“腰が抜けそう”を起こす4つの筋とセルフチェック

“腰が抜けそう”ってどんな状態?

「グキッとまではいかないけど、腰がスカッとする感じがある」「長く立ってると腰が頼りない」「片足立ちで不安定で、腰に力が入らない」──こういうのって、腰そのものが壊れてるというより、腰を支えてくれている筋がその瞬間に働けていないことが多いです。

特に問題になりやすいのがこの4つ👇

  1. 腰方形筋(quadratus lumborum)

  2. 多裂筋(multifidus)

  3. 中殿筋(gluteus medius)

  4. 腸腰筋(iliopsoas)

この4つが“さっとスイッチが入るか”を見ていくと、どこで腰が抜けやすいかが分かります。


1. 腰方形筋:片側で立つときの“最後の支え”

役割

  • 片脚立ち・重い荷物を片手で持つときに、骨盤を水平に保つ

  • 腰椎を側屈させるけど、本当の仕事は「側屈を防ぐ=まっすぐ保つ」こと

効いてないと…

  • 立ち仕事のときに腰が片側だけダルい

  • 片脚立ちで骨盤がストンと落ちる

  • その瞬間に「腰が抜ける」感じが出る

かんたんテスト(立位)

  1. 片脚立ちになる

  2. 上がっている側の骨盤がストンと落ちないか見る

  3. 落ちるなら、反対側の腰方形筋が弱い or 遅れてる

→ 代わりに腰を反らせて耐えようとする人は要注意。


2. 多裂筋:腰椎そのものを止める“深いガード”

役割

  • 腰椎1本1本を細かくコントロールして、余計な揺れを止める

  • 呼吸や腹圧と連動して働く

効いてないと…

  • ちょっとひねっただけで腰に“スカッ”とした感じ

  • 立ち座りの途中で「いま抜けた?」という瞬間がある

  • 慢性的に腰椎まわりが重い

かんたんテスト(うつ伏せキープ)

  1. うつ伏せで寝る

  2. おへその下を軽く床から離すように、お腹を薄くする

  3. そのまま10秒キープできるか(腰を反らさない)

→ これができない/すぐ腰が反る人は、多裂筋がうまくついてないことが多いです。


3. 中殿筋:片脚荷重で腰を守る“横の柱”

役割

  • 片脚になったときに骨盤を水平に保ち、腰に横揺れが来るのを防ぐ

  • 歩行中の“ぐにゃっ”を抑えてくれる

効いてないと…

  • 片脚立ちで骨盤が左右に揺れる

  • 歩くときに上半身が横に逃げる(トレンデレンブルグ気味)

  • その瞬間に腰が不安定になって「抜けそう」

かんたんテスト(片脚立ち+お辞儀)

  1. 片脚立ちになる

  2. そのまま少しお辞儀(股関節を曲げる)する

  3. 骨盤や上半身が横にズレたら中殿筋が負けてる

→ 中殿筋が弱いと、腰方形筋や腰椎で代償するので“腰に抜け感”が出やすくなります。


4. 腸腰筋:股関節を曲げるときに“腰を前から支える”

役割

  • 片脚を持ち上げるとき、腰椎を前からコントロールしてくれる

  • 骨盤の前後の位置を安定させる

効いてないと…

  • 片脚を上げた瞬間に腰がグラッとする

  • 椅子から立つときに腰がスカッとする

  • 階段の1段目で「腰が頼りない」

かんたんテスト(マーチテスト)

  1. 仰向けで膝を曲げて寝る

  2. お腹を軽く引き、腰を反らさないようにする

  3. 片脚ずつ持ち上げてみて、どちらかで腰がぐらつく/反るなら、その側の腸腰筋orコアが遅れてる

→ 立位でやるとより分かりやすいです(その場足踏みで腰がブレるか)。


自宅でできる超シンプルなトレーニング

①サイドブリッジ(腰方形筋+中殿筋)

  • 横向きで肘と膝をついて体を持ち上げる

  • 10秒×3セット

  • 腰が反らない・骨盤が落ちないように

②バードドッグ(多裂筋)

  • 四つ這いで片手と反対の足を伸ばす

  • 5秒キープ×左右5回

  • 腰が反るなら高さを下げる

③スタンディングマーチ(腸腰筋)

  • 立ったままお腹を薄くする

  • 片脚ずつゆっくり上げる(腰を反らせない)

  • 10回×2セット

→ どれも「痛みが増えない範囲」で。増えるなら一段階下げます。


こんなときは筋よりも関節を先に見る

  • 動かしてないのにズキッとする

  • 朝からずっと鋭い痛みがある

  • 下肢にしびれや力の入りにくさがある

こういう場合は、腰(椎間関節・仙腸関節)や神経のほうを先に評価したほうが早いです。この記事は「筋が働かずに腰が頼りない」パターン用、と書いておくと親切です。