外来リハビリをしている整形外科などでは、再診の患者は医師の診察なしでリハビリのみってところはかなり多いはずです。
だからこそリハビリ職の能力と集患が直結するわけですけど、実際はそのあたりを理解していない管理職がほとんどではないでしょうか。
その結果が、理学療法士や作業療法士といったセラピストは取得した単位のみでしか評価されない現状にあるだと痛感しています。
この流れを断ち切るためにも、患者を集めるためにはセラピストに投資したほうがいい理由をわかりやすく書かせてもらいます。
病院の評価は周囲の口コミで決まる
現在はほとんどの人がスマホなどでインターネットを利用していますが、いまだに病院の評価は周囲の口コミで決まります。
理由として、ひとつは病院を主に利用するのがスマホ利用率の低い高齢者であることが挙げられます。
ネット上の評価をみることができない世代は、どこが良い病院なのかを知る術は知り合いからの口コミだけです。
高齢者でなくても、ネットで見た情報よりも知り合いから聞いた情報のほうを信じるのが人間の常だと思います。
だからこそ、口コミを大切にすることは集患を考えるうえで、最も大切な要素のひとつだと理解しておいてください。
口コミは二者択一
口コミというのは、「マイナス評価」か「プラス評価」しか存在しておらず、ひとつでもマイナス評価を受けると瞬く間に拡がります。
評価される理由を挙げたらキリがありませんが、「あそこの医者は痛いところにちゃんと触れもしなかった」などはよく聞かれますね。
このような基本的な部分は問題外ですが、やはり最も重要なのは問題が解決したかどうかだと思います。
患者の多くは痛みを主因として来院してきますので、痛みがなくなったかどうかはその病院を評価するうえで最大の決定因子となります。
もしも痛みが良くならなかった場合は、「あそこの病院に行ったけど、ちっともよくならなかった」とだけ言います。
ピンのセラピストを作る
病院に行ったから全ての痛みが治るわけではないですが、少しでも確率を上げるように努めることが医療従事者の責務です。
ヤブ医者と呼ばれる医師がいるように、リハビリ職もピンキリであり、ピンのセラピストが揃っている病院には必ず患者が集まります。
理学療法士や作業療法士はマンツーマンで少なくとも20分以上は直接的に患者と関わっており、どの職種よりもその人のことを理解しています。
だからこそ信頼関係も生まれやすく、信用は口コミをしていただくうえで強力なポイントとなりえるわけです。
しかしながら、面接の段階でピンのセラピストを見極めることは難しく、そんなに簡単に判断ができるものではありません。
最初にある程度の振り分けをするのは当然ですが、その後もしっかりと育つような環境を整えることが必要です。
このシステムを作るためには医師の理解と管理職の能力が重要であり、どれだけ質の高い状態に持っていけるかが課題となります。
単位よりも重要なのは信用を得ること
取得単位のみでセラピストの価値が決まらないことは前述しましたが、単位数を増やすことによる負の連鎖についても解説します。
場所によっては1日に30人ちかくの患者をみて、入りきらなかった単位を周りに振り分けるようなことをしている病院もあるかと思います。
この違法性については言及しませんが、もっと重要なのは患者の治療時間が短くなり、信用を落としかねないことです。
おそらく患者の多くは「いつもよりも短いな」と感じつつも、そのことについて尋ねてくることはないでしょう。
それが積み重ねっていくとセラピストのことを信用できなくなり、いつかは病院から離れていくことにつながります。
もちろん多少の時間が短くても、治療で効果が出せるなら全く問題ないのですが、そのレベルを若手に求めるのは無理です。
自分もまだまだ全然なので、やはり15分で治療するよりも20分で治療するほうが効果が出やすいと感じています。
若手のセラピストを効果的に育てるためには、臨床に即した技術(知識)の伝達と、実践の繰り返ししかありません。
そのようにしてリハビリ職の技術が底上げされていくと、地域での口コミは必ず良くなっていき、患者は増えていきます。
もちろん病院の評価を決めるうえで最大の因子は「医者」なのですが、その次に影響するのは間違いなく理学療法士や作業療法士です。
リハビリなんて新人がやってもベテランがやっても単位は同じだから、人件費が安い新人でいいという考えは絶対に捨ててください。
そのようにセラピストを安く値踏みして求人を出していると、絶対に患者はジリ貧で減っていきます。
集患で悩んでいる病院がありましたら、そのことを是非とも頭に入れてもらい、注力していただくようにお願い致します。