頚部脊椎症(頚椎症)のリハビリ治療

頚部脊椎症(cervial spondylosis)のリハビリ治療に関して、わかりやすく解説していきます。

頚椎症の概要

頸椎は加齢によって周囲組織に変性をきたしやすい場所であり、中でも椎間板の圧壊や靭帯の肥厚が発生しやすい状態にあります。

それらの変化は頸椎椎間関節の負担を増加させ、椎間関節障害を引き起こし、首を動かしたときに痛みを発生させます。

さらに変性が進行すると脊柱管や椎間孔が狭窄し、頚椎症性脊髄症(脊髄障害)や頚椎症性神経根症(神経根障害)を招くことにつながります。

椎間関節障害の症状

頚椎症における椎間関節障害の主な症状としては、首を動かすと痛い(椎間関節への負担で痛む)ことです。

頸椎の中でも、特にC5/6、C6/7、C4/5の順に障害は起こりやすく、加齢変化であるために最終的には全関節に起こりえます。

神経症状を認めない頚部痛の場合は、3ヶ月以内に約70%の患者に改善が認められると報告されています。

自然治癒する頚部痛というのは、椎間関節に炎症が存在する状態と考えられ、その場合は関節炎が消失することで痛みも寛解します。

自然治癒しない頚部痛というのは、筋肉や筋膜が影響している可能性が高く、適切に疼痛誘発組織を治療することが求められます。

障害のある関節を特定する

頚椎症による痛みの原因は主に椎間関節にありますが、頸椎は7つ存在しており、頸椎の上下は各々に椎間関節を形成しています。

さらに椎間関節は左右に存在しているため、どの高さの椎間関節レベルで、左右のどちらに障害があるかを特定する必要があります。

例えば、頚部を右側屈させると右側の椎間関節に負荷をかけることができるので、右側屈で痛みが出るなら右側の椎間関節障害を疑います。

どの高さの椎間関節に問題があるかを調べるには、後方からの棘突起を固定して、頚部を伸展してもらいます。

例えば、C5の棘突起を固定するとC5/6の動きを制限できますので、C5固定で痛みが消失し、C6固定で痛みがあるならC5/6の障害を疑います。

危険な頚部痛を鑑別する

一部の頚部痛には危険性の高い疾患が含まれるため、それらを鑑別するために以下のレッドフラッグサインといった鑑別方法が示されています。

レッドフラッグサイン 考えられる障害
外傷性 骨折、脱臼
頸部手術の既往 神経損傷、インプラントの不具合
体重減少、夜間痛、20歳以下 悪性腫瘍
発熱 化膿性脊椎炎
激痛 骨腫瘍、石灰沈着性頚長筋炎
脊髄刺激症状 頚髄症

上記の症状に該当する場合は、必ず医療機関で精密な検査を行うことが必要となります。

リハビリテーションの考え方

頸椎の椎間関節障害のリハビリで重要なのは、①関節炎の軽減、②椎間関節の拘縮除去、③胸椎過後弯(猫背)の改善の3つです。

関節炎は治癒するまでには2〜3ヶ月を要すので、それまでは疼痛を誘発する動作は避け、炎症を再燃させないことが必要になります。

椎間関節炎を起こしている症例では周囲組織(とくに関節包)の短縮が存在しているため、椎間関節のモビライゼーションを要します。

拘縮を取り除いて頚部の可動性を改善させることにより、椎間関節障害の再発を防ぐことが大切です。

猫背の症例では、頸椎を過伸展させて頭部の位置を保つため、椎間関節の負担を高めることにつながるので姿勢矯正が必要です。

椎間関節モビライゼーション

多裂筋のリラクゼーションと椎間関節のモビライゼーションは似た方法となるため、臨床では覚えておくと非常に役立ちます。

方法としては、患者に仰臥位をとってもらい、治療対象となる椎間関節を正中位に保持した状態で頭部を把持し、棘突起間を開くように力を加えます。

軽い力で棘突起間の開閉を繰り返すことにより、多裂筋の収縮を促通させることができ、リラクゼーションを図ることができます。

椎間関節の拘縮に対しては、それよりも強い力で棘突起間を開くように力を加えることで、周囲組織を伸張することが可能となります。

頚部痛に対する自己ストレッチ

首の痛みに対しては安静よりも運動や徒手療法が効果的とされており、積極的な介入が求められます。

通常、症状が改善する方向がそのまま治療体操の方法となり、増悪する方向が禁忌ポジションとなります。

治療方向への運動にて痛みが引いてきたら、最終的には全方向に動かすようにストレッチを実施し、関節可動域の拡大を図ります。

①頸椎伸展位の状態から両手の指を顎に当てて、顎をさらに後ろに押し込みます。
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②頸椎最大伸展位の状態から、顔を左右にそれぞれ2㎝くらい振ります。徐々に振り幅を広げていき、リズミカルに実施していきます。
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③上記の頸椎を伸展させてから左右に回旋させる運動を、ベッドに背臥位となって端から頭部を出し、重力にて頸椎を伸展させた状態で行います。
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④頚を痛みのある側に曲げます。痛みがある側の手を頭の上に置き、手を使って頭をしっかり真横に倒すようにしてエクササイズの効果を高めます。
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⑤頸椎屈曲位の状態から両手を頭の後ろで組み、腕の重みで頭をさらに倒し、顎を胸に近づけるようにストレッチします。
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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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