リハビリ職が知っておくべき筋トレ後のタンパク質について

理学療法士なら是非とも知っておきたいタンパク質について、高齢者を対象とした場合で解説していきます。

高齢者の食事摂取量について

医療や介護の現場では、利用者の食事摂取量について、「主食10(割)、副食8(割)」という記載をしているところが多いと思います。

食事については栄養士などがバランス良く作ってくれているので、全体的なところについては細かくチェックしている人は少ないのではないでしょうか。

私もカロリーぐらいしか気にしてこなかったのですが、筋トレの本を読むようになってからタンパク質の重要性に目を向けられるようになりました。

偏った食事を摂っていないか

具体的にまず見ていきたいのは、主食と副食の偏りです。どちらも10割なら問題ないのですが、時々「主食10、副食2」といった偏りがみられる場合があります。

この場合、お米(100gあたり6g)だけではタンパク質の必要量が足りず、どれだけ運動をしても筋肉がつかない可能性があります。

副食に関しても、どのような好みを持っているかを知ることで、栄養の偏りを見出していくことが大切です。

タンパク質の必要量について

一日のタンパク質の必要量は、「体重1㎏あたり1g」といわれています。

実際には体内でも200g/日ほどのタンパク質が作られていますが、排出されている不足分を補うためには体重1㎏あたり0.8-1.0gが必要となります。

また、タンパク質は20種類のアミノ酸から構成されていますが、そのうちの9種類は体内で合成できないため、食事で摂取することは必要不可欠といえます。

筋肥大には更なるタンパク質を要する

筋トレで筋肥大を起こしていきたい場合は、更なるタンパク質の摂取量が望まれます。

理由として、筋肉を構成している成分は水分とタンパク質なので、消費量以上の量を摂取しないと身に付かないという理屈です。

理想としては、「体重1㎏あたり1.8g」といわれています。それ以上になると、処理をするための内臓の負担が大きくなりすぎて弊害を引き起こす可能性もあるので注意が必要です。

過剰摂取による弊害について

タンパク質には窒素が含まれていますが、窒素はアンモニアに変換されます。アンモニアは毒性が高いために肝臓で尿素に変換されます。

さらに尿素は腎臓から尿として排出されることになるので、タンパク質の過剰摂取は肝臓と腎臓への負担を増してしまうことになります。

大きな副作用こそありませんが、どちらにしても正しく取り込まれることはありませんので、必要量に合わせて摂取することが大切です。

高齢者でもタンパク質の必要量は同じ

高齢になるほど一日の摂取目安のカロリーは低くなっていきますが、タンパク質に関しては高齢だから少なくていいというわけではありません。

若者も高齢者も同じ量だけの摂取が要求されます。しかし、食事の摂取量は減っていくのが一般的ですので、実際には必要量を満たしていない高齢者が大半だと思います。

そのため、なるべく効率よく摂取できるようにしていくことが必要となります。

タンパク質を取り込むゴールデンタイム

筋トレ後の1時間でタンパク質合成速度はピークを向かえることになるので、その間に食事を摂ることが筋肥大には要求されます。

また、運動後の48時間以内なら優位に合成速度が高いこともわかっているため、二日後までは気をつかってタンパク質を取り込むことも大切といえます。

高齢者にお勧めの食材

タンパク質を摂取するためには肉類がお勧めではありますが、高齢者ではあまり好んで食べられない方も多いと思います。

そこでお勧めなのは、大豆製品と魚の缶詰です。大豆が高タンパクであることはよく知られていますが、豆腐や納豆、豆乳などが特に摂取しやすいです。

缶詰もお勧めで、とくにサバは高タンパクです。セブンプレミアムのサバの味噌煮缶は味も絶品ですし、味噌は大豆なので一石二鳥でもあります。

最近は種類も豊富なので、好みに合った食べやすいものを選んでみてください。補助食品として、嚥下もしやすいゼリーもお勧めですよ。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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