最近は体外衝撃波治療器が医療の現場でも普及していますが、まだまだ知らないというセラピストは多いかと思います。
そんな古くて新しい衝撃波治療の効果について解説していきます。
体外衝撃波治療器は、元々は腎臓にできた結石を身体の外側から加える衝撃波によって粉々に砕き、膀胱から排出させるための医療機器です。
衝撃波によって腎臓の中にある石を壊すわけですから、その威力はとてつもないことは容易に想像がつくはずです。
そんなことをして腎臓は壊れないの?と思ったかもしれませんが、基本的に弾性と可動性のある組織は障害を受けません。
破壊して治すという行為自体は徒手療法でも一般的に行われており、例えば、癒着してしまった組織を剥離するときに用います。
肩関節拘縮に対する関節授動術では、関節包などをバリバリと音を立てながら破っていきますので、その後は可動域が劇的に改善します。
破壊したあとは組織を正常な配列に戻るように修復させ、徐々に治癒していくわけですが、問題のある部分だけを狙って壊すのが匠の技です。
しかしながら、セラピストが徒手的に壊せる部分は基本的に表層組織だけであり、それより深層に存在する組織へはアプローチが困難です。
そんなときに衝撃波は深層まで届くために有効となり、足底腱膜のように分厚い脂肪組織に覆われた深部組織への治療が可能となるわけです。
その効果は実証済みであり、2008年に一部の体外衝撃波治療器は難治性足底腱膜炎への治療で保険適用を承認しています。
体外衝撃波疼痛治療術という名目で5000点が算定可能であり、保険を適応してもかなりの高額となっています。(算定要件はコチラ)
しかし、その有効率は難治性足底腱膜の50%以上と高く、これまでずっと痛みで苦しんでいた人たちにも効果が期待できる治療法です。
難治性足底腱膜炎に使用される衝撃波は、腎結石に使用される衝撃波の10分の1ともいわれており、当然ながら深達性も短くなっています。
そのように外部からの治療範囲を拡げられるのが体外衝撃波の魅力ですが、近年はさらに簡易的に使用できる低出力タイプも販売されています。
上記のタイプは、難治性足底腱膜炎に使用される衝撃波と比較すると、10分の1ほどであり、治療範囲は表層から2㎝ほどになります。
使用例として、踵骨棘や足底腱膜炎、膝蓋腱炎、アキレス腱炎、上腕骨外側/内側上顆炎、脛骨過労性骨膜炎など、様々な適応があります。
実際に使用した感想としては、慢性的な圧痛が認められる局部には有効であり、その部分を狙い撃ちすると非常に効果的です。
自由神経終末が破壊されて治療直後に痛みが緩和されるため、足底腱膜炎の患者ではスタスタと普通に歩いて帰られることも多いです。
また、腱の修復を促すことで除痛が持続し、腱や周囲組織の再生を促進するような作用も併せ持っていいます。
私のような理学療法士でも体外衝撃波治療機器を用いることで直接的に深部組織にまでアプローチすることが可能となり、治療範囲は拡大します。
ただし、障害がある部分を一点集中で狙い撃ちしないと治療効果は認められないため、かなりの知識や技術が必要だとも感じています。
今後は一般の治療院などでも普及してくると思いますので、是非とも覚えておいて損はない機器ですよ。