腰椎変性すべり症のリハビリ治療

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腰椎変性すべり症のリハビリ治療に関して、わかりやすく解説していきます。

腰椎すべり症の概要

腰椎すべり症は、加齢に伴う椎間板などの変性によって起こる変性すべり症と、腰椎分離症に続発して起こる分離すべり症に分けられます。

腰椎分離症の好発年齢は12〜17歳の若年者であり、腰椎伸展に伴う椎間関節への過剰な負担によって起こります。

女性よりも男性に多く発生し、股関節伸展の硬さが存在すると腰椎伸展が過剰に求められることが原因のひとつとして考えられます。

スポーツ習慣者に発生しやすいことがよく知られており、股関節伸展や腰椎伸展を求められる動作が多い競技ほどリスクが高まります。

完全に分離してしまうと治癒することはなく、椎体の安定性が低下するために滑りやすい状態となります。

次いで腰椎変性すべり症ですが、こちらは加齢に伴う椎間板などの変性に伴って起こるため、高齢になるほど多いのが特徴です。

腰椎変性すべり症のほとんどは第4腰椎の前方すべりです。

理由としては、L4/5間で椎間板の変性が最も生じやすく、前方剪断力を受けやすい状態にあることが挙げられます。

椎間板症を分けて考える

座位前屈の椎間板内圧

上の図は、姿勢別の椎間板内圧を示したものですが、立位を「100%」としたときに座位は「140%」の圧力を受けるという意味になります。

椎間板は体幹を前屈させることで圧が高くなるため、椎間板症では長時間の座位などで痛みが出現することにつながるわけです。

しかし、椎間板の髄核は水分を多く含むことで衝撃吸収と圧分散に作用し、長時間に及ぶ荷重負荷に対しても抵抗性を示します。

その一方で、椎間板は剪断力(前方すべり)や捻転力(回旋運動)に対する抵抗性は乏しいため、亀裂や断裂などの損傷を受けやすいです。

これらのことを考慮すると、椎間板症は腰椎後弯だけでなく、過度な腰椎前弯でも発生しやすいことがわかります。

どちらのタイプかで治療方法も変わってきますので、MRIで椎間板変性が認められる場合は、なにが原因かを考えることが大切です。

MRI画像(腰椎変性すべり症)

上のMRI画像は、腰椎変性すべり症(L4前方すべり)になりますが、L4/5間の椎間板が圧壊していることがわかります。

腰椎前弯の増強は椎間板の剪断力を高めて変性を起こすため、すべり症のリスクが考えられる場合は姿勢指導や治療が必要となります。

椎間板が原因の腰痛

腰痛の原因は大きく分けると、①椎間板症、②椎間関節障害、③仙腸関節障害、④筋・筋膜性腰痛の4つに分類できます。

椎間板が腰痛の原因である場合は、腰背部の中央に痛みを訴えることになり、疼痛部位をピンポイントに指差すことができずに「この辺り」といった曖昧な表現となりやすいです。

体表から圧痛を拾うことができないため、理学所見や画像所見から原因を推測していく必要がある腰痛になります。

ただし、MRI画像などで椎間板に変性がみられても、多くの場合は痛みを起こしていないため、安易に画像と痛みを結び付けないことが必要です。

リハビリテーション

1度すべってしまった腰椎が自然整復されることは期待できないため、運動や徒手で整復することは不可能です。

重要なのは発生の予防であり、そのためにはどのような機序で腰椎変性すべり症が起こるかを理解している必要があります。

腰椎は伸展運動(前方剪断力の増加)によって前方にすべるため、特定の椎間関節だけが過剰に動くことは避けるべきです。

そのためには、股関節伸展の柔軟性を獲得し、硬くなりやすい腰仙椎の動きを引き出すようなモビライゼーションなどが有効となります。

腰椎変性すべり症では、アナトミー・トレインにおけるDFL(ディープ・フロント・ライン)が緊張している場合も非常に多いです。

そのようなケースでは、大腰筋や腰方形筋、股関節内転筋群などをリリースすることが有効であり、過剰な緊張を取り除いていきます。

コア筋(腹横筋・多裂筋・骨盤底筋群・横隔膜)の筋力低下は腰椎を不安定にし、椎間板変性を加速させることに直結します。

なのでコアトレーニングを行うことにより、周囲組織の変性を予防することで変性すべり症の発生を防ぐことができると考えられます。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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