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股関節の痛みの原因と治し方について解説

股関節の痛みは、①前方、②側方、③後方の3つに大きく分けられますが、ここでは最も多い前方の痛みの原因について解説していきます。

軟骨がすり減っても痛くはない

まず最初に知っておいてほしいことは、股関節が変形しているから痛いとか、軟骨がすり減っているから痛いというのは間違いです。

なぜなら、骨にも軟骨にも神経は存在していないため、これらの組織が原因で痛みを感じることはありえません。

骨が折れたら痛いじゃないかと思ったかもしれませんが、それは骨の周りに骨膜という神経に富んだ組織があることに由来しています。

ただし、骨膜は関節を構成している部分には存在しないので、関節部分の骨だけは衝撃を受けても痛みがないわけです。

股関節が痛い5つの原因組織

それでは、股関節前方の痛みの原因はなにかですが、①関節唇、②前方関節包、③腸腰筋、④恥骨筋、⑤大腿神経が関与しています。

股関節が悪くなる人の多くは先天的に股関節が浅くなっており、関節の不安定性が強い状態となっています。

骨盤の臼蓋(骨頭の受け皿)は受け止める範囲を拡げるために関節唇が付着していますが、不安定な関節では関節唇の挟み込みが起こります。

股関節の深い屈曲運動や特定の複合運動(屈曲・内転・内旋)で大腿骨頭が関節唇に衝突するので、この動作で痛みが起こる場合は注意が必要です。

痛みがあると人間は無意識にその動きを制限するように働くので、鼡径部が痛い人では股関節が外旋位となりやすいです。

股関節が外旋すると大腿骨頭は前方に偏位するので、大腿骨頭の前方に位置する前方関節包や腸腰筋、恥骨筋がストレスを受けます。

腸腰筋に攣縮(過度に緊張して痛みが出ている状態)が起こると、股関節の伸展運動が制限されることになります。

恥骨筋に攣縮が起こると、恥骨筋の作用は股関節の内転と外旋であるため、外転と内旋が制限されることになります。

腸腰筋は骨盤と鼠径靭帯の隙間を通過していますが、その隙間には大腿神経も通過しています。

股関節前方に加わる侵害刺激に対しては大腿神経が反応するため、その反射性筋攣縮は大腿神経の支配筋である腸腰筋と恥骨筋で起こります。

以上のことが相互に関連しながら股関節の痛みや運動制限が出現するので、その悪循環を断つことが治療では必要となります。

①関節唇の治療

股関節唇

ここからは具体的な治し方についてですが、前述した痛みの原因となっている組織別に考えていくことが大切です。

まずは関節唇ですが、形態的な変化に伴って挟み込まれることが原因のため、ここはリハビリなどで根本的な治癒は不可能です。

大切なのは痛みの起こる動作は制限することであり、損傷した関節唇に負担をかけないことです。

関節唇の挟み込みが起こる動作は、①股関節の深い屈曲運動、②屈曲・内転・内旋の複合運動の主に2つです。

これらの動きはなるべく制限するようにして、痛みが起こらないように生活をデザインしていくことが求められます。

②関節包の治療

股関節に長期的な炎症が存在している場合は、その周囲の関節包は拘縮している場合が多いです。

硬くなっている部分は徒手的にストレッチしていく必要があるのですが、ポイントとしては股関節が緩んだ位置で行うことが大切です。

股関節は屈曲30度・外転30度・軽度外旋位で最も緩むので、患者には背臥位をとってもらい、施術者は下肢をその位置に持って行きます。

そこから大腿骨頭を前方に持ち上げるように誘導していき、前方の関節包を伸ばすように意識しながら動かしていきます。

③腸腰筋の治療

腸骨筋

腸腰筋は大腰筋と腸骨筋の2つから構成される筋肉であり、股関節屈曲の主力筋として活躍します。

大腰筋に関しては腹部の深層を通過しているため、マッサージなどでは上手く攣縮を取り除くことが難しい部位です。

大腰筋

そのため、軽い筋収縮を加えることでリラクゼーションさせていくことが効果的ですが、普通に屈曲させると関節唇を刺激します。

挟み込みを避けるためには、股関節をやや外転・外旋位に保持することが大切で、その方向に誘導しながら股関節屈曲の自動介助運動を行ないます。

それによって関節唇を刺激することなく、腸腰筋を緩めることができるので、その後に股関節伸展にてストレッチを加えていきます。

④恥骨筋の治療

恥骨筋1

恥骨筋の作用は、股関節の内転と外旋、わずかな屈曲であり、こちらも筋肉の走行をイメージしながら自動介助運動にて緩めていきます。

具体的には、背臥位にて股関節を軽度外転位に保持し、反対側の下肢は屈曲した状態にしておきます。

そこから股関節を屈曲・内転・外旋方向に自動介助運動を反復していき、恥骨筋の緊張が緩むまで行います。

恥骨筋は単方向への貢献度は低い筋肉であるため、うまく誘導できないとリラクゼーションを図れないので注意してください。

⑤大腿神経の治療

大腿神経

大腿神経は腸腰筋の前方、鼠径靭帯の後方の隙間を通過しているので、腸腰筋に腫脹や浮腫が生じていると神経を圧迫する可能性もあります。

ただし、これは非常に稀な状態であり、大腿神経麻痺を呈するまでに至ることはほとんどありません。

重要なのは股関節前方に加わる侵害刺激を減らすことと、炎症が存在している場合は早期に沈静化させることです。

これらを十分にコントロールすることができたら、大腿神経が反応することも少なくなり、支配筋の筋攣縮も防ぐことができます。

具体的な方法としては、しっっかりと股関節を温めるて、痛みのない範囲で動かすようにし、血流を良くしておくことが大切です。

おわりに

股関節の痛みの原因と治し方について解説してきましたが、臨床では側方や後方に疼痛を訴える患者も多くいます。

なので、ここで紹介したのはあくまで一例に過ぎませんが、これが股関節痛のスタンダードであることは事実です。

まずはここをきっちりとおさえるようにして、そこから股関節痛の治療の幅を拡げていくようにしてみてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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