足関節は廃用症候群などで拘縮が起こりやすい関節のひとつで、とくに背屈制限が起こりやすい方向になります。
理由としては、臥床時に足関節が底屈位で固定されやすいことや、ヒラメ筋は赤筋線維が豊富なために萎縮するのが早いことが挙げられます。
そんな足関節の関節可動域制限について詳しく解説していきます。
正常な足関節の可動域
足関節の可動範囲は背屈20度、底屈45度、内反30度、外反20となっています。では、なぜそれだけの範囲しか足関節は動かないのでしょうか。
答えを書くと、背屈は下腿三頭筋のアキレス腱の張力によって、底屈は関節包の張力によってそこまでしか動かないように制動されています。
外反は骨同士がぶつかることによる制限が、内反は靱帯の張力によって制動され、それぞれ可動範囲が定められています。
足関節の構造について
足関節は、①距腿関節、②距骨下関節、③横足根関節(ショパール関節)の総称で、狭義には距腿関節のことを指します。
距腿関節は蝶番関節のために1軸性であり、足関節の底背屈のみに作用します。距骨下関節は鞍関節で、距腿関節と複合して内外反の動きを可能とします。
足関節は側方に内果と外果が存在しており、外果は内果より10㎜程度長いため、外反の動きを骨的に制動しています。
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関節可動域制限を考える
正常な足関節の場合になにが制限因子になるかは前述しましたが、ここを知っておくことは非常に重要になります。
足関節の背屈を止めるのは筋腱ですが、それが正常の可動範囲より狭まるときも、やはり筋腱の影響が大きいことがほとんどです。
これは他の部分に当てはまり、底屈が制限されているなら関節包が、内反が制限されているなら靱帯が短縮している可能性が高いです。
そのため、正常な場合を知っておくことで、制限が起きたときにどこが最も影響しているかを予測しやすくなります。
内反捻挫で靱帯が損傷する
足首の捻挫の多くは内反強制によって起こりますが、その際に損傷しているのは足関節の外側靱帯になります。
外側靱帯(LCL)は、①前距腓靱帯、②後距腓靱帯、③踵腓靱帯の三つから構成されており、これらの靱帯が内反を制動しています。
過剰な動きを強制されたときに損傷する組織が、普段の制動に貢献している筋肉であるため、内反捻挫ではLCL損傷をきたすわけです。