人間は速筋タイプと遅筋タイプの2つに分類できます。あなたはどちらのタイプかを見分ける方法について解説します。
速筋タイプと遅筋タイプ
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あなたの筋肉が速筋タイプか遅筋タイプかを簡単に見分ける方法として、学生時代に短距離走と持久走のどちらが得意だったかを思い出してみてください。
短距離走は得意だが持久走が苦手という人は速筋タイプで、持久走は得意だけど短距離走は苦手という人は遅筋タイプである可能性が高いです。
実際の簡易的な調査方法として、全力で50m走をして速度を計測し、次に12分間でどれぐらいの距離を走れるかといった12分走をして速度を計測します。
そして二つの速度の間の比を算出すると、それが速筋線維と遅筋線維の概ねの割合になります。
日本人の平均は「50m走速度÷12分走速度=約70%」と報告されており、つまりは遅筋線維の割合が70%ほどとなります。
この値が40%以下になると速筋タイプであると判断ができます。
持久走のタイムを伸ばすのは比較的に簡単ですが、短距離走を伸ばすのはなかなか難しいです。
それは日本人がもともと遅筋タイプであることの影響が大きいからであり、オリンピックをみても日本人が活躍できるのはマラソンだけです。
速筋タイプは筋肉の肥大化が早い
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同じメニューで同じ量の筋力トレーニングをしても、筋肉がすぐに太くなる人と太くなりにくい人が存在します。
その理由は、前述した速筋タイプか遅筋タイプかに大きく依存しています。
速筋タイプの人はトレーニングを開始して早期に筋肥大が起こりますが、遅筋タイプの人では肥大しにくい傾向にあります。
また筋肉によっても速筋線維の割合が多い筋肉と遅筋線維の割合が多い筋肉に分けられますが、前者ほど肥大しやすく、後者ほど肥大しにくいです。
筋出力は筋断面積に左右されるので、速筋線維は太くなることによって筋出力を高めています。
マラソン選手などを見ていただくとわかりやすいですが、筋肉はしっかりと付いているはずなのに身体はとても細いです。
それに対して短距離選手は筋骨隆々としている人たちばかりであり、これが筋線維の種類によって筋肉の付き方が違うというわかりやすい例だと思います。
寝たきりで低下するのは遅筋線維
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屈筋群は速筋線維の割合が多く、緊急時に使用される筋肉なので、普段からあまり使用される筋肉ではありません。
そのため、多少の臥床期間があっても委縮しにくい傾向にあります。
伸筋群は遅筋線維の割合が多く、姿勢保持などに関与する筋肉なので、普段から常に使用されています。
そのため、臥床によって刺激がなくなるとすぐに委縮してしまいます。
すべての筋肉は速筋線維と遅筋線維のどちらもが存在しており、必要に応じた割合を持ちながら構成されています。
現実的には速筋線維を鍛えているつもりでも、遅筋線維と混ざったピンク色の中間筋が主に増えますので、狙いすましながら速筋線維を増やすのは困難です。
純粋な白色の筋肉(速筋線維)を増やすことは難しいというのが、スプリンター(速筋タイプ)が先天的な才能に左右される理由のひとつです。
それに対して赤色の筋肉(遅筋線維)は努力次第でつけることができるので、頑張ったら誰もがフルマラソンを完走できるまでに成長できます。
筋肉を鍛える際は、どちらの線維を鍛えたいかを明確にし、より効果的なパフォーマンスが引き出せるように挑戦してみてください。