体外衝撃波療法(ESWT)の適応について考察していきます。
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収束型と拡散型の違い
クリニックやスポーツ現場でも使用されている体外衝撃波治療器には、収束型と拡散型の2種類があります。
収束型は、深部(3㎝前後)に収束したエネルギーを与えることができるため、患部を狙うようにして高いエネルギーを照射できます。
拡散型は、皮膚表面からエネルギーが放出するため、浅部(表層〜2㎝)に対して高いエネルギーを照射できます。
収束型は拡散型よりもエネルギーを強度を10倍以上に設定することができるため、表層以外の組織には強く作用することが可能です。
拡散型は1度に広い範囲を照射することができますが、皮膚に強いエネルギーが加わるため、強度を高くすることが難しくなります。
体外衝撃波療法の作用と適応
ESWTの主な作用としては、①骨形成促進、②血管新生、③除痛(神経終末の破壊)が挙げられます。
もうひとつ重要なポイントとして、衝撃波は弾性と可動性のある組織には影響を与えにくいとされています。
これらのことを考慮すると、骨障害(偽関節や疲労骨折の骨形成促進)や腱障害(血管新生による損傷治癒)に効果的であると考えられます。
骨や腱は深部に存在していることが多いため、それらの組織に対してアプローチするには、拡散型よりも収束型を使用するほうがよいです。
皮膚や筋・筋膜に働きかけるには拡散型が有効ですが、衝撃波は可動性のある組織には影響を与えにくいので、硬結部を見つけて照射しないと効果が乏しくなります。
そのような意味では、筋・筋膜は触診ができないことには照射ができず、触診ができるなら徒手療法だけでも十分にアプローチが可能です。
もうひとつ衝撃波の作用を書くなら、高エネルギー(強い衝撃波)を照射することで硬い組織を破壊できることです。
代表的なのは腎結石を砕く場合ですが、他にも肩関節の石灰性腱板炎に対して、石灰を砕くように使用することで効果を発揮します。
体外衝撃波療法の禁忌
臨床で重要な禁忌だけ記載していきますが、まずは子供の骨端線は骨化を進行させることになるため照射ができません。
ただし、高エネルギーでない限りは骨端線が閉じることはないため、臨床で使用するレベルの治療器は「子供=禁忌」とまでする必要はありません。
大きな神経に直接照射することも避けたほうがよいため、照射する部位の解剖は事前にチェックしておくようにしてください。