頚髄症のリハビリ治療

頸部に起きる脊髄障害(頚髄症)のリハビリ治療に関して解説していきます。

頚椎の加齢的変化

頸椎は加齢によって周囲組織に変性をきたしやすい場所であり、①椎間板の圧壊、②靭帯の肥厚、③骨棘の形成などが起こります。

変形が進行すると頚部に痛みなどの問題を訴えるようになり、その状態を頚椎症と呼んでいます。

さらに変性が進行すると椎孔や椎間孔が狭窄し、頚椎症性脊髄症(脊髄障害)や頚椎症性神経根症(神経根障害)を招くことにつながります。

頚椎症性脊髄症とは

頚椎の椎孔(椎孔の連続を脊柱管と呼ぶ)が何らかの理由で狭窄し、中を通る脊髄(頸髄)が圧迫された状態を頚髄症といいます。

具体的な原因としては、①頚椎症(頚椎の変形)、②椎間板ヘルニア、③後縦靭帯骨化症などが挙げられます。

頚椎症が原因で脊髄を圧迫しているケースを頚椎症性脊髄症といい、主に黄色靭帯の肥厚によって椎孔を狭窄していることが原因です。

加齢による変化であるため、主に50歳以上に発生しやすいです。

頚椎椎間板ヘルニアとは

頚椎椎間板ヘルニアとは、頚椎の間にある椎間板というクッションが加齢によって変性し、後方に出て神経を圧迫する障害です。

後方に飛び出すと脊髄を圧迫して脊髄症が発生し、斜め後ろに飛び出すと神経根を圧迫して神経根症となります。

好発年齢は30〜50歳代で、原因としては、悪い姿勢でのデスクワークやラグビー、アメフトなどのコンタクトスポーツが挙げられます。

頚髄症の症状

脊髄は中枢神経であるため、障害されると障害部位より下位の中枢性麻痺が起こります。

また、脊髄から分岐した末梢神経(神経根)まで障害を受けているケースでは、障害レベルの末梢性麻痺が生じます。

例えば、C5/6レベルで脊髄と神経根を圧迫している場合は、C6神経根の末梢神経麻痺とC7以下の中枢性麻痺が現れます。

中枢性麻痺 末梢性麻痺
筋緊張
深部反射
病的反射
筋萎縮
筋線維束攣縮

頚髄症の中枢性麻痺では、上肢筋の緊張亢進にて箸を上手く使えなくなる(巧緻動作障害)、下肢筋の緊張亢進にて歩きにくくなる(痙性歩行)といった症状が起こります。

末梢性麻痺では筋緊張は低下し、深部腱反射も減弱または消失しますので、神経症状を確認しながらどのレベルにどちらの障害が出ているかを確認することが必要です。

C5 C6 C7
腱反射 上腕二頭筋反射 腕橈骨筋反射 上腕三頭筋反射
筋力低下 三角筋 上腕二頭筋 上腕三頭筋
感覚障害 上腕外側 前腕外側、母指、示指 示指、中指

巧緻動作の確認テスト

上肢の巧緻動作を確認する簡単なテストとして、上肢を挙上した状態からグーパーを繰り返す動作を10秒間反復する「10秒テスト」があります。

基準値として、10秒間に反復回数が20回以下なら巧緻動作障害を疑うことができます。

数え方はグーで1回、パーで1回なので、一度の動作(グーパー)でカウントは2回となるので注意してください。

リハビリテーションの考え方

現状として、診療ガイドラインにおいても頚髄症に対して効果の認められるリハビリ方法は確立されておりません。

ほとんどの原因は頸椎の加齢変化(椎間板の圧壊や靭帯の肥厚)であるため、それらの問題を取り除く方法は基本的に手術だけです。

そのため、リハビリ職が向き合うべき問題は症状の根本的な解決ではなく、付随して起こる二次障害です。

麻痺の程度によっては食事動作が困難となったり、転倒の原因にもなるため、必要に応じて補助具などの使用も検討していきます。

胸椎の過後弯(猫背)などで頸椎に過伸展がある場合は脊柱管が狭窄するため、アライメントを整えることも有用と考えられます。


vc

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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