筋間中隔の種類と痛みが起きる場所について

筋間中隔は筋肉組織を隔てる結合組織の層で、筋肉の収縮力を骨や隣接する筋肉に伝えるなどの役割を担っています。

主な成分はコラーゲン(膠原線維)とエラスチン(弾性線維)で、それらの線維が架橋結合することで強度を高め、安定した線維構造を形成します。

架橋結合が強くなると滑走不全が生じますが、加熱すると軟化、流動化し、冷却すると再び硬化する性質があります。

筋間中隔と深筋膜の大きな違いは、筋間中隔には血管や神経、リンパ管などの要素が含まれていない点です。

そのため、直接的には痛みを誘発する組織ではありませんが、筋間中隔の滑走不全は筋・筋膜性疼痛の多くに関与しています。

以下に、代表的な筋間中隔について記載していきます。

①上腕筋間中隔

上腕には、①外側上腕筋間中隔、②内側上腕筋間中隔の2つが存在しています。

外側上腕筋間中隔の滑走不全は、肘関節外側の痛みを引き起こし、上腕骨外側上顆炎の原因になります。

外側上腕筋間中隔からは上腕筋や腕橈骨筋が起始しているため、それらの筋肉の緊張状態についてもチェックが必要です。

内側上腕筋間中隔の滑走不全は、肘関節内側の痛みを引き起こし、上腕骨内側上顆炎の原因になります。

②大腿筋間中隔

大腿には、①内側大腿筋間中隔、②後大腿筋間中隔、③外側大腿筋間中隔の3つが存在しています。

内側大腿筋間中隔の滑走不全は、薄筋や縫工筋、長内転筋、大内転筋が関わっており、膝関節内側の痛みを引き起こします。、

後大腿筋間中隔の滑走不全は、半膜様筋や大内転筋が関わっており、膝関節後方(膝窩)の痛みを引き起こします。

外側大腿筋間中隔は滑走不全は、大腿二頭筋や外側広筋が関わっており、膝関節外側の痛みを引き起こします。

③下腿筋間中隔

下腿には、①横下腿筋間中隔、②後下腿筋間中隔、③前下腿筋間中隔の3つが存在しています。

横下腿筋間中隔の滑走不全は、ヒラメ筋や長母趾屈筋、長趾伸筋が関わっており、踵部の痛みを引き起こします。

後下腿筋間中隔の滑走不全は、長腓骨筋や短腓骨筋、ヒラメ筋が関わっており、足関節外後方の痛みを引き起こします。

前下腿筋間中隔の滑走不全は、長腓骨筋や第三腓骨筋、長趾伸筋が関わっており、足関節外前方の痛みを引き起こします。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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