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足底筋膜炎,足底腱膜炎のリハビリ治療


足底筋膜炎/足底腱膜炎のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

足底腱膜炎の概要

足底の屈筋群を覆う中央部の腱膜様組織を、足底腱膜と呼びます。

足底後方の踵骨隆起・内側突起から起始し、足底前方の第1-5趾基節骨と底側靭帯に付着します。

足底に存在する3つのアーチの保持に関与しており、歩行時には伸張されることで緊張(剛性)が高まるウィンドラス機構を有します。

走行や跳躍などで強い伸張ストレスが加わり続けると、微細損傷にて炎症が起き、その状態を足底腱膜炎と呼びます。

足底腱膜

足底腱膜の深層には短趾屈筋、内側縁には母趾外転筋、外側縁には小趾外転筋が位置しており、これらの筋肉は筋膜によって囲まれています。

それを足底筋膜と呼んでおり、足底腱膜炎と同様に伸張ストレスなどが加わり続けることで炎症が起き、その状態を足底筋膜炎と呼びます。

足底筋膜

しかし実際には、両者を区別して考えることは少なく、また、両者は密接に関わっているために鑑別することは困難です。

そのため、ここでは用語を足底腱膜炎に統一して解説していきます。

足底腱膜炎の発症因子としては、①長時間の立ち仕事、②肥満(BMIが30以上)、③50代以上、④扁平足、⑤足関節の背屈制限が挙げられます。

足底腱膜炎の90%以上は3ヶ月から3年以内に自然治癒します。

単純X線撮影では、重度の場合は踵骨底にカルシウム沈着が見つかることがあり、それを踵骨棘(ヒール・スパー)と呼びます。

足部アーチを構成する骨と筋肉

1.内側縦アーチ
足底腱膜|内側縦アーチ
・踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、第1中足骨
・母趾外転筋、短趾屈筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、虫様筋、足底方形筋
2.外側縦アーチ
足底筋膜炎|外側縦アーチ
・踵骨、立方骨、第5中足骨
・小趾外転筋
3.横アーチ
足底腱膜炎|横アーチを構成する筋肉
・足根骨レベルは内・外側・中間楔状骨と立方骨、中足骨レベルは5本の中足骨から構成される
・背側骨間筋、底側骨間筋、短母趾屈筋、短小趾屈筋、母趾内転筋

足底腱膜の構造

踵骨付着部で幅が1㎝、厚さが2㎜で、中足骨頭付近で幅が足のサイズに応じた広さ、厚さが1㎜となっています。

立位時に荷重の1/2は踵部へ伝達されるため、踵骨付着部の足底腱膜は前足部よりも厚い構造をしていると考えられます。

足底腱膜|厚さと横幅

足趾を伸展すると、足底腱膜の前方部分は遠位側に滑走し、足底腱膜の緊張が亢進することで前足部の剛性が高まります。

そのため、歩行の立脚終期で前足部の剛性を高め、しっかりと床面を蹴り出すために足底腱膜の緊張は不可欠です。

歩行周期|足底腱膜の役割

足底の痛みの鑑別

足底の痛みの原因は足底腱膜炎以外にも、脛骨神経の損傷や踵骨下脂肪体の炎症などの可能性があります。

それらと鑑別するためにも、徒手的に足底腱膜に対してストレスをかけるウィンドラステストを実施します。

方法としては、長座位にて膝関節軽度屈曲位、足関節底背屈0度とし、一方の手で中足骨頭を把持し、もう一方の手で足趾を伸展させます。

中足骨頭で触れている足底腱膜の緊張が過剰なら陽性、または疼痛が生じる場合も陽性となり、足底腱膜炎を強く疑います。

足底腱膜炎の原因と症状

中高年以降に起こりやすい疾患ですが、若年者のスポーツ傷害でも発生することが多くあります。

発生しやすい動きとしては、硬い床面での走行や跳躍などの動作を繰り返すことにより、足底腱膜が損傷するオーバーユース障害のひとつです。

症状としては踵骨の前方に痛みがあり、歩きづらさを訴えます。

初期段階では起床時に最も痛みが強く現れますが、症状が増悪すると日中でも痛みが起こります。

起床時に痛みがある理由は、寝ているときに断裂部が少し癒合しますが、朝起きて立ち上がる際に再断裂するからです。

日中でも痛みが出るのは炎症が強い場合や、断裂部が拡がってしまっている可能性が考えられるので注意が必要です。

踵骨にできた棘が痛みの原因と説明している場合もありますが、ほとんどの場合は代償的に骨が伸びているに過ぎません。

骨が伸びると足底腱膜への伸張ストレスが軽減するため、基本的には棘を作ることで痛みをやわらげようとしています。

治療とリハビリ方法

1.疼痛期
薬物療法 鎮痛薬、ステロイド注射
装具療法 足底板、テーピング、夜間副子、ウォーキングキャスト
生活指導 安静指示(症状が緩和するまで)、歩行指導
物理療法 電気、超音波、アイスパック
徒手療法 ストレッチ、マッサージ
2.症状緩和期
筋力強化 タオルギャザー、カーフレイズ、スクワット
自主練習 ゴルフボールを用いた足底マッサージ
3.難治性障害の場合
手術療法 足底筋膜の緊張と炎症を除去する手術
物理療法 体外衝撃波療法(ドルニエエイポスウルトラ)

足底板治療について

足底板(中敷き)を使用する目的は、内側の縦アーチをサポートすることにより、足底腱膜へのストレスを軽減することです。

足底板でなくても、クッション性のあるランニングシューズなどを使用するだけで痛みが楽になるケースもあります。

家の中では裸足で生活されていることも多いですが、なるべくならクッション性のあるスリッパを履くことも有効です。

生活指導では、足底腱膜に負担をかけないための安静指示が必要ですが、実際は仕事の関係などで難しい場面も多々あります。

そのため、足底腱膜に負担のかからない歩き方を指導することも重要です。

方法としては、足関節の底屈動作を避けるために、足部を外側に向けた分回し歩行のように歩いてもらいます。

分回し歩行

ストレッチ方法

運動療法の目的は、足底腱膜に加わる伸張ストレスの軽減であり、そのためには足関節背屈制限の除去と内側縦アーチの獲得が重要となります。

足底腱膜のストレッチは炎症の予防としては有用ですが、微細断裂などの損傷がある状態では逆効果となりかねません。

そのため、痛みが強い時期は周囲の状態から整えていくことが求められます。

1.足関節背屈のストレッチ
足底筋膜炎/アキレス腱のストレッチ
2.足底腱膜のストレッチ
足底筋膜炎/短指屈筋のストレッチ2

筋力トレーニング

足底腱膜への伸張ストレスを軽減するためには、足趾底屈筋と足関節底屈筋の筋力強化が重要になります。

歩行時には蹴り出しが必要ですが、その際に底屈筋の筋力低下が存在すると、代償的に足底腱膜の緊張が高まり、伸張ストレスが増強します。

それを防ぐためにも、長趾屈筋や短趾屈筋、下腿三頭筋などの筋力強化は有効となります。

具体的な方法としては、床にタオルを伸ばして置き、その端を足の指で掴みながらたぐり寄せていくタオルギャザーなどがあります。

Towel-gather

手術療法と体外衝撃波療法

足底筋膜炎の90%以上は自然治癒するとされていますが、残りの10%は難治性障害を示すことになります。

その場合は手術療法の適応となり、痛みの原因となっている足底腱膜の一部を切離する方法となります。

ただし、手術を実施しても痛みが消失しない症例が多く存在するため、外科手術にまで至る患者は全体の1%程度だといわれています。

そのような難治性症例に対して、2008年、厚生労働省は体外衝撃波疼痛治療装置「ドルニエエイポスウルトラ」を保険適用として承認しました。

体外衝撃波療法は、踵に衝撃波を与えることで組織を破壊し、修復を促す治療法になります。

これまでの患部を安静にして自然に治癒するのを待つ保存療法とは異なり、積極的に患部の治療に取り組めるのが特徴です。

ドルニエエイポスウルトラの効果

ドルニエエイポスウルトラは、本来、腎臓結石の治療に用いられてきたものであり、足底筋膜炎の治療に応用されてからは間もないです。

しかし、その有効率は50-60%と高く、これまでずっと痛みで苦しんでいた人たちでも期待ができる治療法となっています。

ひとつ残念なのは、まだ装置自体がほとんど普及していないため、治療が受けられるのは一部の病院に限られていることです。

お勧めの一冊

日本ではじめて「足専門の診療所」を開業した桑原医師の著書です。一般向けの本ではありますが、その内容は非常に奥深いです。

足部は立位姿勢をとらえる上で最も重要な部分であるため、その基礎についてはしっかりと把握しておくことが大切です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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