踵骨下脂肪体損傷(踵部痛)のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。
この記事の目次はコチラ
踵骨下脂肪体の概要
![]() |
踵骨下脂肪体(heel pad)は踵骨の足底面を包み込む皮下組織で、歩行時などに踵骨への衝撃を和らげる作用を持っています。
走行や跳躍などで強い圧縮ストレスが加わり続けると、微細損傷にて炎症が起き、踵骨下に痛みが生じます。
その状態を踵骨下脂肪体損傷と呼んでおり、オーバーユース障害や急性損傷にて発症することになります。
足底腱膜炎との鑑別
踵骨部の痛みで代表的な疾患が足底腱膜炎であり、正しく鑑別することは治療を行っていく上でとても重要となります。
踵骨下脂肪体炎では足底腱膜の伸張ストレスで痛みが起こることはなく、踵部の圧痛や荷重時痛が主になります。
朝方の一歩目の強い痛みなどは足底腱膜炎の特徴的な症状なので、問診だけでもある程度に絞ることは可能です。
ただし、脂肪体のクッション作用が落ちていると足底腱膜炎になりやすいため、ふたつが混在している可能性も視野に入れて評価していきます。
リハビリテーション
踵部痛の原因が踵骨下脂肪体である場合は、まずは安静にて損傷部が治癒していくのを待つことが大切です。
安静が難しい場合は、ヒールやパッドなどで踵部分を上げることにより、損傷部に圧迫が加わらないように調整します。
テーピングも有効で、母趾球外側から踵骨後方までテープを引き伸ばしながら貼っていきます。
その際に踵骨下脂肪体を踵の下面に集めるように調整し、踵骨下がやや盛り上がるように意識しながら貼り付けると効果的です。
テーピングにて踵骨下のクッション性が増すので、これで立位時の痛みが軽減するようなら効果があると判断します。
踵部痛を起こしやすいヒトの特徴として、歩行時にCOP(足底中心)後方位または外方位となっていることが挙げられます。
それらを修正して再発を予防するためには、足関節の背屈および外反の可動域制限を改善することが重要です。
外反が制限されているケースでは、屈筋支帯の硬さがあることが多いので、必要に応じてリリースしていきます。
下腿三頭筋や後脛骨筋、長腓骨筋などの足関節底屈に作用する筋肉にタイトが存在すると、背屈制限の原因となるのでチェックが必要です