脊椎の変形(変形性脊椎症)を予防するために必要なこと

変形性脊椎症を予防するための考え方について解説していきます。

変形性脊椎症の概要

変形性膝関節症や変形性股関節症などはよく耳にしますが、それらと同様に脊椎に変形をきたしている状態を変形性脊椎症といいます。

各背骨は椎間板と後方の左右一対の椎間関節により構成されていますが、それらが退行変性を起こすと、椎間板の圧潰や骨棘の形成が生じます。

そうすると椎間孔が狭窄して神経根を圧迫したり、椎孔が狭窄して脊柱管狭窄症を起こすことにつながります。

そのため、変形性脊椎症に伴って生じている神経障害の有無を確認することが重要であり、そこから外科的治療の必要性を判断します。

原因別腰痛

腰痛を起こしている原因は多岐にわたりますが、大まかに分類すると以下になります

1,椎間板によるもの
椎間板ヘルニア、シュモール軟骨結節、椎体辺縁分離、腰椎不安定症、椎間板症
2,脊柱の構造上の異常によるもの
脊椎分離症、脊椎すべり症、脊柱管狭窄症、腰仙椎部奇形、二分脊椎
3,加齢と関係あるもの
変形性脊椎症、腰椎椎間関節症、脊椎骨粗鬆症
4,軟部組織によるもの
筋・筋膜性腰痛症、いわゆる腰痛症
5,炎症性のもの
脊椎カリエス、化膿性脊椎炎、強直性脊椎炎、腸腰筋炎、椎間板炎
6.外傷によるもの
脊椎圧迫骨折、肋骨突起骨折、仙腸関節捻挫、棘間靭帯断裂、腰椎捻挫、腰部打撲
7.腫瘍によるもの
原発性脊椎腫瘍、脊椎転移癌、脊髄腫瘍
8.内臓器由来のもの
消化器内科的疾患、消化器外科的疾患、婦人科的疾患、泌尿器科的疾患
9.心因性のもの
ヒステリー、心身症

腰痛と動作の関係

腰痛の原因別分類については上記しましたが、患者の訴えや簡易的な動きの検査によって主な腰痛を鑑別する方法は以下になります。

動作開始時 変形性脊椎症
同一姿勢 変形性脊椎症、腰椎すべり症、椎間板ヘルニア、筋筋膜性腰痛
前屈 椎間板ヘルニア、筋筋膜性腰痛
後屈 腰椎すべり症、椎間板ヘルニア、椎間関節性腰痛

上の表で注目してほしいのは、動作開始時の痛みの原因が変形性脊椎症であることであり、脊椎の不安定性が影響していることです。

不安定な関節は動きに伴う痛みが起こりやすく、さらに同一姿勢を継続することでも安定性がないために重だるい感覚があります。

また、単純な前屈や後屈の動きでは痛みを訴えないことも多く、原因の特定が難しいケースが多いです。

変形性脊椎症の予防について

変形してしまった骨や潰れてしまった椎間板を治すことはできないので、変形性脊椎症を起こさないことがまずは第一です。

そのためには、①コアを安定させる、②股関節を柔軟にする、③骨盤後傾を改善することが重要だと考えています。

体幹のコア筋(腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群・横隔膜)が弱化しているケースでは、背骨が側弯してガタガタになっていることが多いです。

どれだけグローバル筋である腹筋群や脊柱起立筋群を鍛えても、コアが安定していないと筋出力を発揮することはできません。

コア筋の出力に関しては、フロントプランクを30秒ほど保持させてみて、体幹の動揺がどれだけ起こるかを検査する方法が簡単です。

次に「股関節を柔軟にする」ですが、腰痛と股関節の硬さは密接に関係しており、まずは股関節の動きを確保しておくことが大切です。

もしも股関節屈曲に硬さが存在すると、しゃがみ込んだときに腰椎屈曲が過剰になり、椎間板や椎体へのストレスが増加します。

その状態が続くことで椎間板は徐々に潰れていき、椎体の負担が増えて圧迫骨折を起こし、最後は椎体が潰れて円背をきたします。

最後に「骨盤後傾を改善する」ですが、骨盤が後傾すると下位腰椎は屈曲位となり、椎間関節は緩みのポジション(LPP)になります。

そうすると関節の不安定性は増しますので、動作開始時の負担や痛みを増悪させることにつながります。

スウェイバックを修正する

脊椎の変形を予防するために必要なことを書きましたが、骨盤が後傾してコアが弱い状態というのは、いわゆるスウェイバック姿勢です。

そのため、不良姿勢の代表であるスウェイバック姿勢を改善させることこそが、脊椎の変形を予防するためには重要といえます。

上述したようにコア筋の弱化に加えて、大腿筋膜張筋やハムストリングスが短縮していることが多いため、硬い筋肉は伸ばすことが大切です。

股関節屈曲の制限については先ほど触れましたが、股関節伸展の主力筋である大殿筋が短縮していることはほとんどありません。

実際に屈曲制限を起こしている原因は股関節外旋筋群(とくに梨状筋と大腿方形筋)であり、股関節内旋の可動域を確保することが必要です。

また、大殿筋は骨盤を後傾させる筋肉ではありますが、股関節伸展の動きをハムストリングスが代償している状態にあります。

大殿筋は正常に機能せずに萎縮しており、代償しているハムストリングスは過労で硬く、攣りやすくなっています。

このような悪循環に陥らないためにも、スウェイバック姿勢を修正することが脊椎の変形予防につながることをぜひ知っておいてください。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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