若年者の膝関節としても多いオスグッド病のリハビリ治療について、わかりやすく解説していきます。
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オスグッド病の概要
オスグッド・シュラッター病は、まだ骨端線が閉じていない12〜13歳の男子に好発しやすい脛骨の骨端軟骨板障害です。
1903年にロバート・ベイリー・オスグッドとカール・シュラッターが別々に症例を発表したため、この病名がつきました。
成長期は急激に軟骨が骨に成長する時期であり、脛骨結節の成長線に過剰な負荷が加わることで痛みが発生します。
その状態を一般的には「成長痛」と呼んでおり、直近2〜3ヶ月で急激に身長が伸びていないかを確認することも大切です。
基本的に軟骨には神経が存在しませんので、実際に疼痛を感知している組織は骨膜になると考えられています。
発生リスクについて
サッカーや陸上競技をしている子供に発生しやすく、大腿四頭筋の収縮による膝蓋腱の牽引ストレスが加わることで発症リスクが上がります。
大腿四頭筋のストレスが高まる原因としては、以下の3つが挙げられます。
- 大腿四頭筋の拘縮
- 膝関節の伸展モーメント増大
- 膝関節の内反位・外反位
伸展モーメントが増大する因子は、立脚前半相に、①膝関節屈曲位荷重、②骨盤後傾位、③下部体幹後方位などがあります。
膝関節屈曲位荷重は回内足(見た目は扁平足)のヒトに多く、前足部内側に荷重が集中しやすいため、外反母趾のリスクが高まります。
走るときに骨盤が後傾しているヒトでは、両肩が前に出て背中を丸めたフォームをとりやすいです。
そうすると着地時に足部がオーバープロネーションし、つま先は外を向き、膝が曲げて走る傾向が強いです。
蹴り出しのときにつま先が外側を向いている人では、ストライド幅が小さく、膝の伸びが少なくなっています。
リハビリテーション
脛骨粗面(膝蓋腱)につながる深筋膜のラインはSFL(スーパーフィシャル・フロント・ライン)になります。
そのため、このライン上またはライン上の筋肉と連結し、緊張を増大させる原因となり得る組織についてもリリースが必要です。
緊張が軽減して感覚の入力エラーなどが解決されると、そこで痛みが変化するケースもあります。
臨床的には、膝蓋骨下極の骨折(小さな骨片)や腱炎なども含まれていることが多く、どこが疼痛誘発組織かを見極めることが必要です。
走り方などのフォームがストレスの原因となっている場合は、そこを修正しないことには再発することにもなりかねません。
そのため、前述した発生リスクを中心に予防策についても検討していってください。