頚髄症のリハビリ治療

頸部に起きる脊髄障害(頚髄症)のリハビリ治療に関して解説していきます。

頚髄症の原因

頸椎は加齢によって周囲組織に変性をきたしやすい場所であり、①椎間板の圧壊、②靭帯の肥厚、③骨棘の形成などが起こります。

変形が進行すると頚部に痛みなどの問題を訴えるようになり、その状態を頚椎症と呼んでいます。

頚椎症が進行すると椎孔(脊柱管)が狭窄して脊髄が圧迫されてしまい、中枢性麻痺を起こした状態を頚椎症性脊髄症(頚髄症)といいます。

頚髄症を起こす原因は前述した頚椎症の他に、頚椎椎間板ヘルニアや後縦靭帯骨化症、交通事故などの外傷があります。

頚髄症の症状

脊髄は中枢神経であるため、圧迫(障害)されると障害部位より下位すべてに中枢性麻痺が生じます。

具体的には、上肢筋の緊張亢進にて箸を上手く使えなくなったり(巧緻動作障害)、下肢筋の緊張亢進にて歩きにくくなる(痙性歩行)といった症状が起こります。

中枢性麻痺 末梢性麻痺
筋緊張
深部反射
病的反射
筋萎縮
筋線維束攣縮

頚椎症が進行しているケースでは、椎孔のみではなく椎間孔も狭窄していることが多いため、障害レベルの末梢神経麻痺を起こしている場合もあります。

例えば、C5/6レベルで脊髄と神経根を圧迫している場合は、C6神経根の末梢神経麻痺とC7以下の中枢性麻痺が現れます。

末梢性麻痺では筋緊張は低下し、深部腱反射も減弱または消失しますので、神経症状を確認しながらどのレベルにどちらの障害が出ているかを確認することが必要です。

C5 C6 C7
腱反射 上腕二頭筋反射 腕橈骨筋反射 上腕三頭筋反射
筋力低下 三角筋 上腕二頭筋 上腕三頭筋
感覚障害 上腕外側 前腕外側、母指、示指 示指、中指

巧緻動作の確認テスト

上肢の巧緻動作を確認する簡単なテストとして、上肢を挙上した状態からグーパーを繰り返す動作を10秒間反復する「10秒テスト」があります。

基準値として、10秒間に反復回数が20回以下なら巧緻動作障害を疑うことができます。

数え方はグーで1回、パーで1回なので、一度の動作(グーパー)でカウントは2回となるので注意してください。

リハビリテーションの考え方

現状として、診療ガイドラインにおいても頚髄症に対して効果の認められるリハビリ方法は確立されておりません。

ほとんどの原因は頸椎の変性(椎間板の圧壊や靭帯の肥厚)であるため、それらの問題を取り除く方法は基本的に手術だけです。

そのため、リハビリ職が向き合うべき問題は症状の根本的な解決ではなく、付随して起こる二次障害です。

麻痺の程度によっては食事動作が困難となったり、転倒の原因にもなるため、必要に応じて補助具などの使用も検討していきます。

胸椎の過後弯(猫背)などで頸椎に過伸展がある場合は脊柱管が狭窄するため、アライメントを整えることも有用と考えられます。


お薦めのリハビリ本

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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