医師から頚椎症(頚椎症性神経根症)という診断名でリハビリの指示が来て、評価をしてみたけど症状が完全には現れない。
そんなときに疑ってみてほしいのが斜角筋症候群ですが、外来リハビリをしていると結構な患者数がいることに気付きます。
これらの疾患を見分ける最も簡単な方法が「頸部の運動検査」です。
頚椎症の場合は、右手にしびれがあるとき、右側に頸部を側屈させると症状が強く出現します。
原理としては、頸部が右側屈すると右の椎間孔が狭まるため、そこを通過している神経根がより圧迫されることに起因します。
それに対して斜角筋症候群の場合は、右手にしびれがあるとき、左側に頸部を側屈させると症状が強く出現します。
原理としては、頸部が左側屈すると斜角筋が伸張されて、隙間を通過する神経がより絞扼されることに起因します。
両者はともに頚椎を伸展させたときに症状が強くなり、屈曲させたときは症状が出ないので、屈伸の動きも同時に確認しておくとよいです。
もちろん他にも各種の神経検査や斜角筋隙の圧迫などで総合的に判断していきますが、どの検査も症状が明確に出ないことが多いです。
そのため、個人的には頸部の動きをみることがもっとも手っ取り早いと感じていますし、その結果を重要視しています。
具体的な治療方法については、「斜角筋(群)のほぐし方からストレッチ方法まで解説」という記事に詳しく書いてます。
もしも頸部の動きでは症状が出現しない場合は、肋鎖間隙や小胸筋下間隙などで腕神経叢を圧迫している可能性も考慮します。
これらは斜角筋症候群とともに上肢のしびれの原因となりますので、詳しく知りたい方は「胸郭出口症候群のリハビリ治療」の記事を参考にしてみてください。
手のしびれは他にも正中神経麻痺や橈骨神経麻痺、尺骨神経麻痺などが影響していることもあるため、そこまで把握しておくと十分です。
しかしながら、さすがにそのあたりは医師が鑑別してくれているので、ほとんど間違えられることはないです。
頚椎症性神経根症と斜角筋症候群だけは誤診されやすいので、もしも評価内容と疾患の症状が異なる場合は疑ってみてください。