この記事では、橈側手根屈筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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橈側手根屈筋の概要
橈側手根屈筋は前腕前面浅層に位置し、上腕骨の内側上顆から起始しており、第2中手骨底の掌側面に停止する二関節筋になります。
主な作用は手関節の掌屈と橈屈ですが、内側上顆から斜め外方へと走行しているため、肘関節の屈曲と前腕回外位での前腕回内にも作用します。
手関節の掌屈は橈側手根屈筋と尺側手根屈筋の両者がバランスをとって実行するため、片方に機能低下が生じると橈屈や尺屈を伴った掌屈となります。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 正中神経 |
髄節 | C6-7 |
起始 | 上腕骨の内側上顆 |
停止 | 第2または第3中手骨底の掌側面 |
栄養血管 | 尺骨動脈 |
動作 | 手関節の掌屈,橈屈、肘関節屈曲、前腕回内 |
拮抗筋 | 短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋 |
筋体積 | 35㎤ |
筋線維長 | 9.0㎝ |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
手関節掌屈 |
手関節橈屈 |
前腕回内 |
1位 | 浅指屈筋 | 長橈側手根伸筋 | 円回内筋 |
2位 | 深指屈筋 | 長母指外転筋 | 方形回内筋 |
3位 | 尺側手根屈筋 | 長母指伸筋 | 橈側手根屈筋 |
4位 | 橈側手根屈筋 | 橈側手根屈筋 | - |
前腕の断面図
前腕中央を断面でみた場合、橈側手根屈筋は背面の中央部に位置しているのがわかります。
そのため、あまり手関節の橈屈に対する貢献度は高くなく、手関節掌屈と橈屈といった複合的な動きでの貢献度が高い筋肉になります。
橈側手根屈筋の触診方法
橈側手根屈筋の触診では、先に長掌筋腱の位置を把握した後、そのすぐ撓側を走行している腱を確認します。
拳を握りしめたときに手首に浮き上がっている腱は、中央部が手掌筋、親指側が橈側手根屈筋、小指側が尺側手根屈筋になります。
そのまま腱を近位に辿っていくことにより、橈側手根屈筋の筋腹を触知することができます。
写真では、手関節を掌屈・橈屈させることにより、橈側手根屈筋を腱部にて触診しています。
ストレッチ方法
肘関節伸展・前腕回外・手指屈曲位とし、母指を中に握り込んで、もう片方の手で手関節を背屈・尺屈に誘導していきます。
筋力トレーニング
立位にて上肢を伸展した状態でダンベルを握り、肘関節は伸展した状態で手首を橈屈・掌屈させていきます。
トリガーポイントと関連痛領域
橈側手根屈筋の圧痛点は前腕筋膜に存在しており、関連痛は手首の掌側中央から母指にかけて痛みを引き起こします。
野球肘(内側型投球障害肘)では、橈側手根屈筋の筋腹に強い攣縮と圧痛を呈することが多いです。
アナトミートレイン
橈側手根屈筋はSFAL(スーパーフィシャル・フロントアーム・ライン)の筋膜経線上に位置しています。
関連する疾患
- 橈側手根屈筋腱断裂
- 正中神経麻痺
- 投球障害肘
- 手関節拘縮 etc.