腰椎分離すべり症と腰椎変性すべり症について

腰椎すべり症は、加齢に伴う椎間板などの変性によって起こる変性すべり症と、腰椎分離症に続発して起こる分離すべり症に分けられます。

腰椎分離すべり症の概要

腰椎分離症の好発年齢は12〜17歳の若年者であり、腰椎伸展に伴う椎間関節への過剰な負担によって起こります。

女性よりも男性に多く発生し、股関節伸展の硬さが存在すると腰椎伸展が過剰に求められることが原因のひとつとして考えられます。

スポーツ習慣者に発生しやすいことがよく知られており、股関節伸展や腰椎伸展を求められる動作が多い競技ほどリスクが高まります。

完全に分離してしまうと治癒することはなく、椎体の安定性が低下するために非常に滑りやすい状態となります。

腰椎分離すべり症の治療法

残念ながら1度すべってしまった腰椎が自然整復されることは期待できないため、元の位置に戻すためには手術が必要です。

ただし、基本的にすべり自体が痛みの原因となるわけではなく、すべりによる周囲組織の損傷や脊柱管の狭窄によって痛みや神経症状は起こります。

そのため、脊柱管狭窄症のように神経障害が発生しているケース以外は、保存療法でコントロールできる場合がほとんどです。

腰椎分離症は完全に分離する前に腰痛が発生していることも多いため、疑われる場合はコルセットの装着や安静指導が必要となります。

スポーツ復帰するためには股関節伸展の柔軟性を獲得し、身体が仰け反る(過度な腰椎伸展)ような動きは起こさないように指導します。

腰椎変性すべり症の概要

次いで腰椎変性すべり症ですが、こちらは加齢に伴う椎間板などの変性によって起こるため、高齢になるほど多いのが特徴です。

腰椎変性すべり症のほとんどは第4腰椎の前方すべりです。

理由としては、第5腰椎と仙骨の椎間関節は拘縮しやすく、隣接関節である第4腰椎と第5腰椎の椎間関節の屈曲が増大します。

そのときに第4腰椎には屈曲の動きと同時に前方にすべる剪断力が加わりますが、それを受け止めることができなかった場合にズレが生じます。

腰椎変性すべり症の治療法

前述したように、1度すべってしまった腰椎が自然整復されることは期待できないため、運動や徒手で完全に整復することは不可能です。

こちらも重要なのは発生の予防であり、そのためにはどのような機序で腰椎変性すべり症が起こるかを理解している必要があります。

基本的には、腰椎の屈曲運動によって腰椎は前方にすべるため、特定の椎間関節だけが過剰に動くことは避けるべきです。

そのためには、股関節屈曲の柔軟性を獲得し、硬くなりやすい腰仙椎の動きを引き出すようなモビライゼーションなどが有効となります。

コア筋(腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群・横隔膜)の筋力低下は腰椎を不安定にし、椎間板変性を加速させることに直結します。

なのでコアトレーニングを行うことにより、周囲組織の変性を予防することで変性すべり症の発生を防ぐことができると考えられます。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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