【平成28年度】回復期リハビリテーションが包括化される算定要件

平成28年度の診療報酬改定の具体的な内容が、厚労省より個別事項として掲示されました。全文の閲覧はコチラから可能です。

回復期リハの単位数が引き下げられる

原文には以下のように記載されています。

【原文】回復期リハビリテーション病棟を有する保険医療機関について、当該病棟におけるリハビリテーションの実績が一定の水準に達しない保険医療機関については、回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者に対して1日に6単位を超えて提供される疾患別リハビリテーション 料を、回復期リハビリテーション病棟入院料に包括する。

簡単にまとめると、従来は回復期は9単位/日まで算定が可能でしたが、効果が出ていない病院は6単位/日までに減らしますということです。

単位を減らされる病院の条件

9単位もやっているのに効果が出ていないと判定される条件として、厚労省は以下の指標を掲載しています。(追加部分のみ赤文字で記載)

1.従来
【回復期リハビリテーション病棟入院料】診療に係る費用(注2、注3及び注5に規定する加算、当該患者に対 して行った第2章第2部在宅医療、 第7部リハビリテーションの費用、第2節に規定する臨床研 修病院入院診療加算、医師事務作業補助体制加算(一般病棟に限る。)、地域加算、離島加算、医療安全対策170実加算、救急搬送患者地域連携受入加算(一般病棟に限る。)並びにデータ提出加算、区分番号B005-3に掲げる地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)、区分番号J038に掲げる人工腎臓並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれるも のとする。 加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、救急搬送患者地 域連携受入加算(一般病棟に限る。) 並びにデータ提出加算、区分番号B005-3に掲げる地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)、区分番号J038に掲げる人工腎臓並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は、回復期リハビリテーション病棟入院 料に含まれるものとする。
2.改定
【回復期リハビリテーション病棟入院料】診療に係る費用(注2、注3及び注5に規定する加算、当該患者に対 して行った第2章第2部在宅医療、 第7部リハビリテーションの費用(別に厚生労働大臣が定めるものを除く。)、第2節に規定する臨床研 修病院入院診療加算、医師事務作業補助体制加算(一般病棟に限る。)、地域加算、離島加算、医療安全対策170実加算、救急搬送患者地域連携受入加算(一般病棟に限る。)並びにデータ提出加算、区分番号B005-3に掲げる地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)、区分番号J038に掲げる人工腎臓並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は、回復期リハビリテーション病棟入院料に含まれるも のとする。 加算、感染防止対策加算、患者サポート体制充実加算、救急搬送患者地 域連携受入加算(一般病棟に限る。) 並びにデータ提出加算、区分番号B005-3に掲げる地域連携診療計画退院時指導料(Ⅰ)、区分番号J038に掲げる人工腎臓並びに除外薬剤・注射薬の費用を除く。)は、回復期リハビリテーション病棟入院 料に含まれるものとする。

別に厚生労働大臣が定めるもの

入院中の患者に対する、心大血管疾患リハビリテーション料、脳血管疾患等リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料又は廃用症候群リハビリテーション料であって1日につき6単位を超 えるもの(告示別表第9の3に規定する「脳血管疾患等の患者のうちで発症後60日以内のもの」を除く。)の費用(当該保険医療機関における回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーションの提供実績が一定の水準以上であるとともに、効果に係る実績が一定の水準を下回る場合に限る。)

算定要件

(1) 保険医療機関における回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリ テーションの提供実績が一定の水準以上であるとは、過去6か月間に当該保険医療機関で回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者に提供された疾患別リハビリテーションの1日平均実施単位数が6単位以上であることをいう。ただし、過去6か月間に回復期リハビリテーション病棟入院料を算定した患者が10人未満の場合を除く。

回復期リハビリテーションで9単位とれる条件

(2) 効果に係る実績が一定の水準を下回るとは、過去6か月間に当該保険医療機関の回復期リハビリテーション病棟から退棟した全ての患者(計算対象から除外される患者を除く。)についての、①の総和を②の総和で除したものが27未満である状態をいう。

① 退棟時のFIM得点(運動項目)から入棟時FIM得点(運動項目)を控除したもの
② 各患者の入棟から退棟までの日数を、当該患者の入棟時の状態に応じた算定上限日数で除したもの

(3) 在棟中に一度も回復期リハビリテーション病棟入院料を算定しなかった患者及び在棟中に死亡した患者は、(2)の算出から除外する。また、入棟日において次に該当する患者については、毎月の入棟患者数の100分の30を超えない範囲で、(2)の算出から除外できる。

① FIM 運動項目得点が 20 点以下のもの
② FIM 運動項目得点が 76 点以上のもの
③ FIM 認知項目得点が 24点以下のもの
④ 年齢が 80 歳以上のもの

(4) 高次脳機能障害の患者が過去6か月の入院患者の40%を超える保険医療機関においては、高次脳機能障害の患者を(2)の算出から全て除外することができる。この場合、(3)については、「毎月の入棟患者数の100分の30」を、「毎月の入棟患者数のうち高次脳機能障害の患者を除いた患者数の100分の30」と読み替えるものとする。

(5) 在棟中にFIM得点(運動項目)が1週間で10点以上低下した患者については、(2)の算出において、当該低下の直前の時点をもって退棟したものとみなして扱ってよい。

回復期美リハビリテーション病棟のアウトカム評価

算定要件(例)

以下に実際のケースについて図で解説しています。パッと見ただけでは理解できなかったのですが、要するに上記の条件を過去六か月でクリアしていれば問題ないということです。

通常は三か月に一回の報告が必要ですが、直近の六か月で必要条件を満たしたのであれば、申請してまた上限を9単位に戻せますよってことになります。

回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価に関わる計算式

経過措置

平成28年4月1日以降の入院患者について、平成29年1月1日から実施する。

備考

回復期リハビリテーション病棟入院料に包括される疾患別 リハビリテーションの実施単位数を、リハビリテーション充実加算等の施設基準において用いる疾患別リハビリテーションの総単位数に含まな いこととする。

Q&Aコーナー

Q.回復期リハビリテーション病棟入院料の留意事項通知(12)ウ及びエにある実績指数の算出から除外できる患者は、アで「リハビリテーションの提供実績を相当程度有する」との判断の際にも計算対象から除外できるか。
A.前月までの6か月間に回復期リハビリテーション病棟から退棟した患者の数が10名以上であるかの判断は、ウ及びエで実際に除外した患者を除いて行う。1日あたりのリハビリテーション提供単位数が平均6単位以上であるかの判断は、ウ及びエにおける除外の有無にかかわらず、直近6か月間の回復期リハビリテーションを要する状態の患者について行う。

Q.回復期リハビリテーション病棟の実績指数を算出するにあたり、「当該月に入棟した高次脳機能障害の患者をリハビリテーション効果実績指数の算出対象から全て除外することができる」とあるが、当該月に入棟した高次脳機能障害の患者の一部をリハビリテーション効果実績指数の算出対象から除外し、一部を対象とできるか。
A.できない。月毎に、当該月に入棟した高次脳機能障害の患者を、リハビリテーション効果実績指数の算出対象から全員除外するか、全員含めるかのいずれかを選ぶこと。

Q.回復期リハビリテーション病棟におけるリハビリテーションの提供実績の評価(留意事項通知 区分番号「A308」回復期リハビリテーション病棟入院料(12)ア)及び実績指数の評価(同イ)において、「入棟する」「退棟する」とは、算定する入院料にかかわらず当該病棟に入棟又は退棟することをいうのか。それとも、回復期リハビリテーション病棟入院料の算定を開始又は終了することをいうのか。
A.算定する入院料にかかわらず、当該病棟に入棟又は退棟することをいう。従って、例えば、回復期リハビリテーション病棟入院料の算定上限日数を超えた患者であっても、当該病棟で療養を続ける限り、退棟したものとは扱わない。なお、一度も回復期リハビリテーション病棟入院料を算定しなかった患者については、実績指数の評価の対象とはならないことに留意されたい。

執筆後記

必要以上のサービスが横行している

今回の改定を踏まえると、リハビリはすでに過剰供給になっているのかもしれませんね。そのひとつの原因は、人員が増えすぎことにあります。

やはりどの病院も算定した分だけ利益になるので、限界まで患者から搾取したいのは当然の話だと思います。

それが結果的に、必要以上のサービスを提供することになり、効果に見合わないリハビリを生んでいるのだと思います。

介護保険で実施されるリハビリなんかは、すでに包括化がガンガン進んでいますので、今後は診療報酬も包括化(成果主義)の流れが強くなっていくんではないでしょうか。

リハビリ職の失業者を増加させる

実施できる単位が削られることになると、必然的にリハビリ職が余るのでリストラの対象となります。これは本当に大変な事態です。

新卒者は就職できずに路頭に迷い、就職している人は利権にしがみつくために必死となります。これではいい人材が育つことはもうないでしょう。

そんなリアルすぎる未来が見えてきているので、個人的にもこれからどうしたらいいものかと考えさせられる診療報酬改定となりそうです。

本当に効果が出ていないかを検証する

ただし、厚労省の人たちには知っておいてほしいことですが、脳卒中などの初期は集中的なリハビリがとても重要なのです。

ここがしっかりできていなければ、片麻痺に特徴的な歩行姿勢が残ってしまい、将来的に関節に痛みが出現したり、歩けなくなったりするリスクがあります。

これは結果的に、リハビリ料を支払うよりも大きな損失を招く可能性があるのです。

その辺の長期的な経過に基づくデータについてはまだ示されていないので、是非とも調査していただけたらと思います。


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The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
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