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足底筋膜炎,足底腱膜炎のリハビリ治療


足底筋膜炎/足底腱膜炎のリハビリ治療に関する目次は以下になります。

足底腱膜炎の概要

足底腱膜は、踵骨底から趾節骨の骨底にかけて張り出ている厚い帯状の組織で、足底のアーチをサポートしています。

この足底腱膜に炎症を起こしている状態を足底腱膜炎と呼びます。

足底腱膜

足底腱膜の深部には、短趾屈筋や長趾屈筋などが通過しており、これらの筋肉は筋膜によって囲まれています。

その足底筋膜に炎症を起こしている状態を足底筋膜炎と呼びます。

足底筋膜

しかし実際には、両者を区別して考えることは少なく、また、両者は密接に関わっているために鑑別することは困難です。そのため、ここでは用語を足底腱膜炎で統一して解説していきます。

好発年齢は40-50歳代以上で、マラソンやエアロビクスなどの足底に負担のかかる運動をしている方々に発症します。足底腱膜炎の90%以上は3ヶ月から3年以内に自然治癒します。

単純X線撮影では、重度の場合は踵骨底にカルシウム沈着が見つかることがあり、それを踵骨棘(ヒール・スパー)と呼んでいます。

足部アーチを構成する骨と筋肉

1.内側縦アーチ
足底腱膜|内側縦アーチ
・踵骨、距骨、舟状骨、内側楔状骨、第1中足骨
・母趾外転筋、短趾屈筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、虫様筋、足底方形筋
2.外側縦アーチ
足底筋膜炎|外側縦アーチ
・踵骨、立方骨、第5中足骨
・小趾外転筋
3.横アーチ
足底腱膜炎|横アーチを構成する筋肉
・足根骨レベルは内・外側・中間楔状骨と立方骨、中足骨レベルは5本の中足骨から構成される
・背側骨間筋、底側骨間筋、短母趾屈筋、短小趾屈筋、母趾内転筋

足底腱膜の構造

内・外側筋間中隔の間にある足底筋膜は、強い縦走線維束からなっており、足底腱膜と呼ばれます。足底腱膜は踵骨底から、第1-5趾の基節骨に付着します。

踵骨付着部で約2㎜、中足骨頭近傍で約1㎜の厚さを持ちます。幅は踵骨付着部において約1㎝程度で、前方に向かうにつれて広がっていきます。

足底腱膜|厚さと横幅

足底腱膜は、立位時の荷重に対して足部アーチを保持する機能を有しています。

荷重の1/2は踵部へ伝達されるため、踵骨付着部の足底腱膜は前足部より厚い構造をしていると考えられています。

足趾を伸展すると、足底腱膜の前方部分は遠位側に滑走し、足底腱膜の緊張が亢進することで前足部の剛性が高まります。

歩行の立脚終期で前足部の剛性を高め、しっかりと床面を蹴り出すためには、足底腱膜の緊張は不可欠です。

歩行周期|足底腱膜の役割

足底腱膜炎の原因と症状

足底腱膜炎は、硬い床面でランニングやジャンプなどの動作を繰り返すことで、足底腱膜に過度な伸張ストレスが加わって生じるオーバーユース障害のひとつです。

多くは踵骨の前あたりに痛みが発生し、歩きづらさを訴えての受診となります。初期段階では起床時に最も痛みが強いですが、症状が進行すると日中でも痛くなります。

初期の痛みは運動中や長時間の安静中では消失するものの、運動後や起床時に再発します。踵骨棘が形成されている場合は、棘部に軋むような痛みを感じます。

治療とリハビリ方法

1.疼痛期
薬物療法 鎮痛薬、ステロイド注射
装具療法 足底板、テーピング、夜間副子、ウォーキングキャスト
生活指導 安静指示(症状が緩和するまで)、歩行指導
物理療法 電気、超音波、アイスパック
徒手療法 ストレッチ、マッサージ
2.症状緩和期
筋力強化 タオルギャザー、カーフレイズ、スクワット
自主練習 ゴルフボールを用いた足底マッサージ
3.難治性障害の場合
手術療法  足底筋膜の緊張と炎症を除去する手術
物理療法 体外衝撃波療法( ドルニエエイポスウルトラ)

足底板治療について

足底板(中敷き)を使用する目的は、足底筋膜が付着している踵部中央への荷重を除圧することです。

また、内側や外側の縦アーチをサポートすることにより、足底腱膜へのストレスを軽減することができます。

歩行時に痛みを感じる症例では、踏み出しの際に足底筋膜が伸張されて痛みが誘発されるため、伸張を軽減できる中敷きや靴を選ぶだけで痛みは緩和します。

家の中では裸足で生活されていることも多いですが、なるべくならクッション性のあるスリッパを履くようにし、足底腱膜へのストレスをできる限りに減らします。

生活指導では、足に負担をかけないために安静の指示が第一となります。また、足底腱膜に負担のかからない歩き方を指導することが大切になります。

方法としては、足底筋膜が伸張しないように足部の伸展動作を避け、足部を外側に向けて分回し歩行のように下腿を外旋させて歩いてもらいます。

分回し歩行

ストレッチ方法

運動療法の目的は、足底筋膜に加わる牽引力の軽減と踵部に加わる荷重応力の集中を防ぐことにあります。牽引力の軽減には、足底筋膜の柔軟性を高めることが必要です。

方法としては、足関節背屈位で足指を伸展させることで、足底部をストレッチすることができます。

また、歩行時に足底筋膜に加わる張力とアキレス腱に加わる張力は相関するため、アキレス腱のストレッチも有用となります。

1.アキレス腱のストレッチ
足底筋膜炎/アキレス腱のストレッチ
2.足底筋膜のストレッチ
足底筋膜炎/短指屈筋のストレッチ2

筋力トレーニング

荷重応力の集中を防ぐには、足底筋膜に適度な緊張を持たせる必要があります。

足底筋膜は短趾を覆う腱膜であり、短趾屈筋に起始を提供するため、同筋の緊張が亢進すると足底筋膜の緊張も亢進します。そのため、特に短趾屈筋の筋力訓練が有効となります。

具体的な方法としては、床にタオルを伸ばして置き、その端を足の指で掴みながらたぐり寄せていきます。

この方法は「タオルギャザー」と呼ばれており、この時に膝が曲がったりしないように注意し、足趾を大きく屈曲するようにして実施してください。

Towel-gather

難治性障害に対する手術療法

足底筋膜炎の90%以上は自然治癒するとされていますが、残りの10%は難治性を示すことになります。

その場合は手術療法の適応となり、痛みの原因となっている足底腱膜の一部を切離することになります。踵骨棘が形成されている場合は、骨棘を削る手術がなされるケースもあります。

しかし、骨棘が必ずしも痛みの原因とはなっておらず、手術を実施しても痛みが消失しない症例は多く存在します。外科手術にまで至る患者は、全体の1%程度だといわれています。

体外衝撃波療法とは

2008年、厚生労働省は鎮痛剤などによる保存療法を半年以上行っても効果がない「難治性足底筋膜炎」の治療機器として、体外衝撃波疼痛治療装置「ドルニエエイポスウルトラ」を承認しました。

体外衝撃波療法は、踵に衝撃波を与えることで組織を壊し、修復を促す治療法です。

これまでの患部を安静にして自然に痛みが治まるのを待つ保存療法とは異なり、積極的に治療に取り組むことができるとして注目されています。

ドルニエエイポスウルトラの効果

難治性足底筋膜炎の場合は、ドルニエエイポスウルトラが保険適用で実施できます。

この治療装置は、本来、腎臓結石の治療に用いられるものであり、足底筋膜炎の治療に応用されてからは間もないため、まだ不明な点も多くあります。

しかし、有効率は50-60%と高く、これまでずっと痛みで苦しんでいた人たちでも期待ができる治療法となっています。

しかし、まだ装置自体がほとんど普及していないため、治療が受けられるのは一部の病院に限られています。

偏平足と足底筋膜炎の関係性

偏平足は3つの足アーチのうち、一般的に内側縦アーチが低下した状態をいいます。内側縦アーチは荷重と衝撃の吸収作用を担っており、足部への荷重を踵部と母指球に分散します。

そのため、偏平足では「ショックアブソーバー」の役割が失われ、足が疲れやすくなったり、足部の痛みが出現しやすくなり、足底筋膜炎の原因となります。

成人期でみられる偏平足の原因

  • 加齢による筋力低下
  • 靭帯の機能低下
  • 外反母趾の発生
  • 体重過多 etc.

扁平測の治療方法

欧米では手術療法が選択されることもありますが、日本では保存療法が主体となっています。

一般的には、内側縦アーチの形状に合わせた足底板(アーチサポート)を挿入して対応することが第一選択になります。

また、扁平足では足関節外反が伴いやすいため、内側ヒールウェッジも併用されるケースが多いです。

扁平足の筋力トレーニング

内側縦アーチの形成に関与する筋は、後脛骨筋や長母趾屈筋、長趾屈筋などであり、それらの筋肉を中心に強化トレーニングを実施していきます。

具体的には、足指でタオルを手前に引き寄せるタオルギャザーが選択されます。しかし、一度低下したアーチは再構成が難しいことを理解しておいてください。

肥満者の場合は、減量にて症状が緩和するケースもあるので、減量プログラムも有用なアプローチ手段となります。

鷲趾の原因について

足底方形筋は踵部で最も深層に位置する筋であるため、踵骨骨折などにより、容易に拘縮を起こしやすい筋肉でもあります。

足底方形筋に拘縮が生じると、過剰に長指屈筋腱を牽引するため、足趾は屈曲し、結果的に鷲趾と呼ばれる状態になります。

お勧めの一冊

日本ではじめて「足専門の診療所」を開業した桑原医師の著書です。一般向けの本ではありますが、その内容は非常に奥深いです。

足部は立位姿勢をとらえる上で最も重要な部分であるため、その基礎についてはしっかりと把握しておくことが大切です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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