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過剰医療で黒字経営にするという愚行


日本病院会と全国公私病院連盟が2015年3月に発表した「平成26年病院運営実態分析調査の概要」によると、調査対象の病院のうち、実に77.8%が赤字に陥っていると報告しています。

その中で、病院はどうやって今後を生き残っていけばよいのでしょうか。

病院経営10の戦略

相和病院の病院長である川村和彦氏は、超高齢化時代を生き抜くための病院経営10の戦略を打ち出しています。

その内容は、決して利益至上主義ではなく、患者第一主義の病院経営と主張しています。一見矛盾するような内容ですが、現実はどうでしょうか。

赤字経営から黒字経営へのカラクリ

川村氏は、慢性期の重症患者に対して最期まで治療を尽くす「療養型病院」に特化することで病院を再建し、赤字続きだった病院を建て直すことに成功しています。ここだけをみると、経営手腕が素晴らしいかのようにみえます。

しかし、実際に本書を読んでいただくとわかるのですが、寝たきりの患者に対して過剰な医療を施しているだけとしか言えません。

そんなやり方なら、どんなに馬鹿な経営者でも簡単に黒字に持っていくことができます。だって処方しまくったらいいだけの話ですからね。

過剰医療は当たり前の現実

病院も利益を出さなければ運営ができません。利益を出すためには、効果がないとわかっていても治療を行う場合が多々あります。

たとえば、腰痛はレントゲンではわからないと何十年も前もから証明されているのに、いまだに無意味な画像診断が行われています。

ひどいところでは、手術の必要がないような患者に対しても、平気で手術をする医師がいるほどです。そんな病院を信頼して受診することができるでしょうか。

できないですよね。だからこそ、患者は医師の言いなりになるのではなく、自分で調べておく必要があるのです。

戦略内容について

著書で紹介されている戦略内容は以下に示します。

  1. 付加価値をつけ、できるだけ長生きできる医療を提供
  2. 患者やその家族が安心、安全に長期療養できる体制を整える
  3. 他の病院では拒否される患者を積極的に受け入れる
  4. 病院経営に「営業」を導入する
  5. 医療区分3および2の患者比率を増やし経営の安定化を図る
  6. 人員のスリム化と仕事のスピード化を推進
  7. 機械的な業務ではなく、人間的な温かみを持って患者さんに心を尽くす
  8. あらゆる事態に対応できる総合医を養成する
  9. 「最期まで患者を診る」という基本スタンスを持つ
  10. 自らの退路を断ち、覚悟と情熱を持って経営に当たる

本書を読んだ感想

戦略内容などの詳細については本書を読んでほしいのですが、上記の戦略をみる限りは素晴らしい病院のように見えるかもしれません。

ただし、これは過剰な医療を提供するための建て前にすぎません。患者第一主義と謳ってはいますが、これは利益至上主義です。

当たり前の話ですが、1万円のサービスよりも10万円のサービスのほうが内容は充実しています。受ける方も満足はするでしょう。

しかし、その差額の9万円は税金で賄われています。この病院のようにお金を湯水のように遣っていたら、すぐに財源は尽きてしまいます。

過剰供給は過剰なサービスを生む

これはリハビリ業界にも言えることですが、理学療法士が増えすぎると売り上げを確保するために過剰なサービスを提供するようになります。

売り上げがなければクビになってしまうので、患者満足度を意識したマッサージなどのメニューが増えていきます。

そのようなリハビリとは関係のないサービスを提供することにより、リハビリは効果がないと判断されて単位がさらに削られていってしまいます。これは仮定の話ではなく、すでに起こっている現実の悪循環です。

おわりに

健康診断を受けている人と受けてない人とでは、どちらが長生きできるでしょうか。もちろん前者だと思うでしょうが、実は差がないのです。

むしろ、いくつかの大規模調査では、健康診断を受けている群のほうが寿命が短かったと報告しています。

過剰な医療は寿命を縮めてしまう可能性があります。それをつねに念頭に置くようにし、本当に効果が認められる治療を、必要な分だけ提供できるように心がけていくことが、今後の医療の発展には欠かせないのではないでしょうか。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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