【2021年度介護報酬改定】通所リハビリの変更点について

1月18日に開催された社会保障審議会・介護給付費分科会で、令和3年度介護報酬改定の主な事項について掲載されました。

今回は当院が運営している短時間型通所リハビリが影響を受ける部分を中心に、どのような影響が受けるかをまとめていきます。

リハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)

現行のリハビリテーションマネジメント加算(Ⅰ)を廃止して基本報酬に組み込むが決定しました。

リハマネ加算Ⅱ・Ⅲ・Ⅳは名称を変更して残ることになりますが、予想されていた『データ提出が必須』とまではなりませんでした。

リハマネ加算Ⅰは基本報酬に組み込むになったので、その分だけ利用料(基本部分)は増額となりました。

以下は、1時間以上2時間未満の場合を比較した表です。

従来 改定
要介護1 329単位 366単位 +37単位
要介護2 358単位 395単位 +37単位
要介護3 388単位 426単位 +38単位
要介護4 417単位 455単位 +38単位
要介護5 448単位 487単位 +39単位

リハマネ加算Ⅰ(330単位)を利用料で補うためには、月に9回以上の来所が必要となる計算になります。

休む可能性や週1回で利用するケースなどを考慮すると、以前よりも単位はマイナスになるかと思います。

要介護者も要支援者のように1ヶ月の包括報酬という案もありましたが、そちらは不採用となったようです。

介護予防通所リハビリテーション費は、要支援者1の1721単位/月が2053単位/月、要支援者2の3634単位/月が3999単位に変更となりました。

要支援もリハビリテーションマネジメント加算が廃止となりましたが、上昇値が330単位よりも多いので、実質的にはプラスとなります。

要支援者の長期利用は減算

要支援者の長期利用(12ヶ月以上)は、要支援1が20単位/月減算、要支援2が40単位/月減算となるようです。

以前から慢性的な通所リハビリの利用に対して警告がありましたが、それを強制的に実行させる手段として減算が採用されました。

生活行為向上リハビリテーション実施加算

従来は「開始日から3月以内」と「3月超6月以内」で単位が分かれていましたが、今回の改定で「開始日から6月以内」で単位は統一されました。

要支援の場合は「562単位/月」、要介護者の場合は「1250単位/月」となります。

入浴介助加算の改定

従来の入浴介助加算(50単位/日)が、入浴介助加算Ⅰ(40単位/日)と入浴介助加算Ⅱ(60単位/日)に分けられました。

Ⅰは従来どおりの算定要件であり(実質の減算)、Ⅱは個別の入浴計画を作成するなどの要件が追加されています。

通所介護では入浴介助加算Ⅱが55単位/日なので、通所リハのほうが5単位ほど加算が多くなっている部分に注意してください。

栄養に関する加算

栄養スクリーニング加算(5単位/回)は、口腔・栄養スクリーニング加算Ⅰ・Ⅱに変更となりました。

口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ)は20単位/回、口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ)は5単位/回となります。

栄養改善加算は、従来の「150単位/回」から「200単位/回」に増額となり(追加要件あり)、さらに栄養アセスメント加算(50単位/月)が新設されました。

安定的なサービス提供(特例措置)

感染症や災害の影響により利用者数が減少した場合に、事業者が倒産してしまうことを防ぐため、特例措置が設けられました。

具体的には、前年度の平均延べ利用者数から5%以上減少している場合に、3ヶ月間基本報酬の3%の加算を行うことができます。

仕事と育児の両立

育児の短時間勤務制度を利用する場合や介護の短時間勤務制度等を利用する場合に、週30時間以上の勤務で常勤として扱うことが認められます。

その場合は、常勤換算での計算上も1(常勤)として扱うことができます。

文書負担軽減や手続きの効率化

利用者等への説明・同意について、電磁的な対応を原則認めることなり、必ずしも署名・押印を求めないことことが決定しました。

ただし、その場合は了承を得た代替手段(メールなどのやりとりの記録など)を明示する必要があります。

諸記録の保存・交付等についても、電磁的な対応を原則認めることになりました。

運営規程等の重要事項の掲示については、事業所の掲示だけでなく、閲覧可能な形でファイル等で備え置くこと等を可能となります。

各委員会の設置等

  1. 感染症対策の強化(3年の経過措置)
  2. 業務継続に向けた取組の強化(3年の経過措置)
  3. 高齢者虐待防止の推進(3年の経過措置)
  4. 災害への地域と連携した対応の強化
  5. ハラスメント対策の強化

詳細は省きますが、上記のことが内容に盛り込まれており、各項目で指針の整備や研修の実施などが必要となります。

おわりに

短時間型デイケアでは、全体的にマイナス改定となり、各委員会の設置等など実施することが増えて大変になったいうのが感想です。

良かったことは、電磁的な対応が原則認められたことで、工夫次第で業務もさらに効率化できそうなところぐらいです。

現在は外来リハビリの片手間に通所リハビリをやってる状態ですが、本当にメリットはないに等しいのではないかと思ってます。

これからどうなっていくかはわかりませんが、とりあえず目の前のことを頑張っていくしかないですね。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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