【介護保険】事業所と同一建物に居住する利用者に対する減算

介護保険サービスにおいて、事業所と同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物に居住する利用者に対してサービスを提供した場合に、どのような取扱いとなるかにすいて記載しています。

同一建物に居住する利用者に対する減算

報酬項目 単位
事業所と同一建物に居住する者又はこれ以外の同一建物の利用者20人以上にサービスを行う場合 90/100

減算に関する留意事項

同一敷地内であっても減算対象とならない場合もあるため、以下に示す4つの留意事項を確認する。

①同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物の定義
注7における「同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物」とは、当該指定訪問介護事業所と構造上又は外形上、一体的な建築物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に限る。以下「有料老人ホーム等」という。)及び同一敷地内並びに隣接する敷地(当該指定訪問介護事業所と有料老人ホーム等が道路等を挟んで設置している場合を含む)に。ある建築物のうち効率的なサービス提供が可能なものを指すものである。具体的には、一体的な建築物として、当該建物の1階部分に指定訪問介護事業所がある場合や当該建物と渡り廊下でつながっている場合など、同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物として、同一敷地内にある別棟の建築物や幅員の狭い道路を挟んで隣接する場合などが該当するものであること。
 ② 同一の建物に20人以上居住する建物の定義
イ) 「当該指定訪問介護事業所における利用者が同一建物に20人以上居住する建物」とは、①に該当するもの以外の有料老人ホーム等を指すものであり、当該有料老人ホーム等に当該指定訪問介護事業所の利用者が20人以上居住する場合に該当し、同一敷地内にある別棟の建物や道路を挟んで隣接する建物の利用者数を合算するものではない。
ロ) この場合の利用者数は、1月間(歴月)の利用者数の平均を用いる。この場合、1月間の利用者の数の平均は、当該月における1日ごとの該当する建物に居住する利用者の合計を、当該月の日数で除して得た値とする。この平均利用者数の算定に当たっては、小数点以下を切り捨てるものとする。
③当該減算は、指定訪問介護事業所と有料老人ホーム等の位置関係により、効率的なサービス提供が可能であることを適切に評価する趣旨であることに鑑み、本減算の適用については、位置関係のみをもって判断することがないよう留意すること。具体的には、次のような場合を一例として、サービス提供の効率化につながらない場合には、減算を適用すべきではないこと。
(同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物に該当しないものの例)

  • 同一敷地であっても、広大な敷地に複数の建物が点在する場合
  • 隣接する敷地であっても、道路や河川などに敷地が隔てられており、横断するために迂回しなければならない場合(同一の建物に20人以上居住する建物に該当しないものの例)
  • 同一建物に、複数のサービス付き高齢者向け住宅として登録された住戸が点在するもの(サービス付き高齢者向け住宅として登録された住戸が特定の階層にまとまっているものを除く)であって、当該建物の総戸数のうちサービス付き高齢者向け住宅の登録戸数が5割に満たない場合。
【解説】同一敷地内であっても、効率的にサービスを提供できる状況にない場合は例外として扱うことができる場合もある。
④「①」及び「②」のいずれの場合においても、同一の建物については、当該建築物の管理、運営法人が当該指定訪問介護事業所の指定訪問介護事業者と異なる場合であっても該当するものであること。
【解説】運営法人などが異なっていても、効率的にサービスを提供できることに変わりはないので、減算は適用されるもののとする。

Q&A(厚生労働省通達)

Q.月の途中に、集合住宅減算の適用を受ける建物に入居した又は当該建物から退居した場合、月の全てのサービス提供部分が減算の対象となるのか。
A.集合住宅減算については、利用者が減算対象となる建物に入居した日から退居した日までの間に受けたサービスについてのみ減算の対象となる。月の定額報酬であるサービスのうち、介護予防訪問介護費、夜間対応型訪問介護費(Ⅱ)及び定期巡回・随時対応型訪問介護看護費については、利用者が減算対象となる建物に居住する月があるサービスに係る報酬(日割り計算が行われる場合は日割り後の額)について減算の対象となる。なお、夜間対応型訪問介護費(Ⅰ)の基本夜間対応型訪問介護費については減算の対象とならない。また、(介護予防)小規模多機能型居宅介護費及び看護小規模多機能型居宅介護費については利用者の居所に応じた基本報酬を算定する。
Q.集合住宅減算について、「同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物」であっても「サービス提供の効率化につながらない場合には、減算を適用すべきではないこと」とされているが、具体的にはどのような範囲を想定しているのか。
A.集合住宅減算は、訪問系サービス(居宅療養管理指導を除く)について、例えば、集合住宅の1階部分に事業所がある場合など、事業所と同一建物に居住する利用者を訪問する場合には、地域に点在する利用者を訪問する場合と比べて、移動等の労力(移動時間)が軽減されることから、このことを適正に評価するために行うものである。従来の仕組みでは、事業所と集合住宅(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に限る。以下同じ。)が一体的な建築物に限り減算対象としていたところである。今般の見直しでは、事業所と同一建物の利用者を訪問する場合と同様の移動時間により訪問できるものについては同様に評価することとし、「同一敷地内にある別棟の集合住宅」、「隣接する敷地にある集合住宅」、「道路等を挟んで隣接する敷地にある集合住宅」のうち、事業所と同一建物の利用者を訪問する場合と同様に移動時間が軽減されるものについては、新たに、減算対象とすることとしたものである。このようなことから、例えば、以下のケースのように、事業所と同一建物の利用者を訪問する場合とは移動時間が明らかに異なるものについては、減算対象とはならないものと考えている。

  •  広大な敷地に複数の建物が点在するもの(例えば、UR(独立行政法人都市再生機構)などの大規模団地や、敷地に沿って複数のバス停留所があるような規模の敷地)
  • 幹線道路や河川などにより敷地が隔てられており、訪問するために迂回しなければならないもの
Q.「同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物」に該当するもの以外の集合住宅に居住する利用者に対し訪問する場合、利用者が1月あたり20人以上の場合減算の対象となるが、算定月の前月の実績で減算の有無を判断することとなるのか。
A.算定月の実績で判断することとなる。
Q. 「同一建物に居住する利用者が1 月あたり20 人以上である場合の利用者数」とは、どのような者の数を指すのか。
A.この場合の利用者数とは、当該指定訪問介護事業所とサービス提供契約のある利用者のうち、該当する建物に居住する者の数をいう。(サービス提供契約はあるが、当該月において、訪問介護費の算定がなかった者を除く。)
Q.集合住宅減算の対象となる「有料老人ホーム」とは、未届であっても実態が備わっていれば「有料老人ホーム」として取り扱うことでよいか。
A.貴見のとおり、老人福祉法(昭和38 年法律第133 号)第29 条第1項に規定する有料老人ホームの要件に該当するものであれば、集合住宅減算の対象となる。
Q.集合住宅減算として、①指定訪問介護事業所と同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物の利用者、②指定訪問介護事業所の利用者が20 人以上居住する建物の利用者について減算となるが、例えば、当該指定訪問介護事業所と同一建物に20 人以上の利用者がいる場合、①及び②のいずれの要件にも該当するものとして、減算割合は△20%となるのか。
A.集合住宅減算は、①指定訪問介護事業所と同一の敷地内若しくは隣接する敷地内の建物(養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅に限る。)の利用者又は②①以外の建物であって、当該指定訪問介護事業所における利用者が同一建物(建物の定義は①と同じ。)に20 人以上居住する建物の利用者について減算となるものであり、①と②は重複しないため、減算割合は△10%である。
Q.集合住宅減算について、サービス提供事業所と建物を運営する法人がそれぞれ異なる法人である場合にはどのような取扱いとなるのか。
A.サービス提供事業所と建物を運営する法人が異なる場合も減算対象となる。

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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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