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肩峰下滑液包炎のリハビリ治療

肩峰下滑液包炎のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

肩峰下滑液包炎の概要

滑液包とは、滑液を包んだ平らな袋であり、皮膚や筋肉、腱、靭帯などと骨が擦れる部分に存在し、衝撃を吸収して滑りを良くしています。

肩峰下滑液包は名前の通りに肩峰の下に存在する滑液包で、人体で最大の滑液包であり、痛みを感知する自由神経終末の分布も密です。

肩峰下滑液包の役割は、①棘上筋腱の滑りを良くすること、②骨頭が上方変位した際の緩衝作用のふたつになります。

肩峰と上腕骨頭の間は肩関節を挙上する際に狭小化する部位であり、その間に位置する肩峰下滑液包と棘上筋腱は圧迫を受けます。

圧迫の程度は肩の状態にもよりますが、筋肉などの周囲組織に問題が生じていると、肩峰と上腕骨頭が衝突して強く挟み込まれる場合もあります。

それによって肩峰骨頭間に位置する肩峰下滑液包や棘上筋腱が損傷して炎症が起こり、しばしば肩の痛みとして発生します。

棘上筋腱に炎症を起こしている場合を腱板炎といい、滑液包に炎症を起こしている場合を肩峰下滑液包炎といいます。

肩峰下滑液包

上の図を見ていただくとわかるように、肩峰下滑液包は腱板の停止部を越えて、肩関節外側にまで拡がっています。

そのため、肩峰下滑液包に障害が起きると、肩関節上面から外側にかけて痛みが生じることになります。

信原の肩関節障害の分類と頻度

肩関節障害を主な原因別に分類した研究では、肩峰下滑液包炎は全体のわずか2%であるため、臨床ではそれほど多いものではありません。

しかしながら、同様に挟み込まれている腱板炎は全体の41%を占めているため、付随して炎症を起こしている可能性は高いと考えられます。

肩関節の障害割合

肩峰下滑液包炎の検査法

1.Neer impingement test
意義)肩峰下インピンジメントの判定
方法)患者は座位にて、前腕を回内位に保持し、検査者は患者の肩甲骨を固定した状態から他動的に肩関節を外転させる
判定)肩に痛みがある場合やクリックサインを認めた場合に陽性
2.Hawkins impingement test
意義)肩峰下インピンジメントの判定
方法)患者は座位にて、肩関節を外転90度に保持し、検査者は他動的に患者の肩関節を内旋させる
判定)肩に痛みがある場合やクリックサインを認めた場合に陽性

上記の2つの検査は、肩峰と上腕骨が接触するような動きに誘導させて、内部の肩峰下滑液包に圧迫を加えることで炎症の有無を判定しています。

しかし実際は、棘上筋腱も同時に圧迫しているため、腱板炎との厳密な鑑別は困難とされています。

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画像検査による診断

肩峰下滑液包炎の確定診断には、MRI検査が有効となります。

炎症を起こしている場合は、肩峰下滑液包が白く映し出されるため、表層の三角筋と深層の棘上筋との違いがはっきりと見てわかります。

肩峰下滑液包炎のMRI画像

引用元:稲毛整形外科~診療日記~

肩峰下滑液包炎の治療法

治療法としては、まずは疼痛(炎症)を抑えるためのステロイド注射や消炎鎮痛薬の商法が行われます。

また、生活指導として肩関節の挙上を制限し、炎症を起こしている肩峰下滑液包に刺激が加わらないようにすることが大切です。

肩峰下滑液包の炎症が持続すると、滑液包や腱板の肥厚や癒着が生じます。

そうなると、より挟み込まれやすい状態となってしまうため、痛みのない範囲で関節モビライゼーションを加えることも有効です。

炎症が治まるまでは患部の安静を保ちますが、保存療法で改善が望めない場合や、痛みが著しい場合は手術(肩峰下除圧術)の適応となります。

癒着による制限が主因と考えられる場合は、麻酔下での徒手的な剥離操作(関節授動術)を加えていくことも有効です。

剥離操作は前上方と後上方の組織に分けて実施され、前上方組織には肩関節外旋・内転・牽引を、後上方組織には肩関節内旋・内転・牽引を加えます。

インピンジメント症候群について

インピンジメント症候群とは、肩を挙上する際に大結節と肩峰が衝突し、その間隙で棘上筋腱や肩峰下滑液包が挟み込まれる状態を指します。

衝突を引き起こす原因は、①骨の形態的変化(OI)、②それ以外の要因(NOI)の2つに大別されます。

OI NOI
肩峰前方の骨棘 大結節の突出
肩峰の異形 挙上時の骨頭上方偏位(腱板不全)
肩峰の傾斜 C-C mechanismの破綻
肩鎖関節下方の骨棘 肩峰下滑液包や腱板の肥厚

骨の形態的変化は単純X線写真にて、肩峰下滑液包や腱板などの軟部組織の変性についてはMRI写真にて確認していきます。

また、画像検査では明確な問題が見つけられない場合も多いので、実際の肩関節挙上時の骨頭や肩甲骨の位置確認を行うことが大切です。

そのようにして、総合的にインピンジメントを起こしている原因を突き止めることで、肩峰下滑液包炎や腱板断裂の発生を防ぎます。

手術療法(肩峰下除圧術)

肩峰下除圧術は、三角筋を肩峰の前方および外側前方から切離し、肩峰の前下面をノミで切除する手術法です。

切離した三角筋は肩峰に非吸収性の糸で縫合固定され、しっかりと結合するまで安静を保つ必要があるため、三角筋への抵抗運動は術後2カ月以降から開始します。

近年では鏡視下肩峰下除圧術が主流となっており、鏡視下では三角筋の両側から内視鏡とアブレーダーを挿入して骨切除を行うため、三角筋の切離は必要ありません。

鏡視下肩峰下除圧術は手術侵襲が少ないため、痛みが消失したらすぐに抵抗運動を実施することができ、早期復帰が可能となります。

リハビリテーション

肩峰下滑液包炎の治療は通常の炎症と同様に、患部を安静に保ちながら炎症が引くのを待つことが第一です。

炎症に対しては物理療法(超音波など)を使用しての消炎鎮痛を期待したいところですが、実際はあまり効果はないようです。

肥厚や完全な癒着にまで悪化してしまうと、保存療法ではアプローチが困難になりますので、発生初期の予防がなによりも重要になります。

また、原因がインピンジメント症候群にあるようなら、肩関節の正常な動きに戻せるかについても検討していきます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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