この記事では、短腓骨筋を治療するために必要な情報を掲載していきます。
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短腓骨筋の概要
短腓骨筋は長腓骨筋に覆われるようにして走行しており、起始は長腓骨筋よりも下方に存在しています。
腱部は長腓骨筋と同様に外果の後方を通過しており、短腓骨筋は足底まで回り込まずに第5中足骨粗面に停止します。
そのため、足部では外側縦アーチのみを構成しています。
基本データ
項目 |
内容 |
支配神経 | 浅腓骨神経 |
髄節 | L4-S1 |
起始 | 腓骨の外側面の遠位1/2 |
停止 | 第5中足骨粗面 |
栄養血管 | 腓骨動脈、後脛骨動脈 |
動作 | 足関節の外反,底屈 |
筋体積 | 70㎤ |
筋線維長 | 3.6㎝ |
速筋:遅筋(%) | 37.5:62.5 |
筋連結 | 長腓骨筋、第三腓骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋 |
運動貢献度(順位)
貢献度 |
足関節外反 |
足関節底屈 |
1位 | 長腓骨筋 | ヒラメ筋 |
2位 | 短腓骨筋 | 腓腹筋 |
3位 | 第三腓骨筋 | 長腓骨筋 |
短腓骨筋の触診方法
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写真では、足関節を底屈・外反させて短腓骨筋を収縮させ、起始付近(腓骨の外側面下2/3あたり)で、長腓骨筋後方にて収縮を触知しています。
短腓骨筋のほうが筋腹は下方に存在しているため、下方にて長腓骨筋の腱の動きと短腓骨筋の筋収縮の動きの違いを確認することも可能です。
ストレッチ方法
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座位にて足関節を内反させながら、外果を床面につけるようにしながら伸張させていきます。
筋力トレーニング
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立位の姿勢をとり、前方に重心をかけるようにして踵を上げていきます。
その際に、親指に体重をのせることで外反作用が働き、より腓骨筋に負荷を与えることができます。
トリガーポイントと関連痛領域
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短腓骨筋に圧痛点(トリガーポイント)が出現すると、足関節外側の痛みとして放散します。
足関節捻挫後の後遺症として発生しやすく、既往歴について聴取しておくことも大切な所見となります。
アナトミートレイン
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短腓骨筋はLL(ラテラル・ライン)の筋膜経線に属しており、硬結が存在すると腸脛靭帯の過緊張や腰痛を引き起こす要因にもなります。
歩行時の筋活動
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短腓骨筋は立脚中期(MSt)から立脚終期(TSt)まで活動し、足関節のコントロールに貢献しています。
関連する疾患
- 腓骨筋腱損傷
- 第5中足骨粗面裂離骨折(下駄履き骨折)
- 足関節の内反捻挫 etc.
下駄履き骨折
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足関節が内反捻挫した場合に、内反を制動しようと短腓骨筋に遠心性収縮が起きると、付着部である第5中足骨粗面に裂離骨折が起こります。
下駄を履いて歩くと起こりやすいために下駄履き骨折といったり、最初に症例を報告した医師の名前をとってジョーンズ骨折とも呼ばれます。
通常、疼痛は2〜3週間で消失しますが、前足部にみられる骨折の中では難治性であり、骨癒合までには6〜10週間ほどを要します。