足底腱膜炎のリハビリ治療

足底腱膜炎のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。

足底腱膜の構造

足底腱膜

足底の屈筋群を覆う浅層中央部の腱膜様組織を「足底腱膜」と呼びます。

足底腱膜は、足底後方の踵骨隆起と内側突起から起始し、足底前方の第1〜5趾基節骨と底側靭帯に付着します。

足底腱膜|厚さと横幅

足底腱膜は踵骨付着部で幅が1㎝、厚さが2㎜で、中足骨頭付近では厚さが1㎜となっています。

立位時に荷重の1/2は踵部へ伝達されるため、踵骨付着部の足底腱膜は前足部よりも強靭な構造をしています。

足底腱膜の役割としては、歩行時に足趾が伸展することで足底腱膜が伸張し、前足部の剛性を高めています。

これをウインドラス機構(巻き上げ機構)といい、歩行の立脚終期にしっかりと床面を蹴り出すために必要な要素となります。

歩行周期|足底腱膜の役割

足底腱膜炎の概要

走行や跳躍などで足底腱膜に強い伸張ストレスが加わり続けると、腱膜の一部が微細損傷して炎症が起こります。

その状態を足底腱膜炎といい、歩行時に損傷部が引き離されることで痛みが発生し、踵骨側に起きやすいことが特徴として挙げられます。

足底腱膜炎の発症因子としては、①長時間の立ち仕事、②肥満(BMIが30以上)、③50代以上、④扁平足、⑤足関節の背屈制限が挙げられます。

足底腱膜炎の90%以上は3ヶ月から3年以内に自然治癒します。

重度の場合は単純X線撮影において、踵骨底にカルシウム沈着が見つかることがあり、それを踵骨棘(ヒール・スパー)と呼びます。

足底腱膜の深層には短趾屈筋、内側縁には母趾外転筋、外側縁には小趾外転筋が位置しており、これらの筋肉は筋膜によって囲まれています。

それを足底筋膜と呼んでおり、足底腱膜炎と同様にストレスが加わり続けることで疼痛が発生し、その状態を足底筋膜炎(筋膜性疼痛)と呼びます。

足底腱膜炎と足底筋膜炎を区別して考えることは少ないですが、圧痛の部位を確かめることで鑑別することも可能です。

足底の痛みの鑑別

足底の痛みの原因は足底腱膜炎以外にも、脛骨神経の損傷や踵骨下脂肪体の炎症などの可能性があります。

それらと鑑別するためにも、徒手的に足底腱膜に対してストレスをかけるウインドラステストを実施します。

方法としては、長座位にて膝関節軽度屈曲位、足関節底背屈0度とし、一方の手で中足骨頭を把持し、もう一方の手で足趾を伸展させます。

中足骨頭で触れている足底腱膜の緊張が過剰なら陽性、または疼痛が生じる場合も陽性となり、足底腱膜炎を強く疑います。

ただし、この方法では足底筋膜も伸張されるため、側方より母趾外転筋や小趾外転筋を押圧して筋膜の硬さや圧痛をチェックすることも大切です。

筋膜性疼痛の場合は日によって痛みに波があるため、一定の条件で常に症状が生じているかを確認しておきます。

足底腱膜炎は踵骨の前方に痛みがあり、初期段階では起床時に最も痛みが強く現れ、症状が増悪すると日中でも痛みが起こります。

起床時に痛みがある理由は、寝ているときに断裂部が少し癒合しますが、朝起きて立ち上がる際に再断裂するからと考えられています。

日中でも痛みが出るのは炎症が強い場合や、断裂部が拡がってしまっている可能性が考えられ、基本的に痛みに波はありません。

踵骨にできた棘が痛みの原因と説明している場合もありますが、代償的に骨を伸ばして足底腱膜への伸張ストレスを軽減しているだけです。

そのため、基本的には棘を作ることで痛みをやわらげようとしている反応なので、そこに問題がある場合は少ないです。

治療方法①:ストレッチ

足底腱膜へのストレスを軽減するためには、深層の足底筋膜(短趾屈筋など)が十分に機能している必要があります。

足底筋膜はアナトミー・トレインの中でSBL(スーパーフィシャル・バック・ライン)に属しています。

そのため、この筋膜線上の筋肉を十分に緩めておく必要があり、緩めたあとにはストレッチを行うことが推奨されます。

足底筋膜炎/短指屈筋のストレッチ2

足底腱膜と短指屈筋を伸張する方法として、膝をついた姿勢から足趾を立て、体重を乗せながら足趾を伸展していきます。

足底筋膜炎/アキレス腱のストレッチ

アキレス腱の硬さも足底筋膜に影響を与えるので、十分に伸ばしておくことが再発の予防につながります。

ここで紹介したストレッチは、あくまで足底筋膜に対するアプローチであり、足底腱膜が断裂している時期には逆効果となりかねません。

そのため、患者の状態に応じて適切に実施していくことが大切です。

治療方法②:筋力トレーニング

足底腱膜への伸張ストレスを軽減するためには、足趾底屈筋と足関節底屈筋の筋力強化が重要になります。

歩行時には蹴り出しが必要ですが、その際に底屈筋の筋力低下が存在すると、代償的に足底腱膜の緊張が高まって伸張ストレスが増強します。

それを防ぐためにも、短趾屈筋や下腿三頭筋などの筋力強化は必須です。

Towel-gather

鍛える方法としては、床にタオルを伸ばして置き、その端を足の指で掴みながみながらたぐり寄せるように足趾を屈曲します。

足趾を屈曲したあとに足関節を背屈させ、また最初のポジションに戻して、足趾の屈曲と足関節の背屈を繰り返していきます。

治療方法③:足底板治療

足底板(中敷き)を使用する目的は、踵部中央の除圧によって、痛みの集中しやすい部位へ体重をかかりにくくすることです。

また、低下した内側縦アーチを持ち上げることにより、筋膜に過大なテンションが加わるのを防ぐことができます。

家の中では裸足で生活されていることも多いですが、なるべくならクッション性のあるスリッパを履くことも有効です。

生活指導では、足底腱膜に負担をかけないための安静指示が必要ですが、実際は仕事の関係などで難しい場面も多々あります。

そのため、足底腱膜に負担のかからない歩き方を指導することも重要です。

方法としては、足関節の底屈動作を避けるために、足部を外側に向けた分回し歩行のように歩いてもらいます。

分回し歩行

治療方法④:体外衝撃波療法

足底筋膜炎の90%以上は自然治癒するとされていますが、残りの10%は難治性障害を示すことになります。

その場合は手術療法の適応となり、痛みの原因となっている足底腱膜の一部を切離する方法となります。

ただし、手術を実施しても痛みが消失しない症例が多く存在するため、外科手術にまで至る患者は全体の1%程度だといわれています。

そのような難治性症例に対して、2008年、厚生労働省は体外衝撃波疼痛治療装置「ドルニエエイポスウルトラ」を保険適用として承認しました。

体外衝撃波療法は、踵に衝撃波を与えることで組織を破壊し、修復を促す治療法になります。

これまでの患部を安静にして自然に治癒するのを待つ保存療法とは異なり、積極的に患部の治療に取り組めるのが特徴です。

ドルニエエイポスウルトラは、本来、腎臓結石の治療に用いられてきたものであり、足底筋膜炎の治療に応用されてからは間もないです。

しかし、その有効率は50〜60%と高く、これまでずっと痛みで苦しんでいた人たちでも期待ができる治療法となっています。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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