鵞足炎のリハビリ治療

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鵞足炎の病態とリハビリテーションの方法について解説していきます。

鵞足の概要

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鵞足は脛骨近位内側で、①縫工筋、②薄筋、③半腱様筋の3つの筋肉の腱が扇状に付着する部位の総称を指します。

付着部の形態が鵞鳥の足に似ていることから「鵞足」と名付けられました。

鵞足炎の発生機序

鵞足炎は膝関節の屈曲と伸展が繰り返されることにより、表層の鵞足と深層の内側側副靭帯が擦れることにより生じます。

摩擦を緩和するために鵞足と内側側副靭帯の間には「滑液包」が存在しており、正常なら炎症を起こすことはほとんどありません。

しかし、脛骨が外旋または前方突出しているヒトでは鵞足が引き伸ばされるため、内側側副靱帯との摩擦力が増加して損傷する可能性が高いです。

以上のことから、鵞足炎は膝関節が捻じれた状態で屈伸が繰り返される運動(マラソンやサッカーなど)を行うと発生しやすくなります。

痛みの原因組織を鑑別する

前述したように鵞足は3つの筋肉で構成されているため、具体的にどの筋肉が疼痛の主因となっているかを鑑別する必要があります。

ほとんどのケースでは薄筋腱が炎症を起こしているため、まずは薄筋から圧痛や伸張痛の有無を確認すると効率的です。

薄筋の作用は、①股関節の屈曲・内転、②膝関節の屈曲、③下腿の内旋ですので、その反対方向に動かすことで伸張することができます。

鵞足滑液包や内側側副靱帯に炎症が起きている可能性もあるので、鵞足構成筋以外の組織についても調べておくと確実です。

リハビリテーションの考え方

鵞足炎を起こす患者の多くは脛骨外旋症候群を有しており、その原因には、①股関節内旋(外旋制限)、②足部外反、③膝関節屈曲があります。

歩行時の立脚初期には骨盤も大腿骨も下腿骨も最初は内旋しますが、後期になると全て外旋していきます。

そのため、基本的には歩行で膝関節が捻れが生じるはありませんが、前述した問題を含んでいる場合は捻れる可能性があります。

①股関節内旋(外旋制限)

立脚初期に大腿骨が過度に内旋してしまうケースでは、脛骨との捻れ(脛骨外旋)が生じてしまうことがあります。

このパターンは股関節に外旋制限のある女性に多いことが特徴で、膝蓋骨が内向きにあるスクインティング・パテラを有しています。

大腿骨内旋が強すぎると膝関節の過伸展と合わせて「見かけ上のO脚」を呈しますが、大腿骨を外旋させるとO脚が消失することが特徴です。

また、大腿骨内旋では膝蓋骨が内向きにありますが、膝関節のスカイライン撮影では膝蓋骨が大腿骨に対して外方変位します。

それは脛骨外旋との捻じれによってQ角が強まることにより、膝蓋骨を外側に引っ張る力が加わることで二次的に生じています。

そのような患者では股関節外旋のストレッチングに加えて、普段から膝蓋骨を正面に向けるように意識して立つように指導します。

②足部外反

立脚後期に足部外反(扁平足)が生じるケースでは、下腿が外旋してしまうことで膝関節に捻れが生じます。

単純に足部が外反するだけでは膝関節も外反しそうですが、実際には歩行時に外反すると脛骨は外旋して下肢は外方に傾斜していきます。

そうすると膝関節内側の圧が高まることになり、ストレスが繰り返されることで変形性膝関節症(O脚)の原因になります。

治療では足部内反の運動を実施したり、足底板を利用することで足部外反を改善させることが有効です。

③膝関節屈曲

膝関節に伸展制限(屈曲拘縮)が起きると、歩行時に膝をロッキングできずに捻れを起こす原因となります。

伸展制限のほとんどに膝蓋下脂肪体が影響していますので、ダイレクトマッサージや膝蓋骨セッティングを実施していきます。

下腿外旋の矯正には、下腿内旋位での膝関節屈伸が効果的なので、自主練習として指導しておくことも大切です。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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