筋肉のプロである理学療法士の立場から、繰り返されるダイエットとリバウンドの危険性について解説していきます。
この記事の目次はコチラ
リバウンドの繰り返しは危険
毎回のように太って痩せてを繰り返しているダイエットが趣味のような女性は多いですが、それは本当に危険なことです。
とくに食事制限を中心にダイエットをしている女性は、痩せる度に筋肉を落とし、リバウンドをする度に脂肪を蓄積しています。
これはいわゆる痩せにくい体質を作っている原因なのですが、医療従事者の立場から言わせてもらうと、これは健康に関しても非常に危険な状態です。
サルコペニア肥満は命に関わる
サルコペニア肥満とは、筋肉量が正常よりも低下している状態にあり、かつ肥満状態にある人を指します。
通常の肥満よりも病気になるリスクが高く、心臓病や脳卒中、糖尿病といった命に関わる病気になりやすいのが特徴です。
筑波大学の研究では、40代以降で徐々に増え始め、70代では4人に1人がサルコペニア肥満であると報告しています。
活動量が低下してくる70代以降の高齢者では、普通の肥満は減少していき、サルコペニア肥満のほうが割合は多くなっていきます。
サルコペニア肥満を見分ける方法
最も簡単に見分ける方法として、これまでのダイエット遍歴を聞いてみることです。
食事制限を中心としたダイエットを繰り返してきた場合は、必ずと言っていいほどに筋肉量は低下しています。
筋肉はタンパク質を合成することで保たれますが、運動もせずに食事制限だけを行うと、足りないエネルギーは筋肉を分解することで補います。
そのため、筋肉があるうちはすぐに体重を減少させることができますが、ある程度に筋量が落ちたら減量が難しくなります。
その頃には食事制限が苦になり、いつも通りの食事に戻る場合が多いので、結果的に筋量が落ちた分だけ脂肪をつけてエネルギーを蓄えます。
それを繰り返していると見た目ではわかりませんが、筋量の少ない肥満となり、膝関節を壊すことにもつながります。
食事制限のみのダイエットはやってはいけない
正常であるなら、肥満者は痩せている人よりも重い荷物を持って動き回っている状態なので、筋量も必然と多くなっているはずです。
あのマツコ・デラックスさんも足はカモシカのように隆々としていますが、それは体重を支えるために自然と筋肉が付いているからです。
しかし、中には肥満者であるのに筋力が弱いといった矛盾した状態(サルコペニア肥満)にある方々がいます。
そのような人のほとんどは、筋量を落とすようなダイエットを経験しており、脂肪の蓄積を手助けするような生活習慣を送っています。
ダイエットは必ず運動も併用すること
運動による消費カロリーは微々たるものなので、運動よりも食事制限のほうがすぐに効果が出て痩せられるのは事実です。
しかし、その繰り返しが身体を虚弱体質な肥満に変化させることもまた事実です。
なので、運動の目的は痩せるためではなく、あくまで筋肉量を維持するためだと理解してから実施することが大切です。
食事制限にて糖質を減らすことは構いませんが、筋量を維持するためにはタンパク質が欠かせませんので、必ずタンパク質だけは摂取するように心がけてください。
ライザップの戦略も食事制限と筋トレ
斬新なCMで一躍話題になったライザップですが、彼らの戦略も基本は食事制限と筋力トレーニングの二つです。
高いお金を払って痩せるのですから、それでリバウンドさせてしまったら評判はガタ落ちです。そうならないためにも、筋量は絶対に落とすことができません。
筋肉が落ちてしまうとリバウンドしやすく、かつ身体もゆるんだ状態になりますので、余計に太ってみえるようになります。
筋肉は脂肪よりも基礎代謝量が多いので、筋肉が増えることは結果的に消費カロリーを増やすことにもつながるのです。(微々たるものですが)
なので、筋力トレーニングは欠かすことができない要素であり、かつ実際に減量するための食事制限も欠かすことはできません
ライザップでお肉を食べることを推奨しているのは、タンパク質を摂取することで筋肉量を増やす(減らないようにする)ことが目的です。
ライザップはリバウンドしにくい
ここまでのことが理解してもらえたなら、ライザップのダイエット戦略は非常に効果的であり、かつリバウンドもしにくいことがわかっていただけたかと思います。
また、このメカニズムさえ知っておいたら、ライザップようなリバウンドしにくいダイエット方法を自分自身で考えることもできるようになります。
正しいダイエットには知識が必要です。世の中の多くのダイエット法は危険を伴っています。それを是非とも忘れないでください。