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関節拘縮の発生機序と時期別の主な原因について


関節拘縮の発生機序については多くの先行研究がありますが、それぞれで報告間に異なる部分があり、確定的な見解は得られていないのが現状です。

その中で、かなり噛み砕きながら簡単に発生機序をまとめていきますので、参考程度に読んでいただけると幸いです。

関節拘縮の分類

関節拘縮を考えていく上で原因は大きく分けてふたつあり、筋性拘縮と関節性拘縮に分けられます。

筋性拘縮は、関節包外に位置する筋肉および筋膜が原因で起こる拘縮です。筋膜の柔軟性低下(架橋結合)や筋肉の短縮(筋節の減少)によって起こります。

関節性拘縮は、関節包および関節包内に位置する結合組織が原因で起こる拘縮です。主に癒着や骨の変形で起こります。

また、これらとは別に可動域制限をきたす原因として、疼痛性、筋緊張性(痙性や固縮)、浮腫性があります。

関節拘縮の病変部位による分類

病変部位別で分類すると、①皮膚性、②筋性(腱性)、③靭帯性、④関節性の五つに分類できます。その主な割合は以下になります。

関節拘縮の原因別割合
原因 主な部位 割合
皮膚性 皮膚,皮下組織 2%
筋性 筋線維,筋膜 41%
靭帯性 靭帯 10%
関節性 関節包 47%

関節拘縮は筋性拘縮が先に起こる

関節を固定して動きを制限した場合、まずは筋性拘縮が起こり、固定期間が長くなるほどに関節性拘縮による制限の割合が大きくなります。

筋性拘縮は筋膜による制限と筋線維による制限がありますが、まずは筋膜による制限について解説していきます。

筋膜はコラーゲンで主に構成されていますが、コラーゲンは不動によって架橋結合していきます。そうすると、筋膜は伸張性を失い、関節の動きが制限されます。

下図を見ていただくと非常にわかりやすいですが、結合されたコラーゲンは扁平化することができず、伸びきることができなくなってしまいます。

筋短縮の原理|線維化① 筋短縮の原理|線維化②

次に筋線維による制限ですが、筋肉が短縮する理由は不動による筋節の減少にあります。

筋節は太いフィラメントと細いフィラメントで構成されており、それらが滑走することで筋肉は伸張します。

ひとつの筋節が伸びる限度は決まっているため、筋節が減少することで筋肉は十分な伸張ができなくなります。これを筋肉の短縮と呼びます。

筋短縮の原理|筋節

筋節の減少は、とくに筋肉が短縮するポジションで固定された場合に起こりやすい傾向にあります。

ラットを使用した実験では、足関節を最大底屈位で固定した場合に、ヒラメ筋の筋長は1週間で11%も短縮したことが報告されています。

上述してきた筋性拘縮とは別の原因として、筋肉の防御性収縮による可動域制限があります。

肩関節周囲炎などでは肩部に強い痛みを発生するため、関節を動かされることをおそれて筋肉が過剰に収縮している場合があります。

防御収縮による制限は痛みの有無と筋肉の緊張をみることで容易に鑑別できます。

可動域制限が即時に改善する場合

筋膜リリースやストレッチなどの施術によって、即時に関節可動域が改善する場面は臨床でも多く認められます。

しかし、完全な可動範囲を獲得することはなく、若干の制限を残しながらの改善となる場合が多いです。

その場合は、ストレッチなどですぐに改善できる範囲は筋性制限で、それより最終域で起こる制限は関節性(軟部組織性)である可能性が高いといえます。

関節性拘縮が起こると不可逆的になる

1ヶ月以内の固定は筋性拘縮による影響が大きいとされていますが、それ以上になると関節性拘縮による制限の割合が大きくなる傾向にあります。

関節性拘縮の主な原因は癒着ですが、長期の炎症などで関節軟骨や骨自体の破壊が進行してしまうと骨性の制限をきたすことにつながります。

また、炎症の所見は関節包や滑膜を増殖させて、関節内に密度の高い結合組織を充満させます。

関節軟骨が損傷している場合は、関節全面にわたって骨質の上に癒着が出現し、関節の強い拘縮を引き起こすことにつながります。

関節拘縮の程度

ラットの足関節を最大底屈位で固定した研究では、背屈方向への関節可動域制限が、以下のような程度で推移したことが報告されています。

固定期間 制限の程度
1週後 16.9%
2週後 29.1%
4週後 57.2%
8週後 68.1%
12週後 72.1%

固定期間と可動域制限因子の変化

最後に先行研究を参考にしながら、実際にどのような流れで制限されていくかについて端的にポイントをまとめて記載していきます。

固定期間:5日

  • 主な制限因子は筋性拘縮
  • 筋節の減少および筋膜の柔軟性低下が認められる
  • 短縮位で固定されるほどに筋節の減少は大きくなる
  • 関節包内の変化はほとんどみられない
  • 強い炎症がある場合は関節性拘縮(癒着)が急激に進行することがある

固定期間:10日

  • 主な制限因子は筋性拘縮
  • 筋周膜や筋内膜が肥厚する
  • 関節包の厚さは減少して疎性結合織から密性結合組織へと変化する
  • 滑膜組織は萎縮して滑膜下層の脂肪織も萎縮と線維増生が起きる
  • 炎症がある場合は関節包や滑液包は反対に増生する

固定期間:30日

  • 主な制限因子が筋性拘縮から関節性拘縮に移りかわる
  • 関節内には結合組織が充満して癒着が関節包を中心に進行する
  • 関節軟骨や骨自体の萎縮や摩耗が出現する
  • 皮下組織における脂肪細胞が委縮・消失して線維性結合組織に置換
  • 固定30日以内は筋性拘縮が主であるため可動域制限は可逆的

固定期間:60日

  • 主な制限因子は関節性拘縮
  • 関節内に充満していた結合組織の密度が増加する
  • 関節軟骨が破壊されて関節全面の骨質上で直接結合組織が癒着する
  • 緻密なコラーゲン線維が増生して残存する筋線維の多くは壊死する
  • 固定60日以上は関節性拘縮が主であるため可動域制限は不可逆的

まとめ

いくつかの文献を参考にして、自分なりに噛み砕いてまとめてみましたが、冒頭でも述べたようにまだ確定的なことは言えないのが現状です。

なので、ここに書いていることもあくまで参考程度にとどめながら、臨床の一指標として用いていただけたら幸いです。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在はフリーランスとして活動しています。詳細はコチラ
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