメント)を起こします。

肩関節腱板筋

棘上筋の機能を代償しうる筋肉

棘上筋の機能を唯一代償できる筋肉が棘下筋になります。棘上筋と棘下筋は停止部付近で腱連結しており、ひとつのユニットとして存在します。

とくに棘下筋の上部は棘上筋と近いベクトルを有しているため、肩関節を固定させながら挙上する力を持ち合わせています。

肩関節挙上が困難となる症例の多くは棘下筋まで損傷しており、広範囲断裂例ほど機能予後は不良となります。

そのため、棘上筋のみの断裂例では積極的に鍛えることで機能回復を期待することができます。

具体的な方法として、側臥位にて肩関節をゼロポジションに誘導し、その位置を保持してもらうように等尺性収縮を行っていきます。

棘上筋や肩峰下滑液包に重度の炎症がある場合は、収縮による疼痛が出現するため、その場合は過度な運動は控えるように注意します。

また、炎症が進行して棘上筋腱と肩峰下滑液包(上方組織)が癒着すると、結帯動作を著名に制限する原因となります。

棘上筋の運動貢献度(順位)

貢献度 肩関節外転 肩関節外旋
1位 三角筋(中部) 棘下筋
2位 棘上筋 小円筋
3位 前鋸筋 三角筋(後部)
4位 僧帽筋 棘上筋

※棘上筋は回旋筋腱板のひとつですが、回旋にはあまり貢献しません。

棘上筋の触診方法

棘上筋の触診で大切なことは、表層を覆っている僧帽筋の活動が極力無い状態で行うことです。上肢を机などに乗せることでリラックスさせることができます。

写真では、棘上窩で棘上筋の筋腹を触診し、肩関節を外転方向に力を入れることで収縮を感じとるようにして触診しています。

自己触診:棘上筋

ストレッチ方法

①肩関節を軽度伸展・内旋、肘関節を軽度屈曲位とし、もう片方の手で上肢を把持して肩関節を内転方向に引き寄せていきます。
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②健側でストレッチしたい上肢を把持して、他動的に脊椎に沿って上方に引き上げていきます。筋収縮が入らないようにリラックスした状態で実施します。
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筋力トレーニング

①健側の上肢で肩関節外転に抵抗をかけることにより棘上筋を鍛えることができます。
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②棘上筋エクササイズは、肩甲棘と上腕骨軸が適合する「scapular plane」上(前額面より約30-45°前方に位置した面)で外転運動を実施すると効果的です。
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③立位にてダンベルを握り、肩関節を45度の範囲で外転していきます。肩部が挙上するようならダンベルが重すぎるということなので、軽いものに変えて実施します。
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棘上筋の痛みとトリガーポイント

棘上筋のトリガーポイントは起始付近にあり、関連痛は肩外側(三角筋中部領域上)から前腕外側にかけて波及します。

しばしば五十肩と間違われるため、トリガーポイントに圧迫を加えて痛みの再現性があるかを確認することが必要となります。

棘上筋のトリガーポイントと関連痛領域

マッサージ方法

患者には腹臥位で腕を背中にまわしていただき、肩甲骨を浮き出させます。術者は肩甲骨棘を両母指で圧迫しながら、交互にスライドさせていきます。

筋硬結部を見つけたら、その都度に持続圧迫を加えてリリースしていきます。

棘上筋の浅層には僧帽筋が覆っていますので、まずは僧帽筋が十分にリラックスできるように整えてから実施してください。

また、インピンジメント障害により微細断裂などを起こして痛みが発生している場合は、はマッサージが逆効果となる場合もあります。

そのため、実施前に必ずエピソードや痛みの発生時期を確認することが大切です。

棘上筋|浅層筋

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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