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筋膜リリースの治療法とメカニズム


筋膜についての解説とアプローチの必要性について記載していきます。参考書として、竹井仁(監訳)の人体の張力ネットワークをもとにしています。

筋膜の概要

筋組織に結びついている軟部結合組織を筋膜(MF:muscle fasciae)と呼んでおり、筋膜は五つに分類することができます。以下に浅層より順挙していきます。

①浅筋膜 皮下組織の中に存在して全身を覆う最も浅層の筋膜
②深筋膜 浅筋膜の下に位置して筋を連結して全身を覆う膜
③筋外膜 複数の筋周膜を包んで筋肉を覆う膜
④筋周膜 複数の筋内膜を包む膜
⑤筋内膜 複数の筋原線維を包む膜
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引用元:http://rolfing-touch.info/cn6/column40.html

浅筋膜(皮下筋膜)

浅筋膜は皮下組織の中に存在しており、皮下筋膜とも呼ばれます。血管が存在しない透明で弾力性のある疎性結合組織で構成されています。

深筋膜と浅筋膜の移行領域は固有受容性神経終末が高密度に存在しており、赤筋の約10倍ともいわれています。

そのため、筋膜は人体の中でも有数の感覚器官になります。

深筋膜(腱膜筋膜)

深筋膜は浅筋膜のすぐ下に存在しており、腱膜筋膜とも呼ばれます。浅筋膜と同じく疎性結合組織で構成され、筋を連結しながら全身を覆っています。

厚さは約1㎜で、斜め・縦・横方向の3層構造になっていて、各層の間にヒアルロン酸が分布していることで滑らかな動きを実現しています。

深筋膜には筋外膜から筋線維の一部が入り込んでいるため、どちらか一方に障害が起こると問題が派生していくことになります。

深筋膜は基本的に丈夫な構造ではありますが、一度歪みが生じると治りが悪く、離れた部位にまで影響を与えます。

足首を捻挫して深筋膜が歪んでしまった場合、肩周辺の深筋膜まで引っ張られてしまうことになり、結果として肩こりが起こるなんてことにもなるのです。

筋外膜

筋実質を包んでいる膜で、厚さは平均で0.3㎜ほどです。

筋外膜は筋肉の中に入り込んで筋束を包む筋周膜と連結し、さらに筋周膜は筋の束に入り込んで筋線維を包む筋内膜とも連結します。

筋膜の構成組織

筋膜はコラーゲン(膠原)線維と少量のエラスチン(弾性)線維から構成されています。

膠原線維は自在に形を変えることができ、弾性線維はゴムチューブのように伸び縮みできる作用があり、ふたつが協力することで自在に形を変化できます。

筋膜の構造|コラーゲン線維とエラスチン線維

筋膜リリースの目的は、交差した膠原線維と弾性線維がからみついた状態(高密度化)を解きほぐすことにあります。

方法としては、手指や手根部で筋膜が高密度化している部分を軽く圧迫し、制限がある深筋膜の層を狙いながら引き伸ばすように力を加えていきます。

最初の10秒ほどは弾性線維が伸ばされますが、そこで一旦伸張している感覚が止まります。

そこからが本当のリリースで、さらに90-180秒(長くて5分間)ほど待つと粘っこいゲル状の感覚からさらさらなゾル状の感覚に変化します。

まさにその感覚が膠原線維がほどけた(リリースされた)状態であり、そこが筋膜リリースをする終了の合図になります。

筋膜が硬くなると血流が悪くなる

筋膜が歪んだり硬くなるとなぜ問題なのかを説明すると、それに連結する筋周膜や筋内膜まで歪んでしまい、結果的に血流を阻害することになるからです。

血流が乏しくなると筋肉は硬くなってしまい、さらに動きを乏しくさせてしまうといった悪循環へと陥ってしまいます。

そのため、どれだけ深部にある筋原線維をマッサージでほぐしても、深筋膜の歪みを整えないことには永遠と筋肉のコリは取れないのです。

筋肉をひとつの動きで捉えるのは時代遅れ

従来では、筋から腱を通じて骨へ力が直接的に伝わるように考えられてきましたが、実際は筋肉の収縮力は筋膜上を介して伝えられています。

そのため、筋膜に覆われている組織すべてに収縮力は伝わることになり、単純に個別な筋肉の運動だけで捉えることはできません。

ジャンプする動作を例にしてみても、個別の筋線維の収縮だけによるものではなく、筋膜連結による弾性反動特性に依存しているのです。

筋膜アプローチの順序

筋肉や筋膜に対してアプローチしていく場合は、まずは深部にある筋実質の問題から施術していくことが基本となります。

筋実質の問題とは、トリガーポイント(TP)のような索状硬結の塊や、筋肉の過度な緊張(攣縮)などが挙げられます。

索状硬結に対しては徒手圧迫による漸増加圧法で対応し、攣縮に対しては軽い筋収縮や軽い圧迫刺激を加えることで緩めていきます。

これらの手段を用いて筋実質の問題を取り除いたら、次は浅層の深筋膜の歪みを整えていきます。

触診のみでは筋膜のよじれた部分はわかりづらいため、患者に身体を動かしていただき、可動性が低下している方向を確認していきます。

制限されている方向が筋膜のねじれを起こしている層となるので、伸張させる方向をイメージしながら筋膜リリースを実施していきます。

筋膜の問題が解決したら、最後は自主練習で行える筋膜ストレッチを指導し、硬結部の再発生や筋膜のねじれが戻らないように調整していきます。

おわりに

療法士の間では評価の高い「人体の張力ネットワーク 膜・筋膜―最新知見と治療アプローチ」という本を参考にしてみましたが、これは正直なところ相当難しいです。

新刊で一般向けに筋膜リリースについて書かれた本も出ており、こちらも内容としては面白いので、筋膜に興味がある方は是非とも参考にしてみて下さい。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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