外来リハビリにおける予約のキャンセル数を減らす方法

私は整形外科の外来リハビリに勤務していますが、以前から予約のキャンセル率について思うところがあり、実際に調べてみることにしました。

ちなみに、勤務先では1日21単位(ひとり1単位)を標準としています。

調査したのは過去8ヶ月、調査対象は6名だけですが、普段から感じていたことがやはり結果として出ることになりました。

リハビリ科の収益を上げようとした場合に、単位数を上げたらいいというのは当たり前の話であり、そのせいで単位に追われるセラピストは非常に多いかと思います。

しかしながら、単位数を無理やりに増やしたせいで介入時間が短くなり、患者満足度が低下することでキャンセル数(次回以降の来院がなくなる)が増える可能性も高くなります。

さらには悪い評判(全然良くならないなど)が拡がることも考えられ、時間を犠牲にして単位数を上げるのは長期的な戦略としては危険です。

そのあたりの実際のところがどうなっているかを知りたくて、長めに介入するPT(3名)、単位を多めにして短めに介入するPT(3名)の違いについて調べてみました。

その結果、短めに介入するほうがキャンセル数が増えるとは言い切れなかったものの、「熟練度(経験年数)が低い+介入時間が短い」という場合にキャンセル数が増える可能性があることが示唆されました。

これは普通に考えたら当たり前の話かもしれませんが、技術がないのに短い時間で患者を良くすることは難しいということでしょう。

そしてもうひとつ以前から感じていたこととして、運動療法の時間を長めにとるとキャンセル数が増えるという仮説です。

こちらは先ほどの「介入時間」よりもさらに明らかな違いが出て、運動療法を多めに取り入れるセラピストほどキャンセル数が多くなりました。

運動療法を最も多めにしていたPTは、熟練度は6名の中でも最も高いと考えられましたが、それにも関わらずキャンセル数は最も多いという結果でした。

このことから、患者は徒手療法を求めてリハビリに来ていると推察され、運動療法はキャンセル率を高める可能性があるといえそうです。

この結果は以前から私が感じていたことであり、今回、実際に調べてみたことで「やはりそうだったか」と非常に納得がいきました。

私はここ半年以上は運動療法を減らして徒手療法を多めに実施してきましたが、そうすることでキャンセル率は最も低くなっていました。

最後に総括すると、予約のキャンセル数を減らすためには、以下の2つを意識することが有効といえます。

  1. 徒手療法の時間を長くする(運動療法は最小限に)
  2. 熟練度が低いセラピストは介入時間を短くしない

あまりサンプル数が多いわけでもなく、熟練度なども私見で勝手に決めているだけなので、正確なものとは言えないのが現状です。

なので、あくまで今回の結果は参考程度にしてみてください。


他の記事も読んでみる

The Author

中尾 浩之

中尾 浩之

1986年生まれの長崎県出身及び在住。理学療法士でブロガー。現在は整形外科クリニックで働いています。詳細はコチラ
rehatora.net © 2016 Frontier Theme