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関節の炎症を抑えるための方法について

肩関節の治療をしていてよく思うのですが、関節に炎症が存在しているとリハビリをしてもほとんど効果が期待できません。

根本的に治すには患部の炎症を抑える必要があるのですが、そのためには、日常生活からしっかりと整えていく必要があります。

ポイントはいくつかあるのですが、先に答えを書くと、①軽い運動、②適切な食事、③消炎鎮痛剤の使用、④患部の保温、の4つが必要です。

以下にそれぞれの効果と方法について、わかりやすく解説していきます。

炎症を抑える方法①:軽い運動

最初に誤解がないように説明すると、急性期の炎症や患部に痛みが出るような運動は炎症を強めるので絶対に行わないでください。

ここではあくまで慢性炎症(1ヶ月以上続くような痛み)を中心に解説しており、痛みを伴わない範囲で実施していくことが重要です。

肩関節周囲炎の治療でエビデンスが認められている方法は非常に少ないのですが、その中で「痛みのない範囲での自動運動が有効」とされています。

この理由については最近までよくわからなかったのですが、どうやら筋肉から分泌されるマイオサイトカインという物質が関わっているようです。

まだマイオサイトカインについてはわからないことも多いですが、わかっていることのひとつが炎症の抑制効果です。

他動運動と自動運動の違いは筋収縮が起こるかどうかですが、自動運動だけが有効というなら十分に関与している可能性は高いと考えられます。

炎症を抑える方法②:適切な食事

炎症を抑えるための成分として重要なのは、EPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)の2つです。

これらは脂肪酸の一種になるのですが、オメガ3系脂肪酸に属しており、魚油やえごま油、亜麻仁油、チアシードオイル、クルミに多く含まれます。

反対に炎症を促すための成分としては、AA(アラキドン酸)があり、こちらはサラダ油などに多く含まれます。

炎症を促すからAAの全てが悪いというわけではなく、大切なのはバランスであり、AAはEPAと1:1で摂取することが推奨されています。

しかし実際は、ほとんどのヒトがAAのみが過剰に摂取されている状況なので、積極的にEPAの摂取が促されることになります。

えごま油や亜麻仁油などは高級品なので、一般の人に薦めたとしても簡単には摂取することが難しい部分だと思います。

なので食事の指導をする際は、油モノを減らすことと、マグロなどのDHAが豊富に含まれているものを食べることを促します。

魚を簡単に食べる方法として、水煮のツナ缶もお薦めであり、EPAとDHAを効率的に摂取することが可能です。

加えて野菜もなるべく摂るようにし、お酒やタバコもできる限りに控えて、健康的に生活することで炎症を抑えることができます。

炎症を抑える方法③:消炎鎮痛剤の使用

近年は、炎症を抑える効果を持つアスピリンが癌の発症リスクを下げると報告されており、医療業界でも注目を集めています。

もちろん薬には副作用が存在しますので、慢性的に飲み続けると胃腸障害などの問題が起こってくることは間違いありません。

しかし、慢性的な炎症が身体に悪影響を及ぼすこともまた事実なので、過剰にならない範囲で適切に使用することが大切です。

前述した肩関節の炎症を例にすると、部分的に強く現れているものに対して、貼付や塗布の消炎鎮痛剤を使用することが推奨されます。

現在はネットで簡単に購入することもできますので、自分に合ったモノを見つけていくと良いでしょう。

もちろん湿布や塗り薬にも副作用はありますので、必ず用法用量を守りながら使用するようにしてください。

炎症を抑える方法④:患部の保温

温めることによるメリットはいくつも存在しますが、炎症を改善させるために最も重要なのが血流の促進効果です。

血流が良くなると血管内皮細胞からNO(一酸化窒素)が出て、傷ついた血管を修復してくれる作用があります。

軽い運動で血流を良くすることも効果的なのですが、痛くて運動ができない、またはする気になれないという人には温めることが有効です。

血管(動脈)は身体の深層に位置している場合が多いので、表面的に温めるだけではあまり効果が期待できません。

そのため、しっかりと時間をかけて保温することが重要であり、お風呂などに入浴することはお薦めです。

病院でホットパックなどをしなくても、いまは自宅で簡単に温めることができる道具も多くありますので、そちらを使用してみてください。

おわりに

ここまでに関節の炎症を抑えるための方法について解説してきましたが、この視点がないと改善しない患者は非常に多いです。

とくに肩関節などは慢性的な炎症状態にある場合も多く、リハビリのみでは効果が認められないこともよくあります。

そのときにひとつの視点として「血管」に目をやるのも面白く、例えば、肩関節なら側方の深層に痛みを訴えるケースは多いです。

この部分には前上腕回旋動脈が分布しており、肩関節や三角筋などに栄養を与えています。

このことを考慮しながら軽い運動を行うとするなら、腕を前後や外側に無理のない範囲で反復して動かすことで三角筋の収縮を促します。

それが結果的には前上腕回旋動脈の血流を促進させて、炎症を改善させることにつながっていくと考えられます。

もちろん理論通りにスムーズに治療がいくわけでもありませんし、生活全体を整えていくためには患者の協力が必要不可欠です。

そのことに配慮しながら、上記の中でその患者に最も必要な部分はどこかを考え、実施できそうなものを選択していってください。

つたない文章でしたが、是非とも明日からの臨床の参考にしてみてください。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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